前回の記事では、中小規模のECショップがサイト改善"だけ"を頑張っても、粗利増加を見込むことはかなり難しいというお話をしました。 また、粗利を増加させるためには仕入れ値を下げる交渉をするのではなく、粗利を増加させてくれる商品を売ればいいという説明もしました。
ところで皆さんは「粗利」について深く考えたことはありますか? 粗利を増加させたいのであれば、粗利について知っておくべきことがいくつかあります。 というわけで、連載第2回目は「粗利」の理解を深めることを目指したいと思います。
ECショップにとっての正しい粗利計算方法
まず最初に「あなたの粗利計算方法、間違っているかもしれません」という話をします。粗利というと、下記の計算式を思い浮かべる方が多いと思います。
粗利=売上−原価
しかしこの式には落とし穴があります。それは、原価=商品原価(仕入れ値)である、という誤解です。
粗利計算でいうところの原価は、売上に連動して変わる経費のことです。そういう意味では、商品の原価は商品ごとに異なるため原価という扱いで正しいのですが、ECの世界では商品原価以外にも売上に連動して変わる経費があります。
それは、運送会社に支払う運賃コスト、モールに支払う販売手数料、クレジットカード会社に支払う決済手数料、梱包資材費などです。原価にプラスしてこれらも含めて粗利を計算しなければ、売れば売るほど大赤字という悲惨な状態になってしまうかもしれません。
では、例を挙げて説明します。
5,000円(商品原価3,000円)の商品を売っているあるECショップが間違った粗利計算方式を使っていて、5,000円−3,000円=2,000円が粗利であると考えているとします。
もしこのECショップが1発送あたり500円を運送会社に支払っており、梱包資材費は1発送あたり50円で、モールやクレジットカード会社への手数料の合計は売上の8%ぐらいだったと仮定します。
その場合、正しい粗利は、
5,000円−3,000円−500円−50円−5,000円×8%=1,050円
ということになります。
1,050円しか粗利がないことに気づかずに5,000円の商品を10%オフで販売してしまうと、粗利は550円になります。さらにこの商品を30%オフで販売すると、粗利は赤字のマイナス450円になってしまいます。
この例からわかることは、値引きもクーポンも送料無料も、気軽に行うべきものではないということです。