化粧品や健康食品の通販事業を行うJIMOSには、ふたつのコスメブランドがある。そのうちのひとつが、2010年に販売を開始した、自然派エイジングケアを謳う「Coyori(こより)」。スキンケア、メイク、サプリメントまで扱う商品は幅広い。そのなかでも、最近のオイルブームに先駆けて開発された「美容液オイル」は、美容雑誌「VOCE」のベストコスメにもランクインするなど、シリーズの中核となるヒット商品だ。
3人の“主観”に基づき開発 “たったひとり”にフォーカス
「当社にはもともと、『マキアレイベル』というコスメブランドがあり、美容液ファンデーションの『クリアエステヴェール』を中心に花開いていました。こちらも無添加※なのですが、どちらかというとサイエンティフィックなアプローチのシリーズです。お客様からは『もっと肌に優しくて、もっと効果が出るものが欲しい』というお声をいただいていましたので、何かできないかと社内で考えていました。経営的な視点からも、マキアレイベルに一極集中するよりも、もうひとつブランドが欲しかったというのもあります」
こう語るのは、Coyoriシリーズを開発した執行役員の川上智子さん。当時28歳で広告部門のマネージャーとして活躍していた。彼女のほか、同じ広告部門の34歳、商品開発部門の40歳の3人で、新商品開発チームが2009年に作られた。
「商品開発、新規獲得の広告、リピート施策まで、事業全般がわかっているメンバーが抜擢され、通常の仕事と並行して、新しいプロジェクトを進めていきました」
あるメンバーは化粧水を、あるメンバーは石けんを、といった具合に、それぞれ別の商品を担当。理由は、3人で話し合い、意見をまとめていくとエッジが立たない商品になるから。
「このやりかただと、担当者の主観が入ります。でもこれから先、主観が大事だと思います。当社のような認知度が低めのブランドでは、調査をして売れているマーケットを探すといった方法よりも、アーリーアダプターを狙って、『ないもの』を作っていかなければいけない。調査データ等で目に見えるようになっている時点で、『あるもの』なんですよね。だから、分厚い企画書を作るための根拠は集められないんです」
アイディアの源泉となったのは、お客様の声だった。
「たったひとりの人にフォーカスして、こんな行動をしている、こんな悩みを抱えている、だからこういうものが必要だ。このように考えて、商品開発を進めていきました」
先にヒットしていた『マキアレイベル』も、同様のやりかたで成功したという例もあるが、こうしたプロジェクトの進めかたにGOを出した、組織のありかたも見逃せない。