アクションに結びつかねば、データ分析は何も生み出さない
「ハイヤー、タクシー」と「出版」の市場規模は同程度です。そして、非常によく似た成長と衰退の線を描いています。
もし、「読書をする人が増えると、時間を忘れて遅刻しそうになるので、タクシーの利用が増えた」のだと仮定すると、「出版」が先行指標になるはず。逆ですね。
実は、「人々がタクシーを利用して移動することで、移動に費やす時間が短縮され(可処分時間が増え)、余った時間を家で読書するようになった」からです。
ソンナワケ、アルカイ!
理由はいくつもあるでしょうけど、一番は生産年齢人口の推移です。
話をわかりやすくするためだけに、極端なオバカ分析例を挙げました。ただ、「相関性がありそう」だけでは単なる事象の発見であって、商売としての施策の発明にはならないということは知っておきましょう。ここが分析の難しさです。
そして、多くの商売人にとって、「分析に労力を費やすこと止まりでは、何も生み出してくれない」ということです。トライ&エラーでよいので、常にアクションを結び付けて考え実行することが大切です。
データ分析→アクション1:ウェブ接客
リアルタイムで行うウェブ接客をオススメしていますし、急速に普及しています。ネットショップを訪ねた買物客に対して、「声掛け」を行います。実店舗では店員の初歩ですが、ECではようやく浸透してきたところです。
たとえば、米国の百貨店macy’sの英語サイトでは、日本からのアクセスがあると、2014年から以下のようにポップアップが表示されます。日本から来た観光客だと分かると、日本語で「商品は日本までお送りしますよ」と声掛けのできるのは、実店舗以上のサービスですね。
日本でも、2015年には多くのサイトで導入が進みました。国産の便利なツールが現れたおかげです。
ただし、シナリオが重要なのは、前回「CRMの魂」と称したことも、後述するMA(マーケティング・オートメーション)も同じです。なかでも、リアルタイム性の高いウェブ接客では、メール中心のMA以上に、よりシチュエーションの理解が必要になります。