5社の米国EC事例から紐解く「これからの追客」
Connection 2015に参加して感じたことは、これまで日本のEC業界で言われてきた「追客」という言葉と、米国でマーケティングオートメーションを使って実現しようとしている「カスタマージャーニー」や「カスタマーセントリック」という考えかたに誤解を生じるかもしれないということだ。
「追客」は本来、企業と顧客の双方向の関係作りを意図しているものであるが、言葉尻だけを捉えると、どうしても「企業が一方的にお客さまを追いかける」というニュアンスが強くなってしまう。
マーケティングオートメーションで実現しようとしている世界は、本来の「追客」の意味である「お客さまにブランドに感心を持ち続けてもらい、永続的な関係を構築する」ことが目的である。これを踏まえて、事例から得られた4つのポイントを整理してみた。
事例から得られた「追客」4つのポイント
- 「集客」重視だったマーケターの業務が「追客」へ。
- 「追客」シナリオが、構想段階から実現へ。そして、成果へ。
- コールセンターとマーケティングオートメーションツールが連携した「全社的な追客」へ。
- 今後、「追客」(CRMデータ)が「集客」(ソーシャル広告)を手助けするような逆流現象へ。
以降、各社がどのような追客を行っているか紹介する。
1.インテリアコーディネートを自動化した家具EC ROIは2,800%
Room & Boardはミネアポリスを拠点とし、こだわりのハンドメイド家具を製造、販売している。家具は買い替え期間が長いため、お客さまと常に接点が持てるオンラインストアの役割は大きい。
店頭で培ったお客さま1人ひとりに合わせた接客ノウハウをオンラインストアでも
再現できるようにSalesforce Marketing Cloudを導入した。「今や、スタッフ同然のオススメが
できている」とマーケティング責任者が笑顔で語っていたのが印象的だった。
1to1追客でオンラインストアの平均注文額が40%アップ
1人ひとりに合わせた情報提供を行うことで、オンラインストアの平均注文額は40%、店舗は60%アップした。具体的には、実店舗とオンラインストアのデータをつなぎ、行動履歴をもとにパーソナライズしたメールを毎週月曜に配信。その量は毎月20万通にも上る。
たとえば、購入したソファーの色や用途、形からお客さまの好みをSalesforce Marketing Cloudが自動で分析、部屋全体のインテリアに「足りないのでは?」と想定される商品をウェブサイトやメールで提案する。
リビングに置く長ソファーを買った方には一人掛けのソファーを、ガーデンソファーを買った顧客には日よけ用のパラソルが紹介される。
お客さまの反応を見て、次にどんな内容を出すべきか自動で学習していくのだ。