2025年10月15日（現地時間）、米国SalesforceとOpenAIは戦略的パートナーシップの拡大を発表した。
今回の連携により、企業はChatGPT上からエンタープライズグレードのAIエージェントを支える基盤であるSalesforce Agentforce 360に直接アクセスできるようになった。これにより営業記録や顧客との会話の照会、Tableauの可視化といった顧客管理やデータ分析作業が、ChatGPTにクエリを入力するだけで実現できる。
また、GPT-5を含むOpenAIの最新フロンティアモデルを用いて、Salesforceプラットフォーム内でAIエージェントやプロンプトを構築できる。
両プラットフォームを横断した統合によってできること
- ChatGPTでのAgentforce360アプリ：SalesforceのアプリケーションはApps in ChatGPT（英語）プログラムを通じて利用可能となり、企業向けインテリジェンス、CRMデータ、Tableauの可視化機能がChatGPTでの会話にシームレスに組み込まれる。
- Instant CheckoutとAgentforce Commerce：Agentforce Commerceは、ChatGPTのInstant Checkoutを支える標準規格であるAgentic Commerce Protocol（英語）と統合される。これにより、EC事業者は注文・決済・履行・顧客関係を完全に把握しながら数億規模の潜在顧客にリーチできる
- Agentforce360プラットフォームにおけるOpenAI：SalesforceはOpenAIの推論、音声、マルチモーダル機能をAgentforce 360プラットフォーム（英語）に統合し、エージェンティック エンタープライズの体験をよりインテリジェントかつ強力なものにする。OpenAIは推奨モデルとしても採用され、Agentforce 360ユーザーはAtlas推論エンジンおよびプロンプトビルダーのデフォルトLLM（大規模言語モデル）として選択可能になる。Agentforce Salesなどのアプリも、より豊かなコンテキスト理解とより高速な分析のためOpenAIフロンティアモデルを組み込むことができる。
ChatGPTでのニーズを捉えEC購買を促進
今回の連携で、ChatGPTのInstant CheckoutとAgentic Commerce Protocolによるエンドツーエンドのコマース体験の提供が可能になった。これによりAgentforce Commerceを利用するEC事業者は、買い物客がChatGPTで商品を検索した際に、需要を迅速に捉え、購入を促進することができるようになった。
具体的には、Agentforce CommerceとChatGPTのInstant Checkoutを統合することで、EC事業者は購入意図が発生した瞬間にシームレスで安全な取引を提供できると同時に、統合コストと市場投入までの時間を削減できる。Agentforce Commerceからの商品カタログはChatGPTに表示され、Agentic Commerce Protocol（ACP）とStripeによる埋め込み型チェックアウトによってトークン化されてデータプライバシー規制に準拠した取引が可能になる。これらの機能を組み合わせることで、エージェンティック コマースを実現するためのエンドツーエンドの基盤を確立できる。
たとえば、Agentforce Commerceを利用するスポーツウェアの小売業者は、自社の製品カタログをChatGPTに取り込み、ハイキング用品を探している消費者に最新のハイキングブーツを表示できる。消費者はChatGPTのアプリを離れることなく、Instant Checkoutで購入でき、かつ小売店は顧客との関係を維持することが可能となる。
OpenAIフロンティアモデルは10月15日よりAgentforce内で利用可能となった。また、Agentforce 360アプリおよびChatGPT内Agentforce Commerceは2025年後半に提供開始を予定している。
