TikTok Shop最大の特徴は「ディスカバリーEコマース」
――はじめに、黄さんからTikTok Shopがどのような機能なのか、概要を教えてください。
黄(TikTok Shop) TikTok Shopは、TikTokアプリの中で商品の販売や購入に関するすべてを完結できるECプラットフォームです。従来のECプラットフォームとの大きな違いは、ユーザーが能動的に商品を探しに行くのではなく、動画コンテンツを通じて偶然の商品との出会いが生まれる「ディスカバリーEコマース」を提供している点にあります。
TikTokのレコメンドシステムによって、ユーザーの興味関心に合った商品に関する動画が「おすすめ」フィード上に流れてくるため、まるで実店舗でウインドウショッピングをしているような体験をしていただけます。

――動画やLIVE配信を通して商品と出会う、というわけですね。
黄 その通りです。企業やクリエイターが制作した商品紹介の動画やLIVE配信を通じて、ユーザーは商品を深く理解し、その場でシームレスに購入を完了できます。これにより、これまで商品を探すことがメインだったECの体験から、「発見」や「気づき」が重要になる新しい購買体験へとシフトしていきます。
――ディスカバリーEコマースが生む偶然性が、新たな顧客層へのアプローチを実現できそうですね。
黄 はい。TikTokのユーザーカバレッジは非常に広く、グローバルでのユーザー数が月間10億人以上となっており、幅広い層へのリーチが可能です。
動画は写真やテキストだけでは伝えにくい商品の魅力を効果的に伝えることができ、ユーザーの深い理解を促すことができます。これにより、これまでECサイトではアプローチが難しかった層にも、新たな顧客として出会う機会が生まれると考えています。
――「発見」から「購入」までが一つのアプリ内で完結するのは、ユーザーにとっても大きなメリットになりそうです。
黄 そうですね。私たちは、ユーザーにとって最もスムーズな購買体験を目指しています。商品を気に入り、すぐに購入したいと思った瞬間に、アプリを離れることなく決済まで進めることができる。この手軽さはTikTok Shopの大きな強みの一つです。

TikTok Shopの動画がオフライン売上にも波及するチャンス
――従来のECプラットフォームとの違いについて、さらに詳しく教えていただけますか?
黄 TikTok ShopがディスカバリーEコマースを実現できるのは、「ソーシャルコマース」と「コンテンツプラットフォーム」が融合しているためです。従来のSNSはフォロワーからの情報が中心でした。また、ECプラットフォームも既知の商品との出会いを求める場所として活用されており、新しい商品との出会いが限定的でした。
一方、TikTok Shopは、潜在的なニーズを捉えた動画が販売のドライバーになります。ユーザーは「おすすめ」フィードをスクロールするだけで、自分の興味に合う商品と偶然出会うことができます。
――動画が商品の販売を促進する、ということですね。
黄 動画のプロモーション効果は非常に高く、オンラインでの販売だけでなく、オフラインでの購入にも貢献できます。一つの販売チャネルの成果が、他のチャネルにも良い影響を与えるという、ビジネス全体への波及効果も期待できます。
――商品の「ショーケース」としての役割も大きいのでしょうか。
黄 はい。TikTok Shopでは、アカウントプロフィールから商品を紹介する「ショーケース」という機能を用意しているので、ユーザーは特定ブランドの商品を探すこともできます。
また、ブランド自身が商品を紹介するだけでなく、クリエイターが各企業の商品をアフィリエイトで紹介する仕組みも充実しています。これにより、店舗と商品の接点を増やすことができるのです。海外事例を見ても、TikTok Shopの売上の多くがクリエイター経由であり、第三者が推奨することが重要であることがわかります。

――これまで以上に動画がECにとって重要な要素になりそうです。
黄 TikTok Shopにおいては、動画やLIVE配信、クリエイターの選定など、コンテンツ戦略・戦術が販売を牽引します。そのため、プロモーション担当者とも連携し、コンテンツのデータ分析からECのデータ分析まで、PDCAを回していくことが非常に重要になります。
