「A/Bテスト」と「パーソナライゼーション」の優劣を考える
単品通販事業者はこのページから離脱してください。本コラムでは、単品通販ではなく、一定以上の品揃えのあるショップを前提に考えます。
今さら語るまでもありません。多くが好む人気商品の売上に加えて、一部の人が好むロングテールも提供すれば、その分が売上増になります。しかも、広告依存の特売品・入口商品だけでなく、「あそこに行けば揃っている」と繰り返し足を運んでくれます。売れ筋以外だからこそできる、大切なリピーターの醸成です。
CROをおさらいしますと、どんなページにしたらコンバージョンが上がるかを考え調べ、最適なものを制作・選択することで、より多くのお客様に買っていただけるかという「お買い物の最適化」方法論です。もちろん、ページだけでなく、サイト内外の動線であったり、バナーの色やキャッチの言い回しの最適化の積み重ねであったりします。
ここでは、CROの代表的2つの方法論「A/Bテスト」と「パーソナライゼーション」を採り上げ、どちらが優れているのか考えてみます。
これからの時代はパーソナライゼーション
まだまだ、バズワード(お騒がせ宣伝用語)な面も承知で言います。これからの時代はパーソナライゼーションです。
A/Bテストは、顧客(買物客)を「マス」で捉えます。「マス」は mass(多数の集団)という意味ですが、御猪口(おちょこ)でチビチビではなく、酒「枡」でガブガブ飲むイメージでこじつけ暗記してください。要は「十把一絡げ」にして、多数決で考えます。自民党に投票するか、民主党にするかというのと同じです。
つまり、AとBのどっちがいいか(売れるか)多数決で決めれば、売上が増える単純な道理です。全く以て正しい。与党に合流すれば、法案も通せます。「枡」つながりでたとえると、「久保田」と「獺祭」の人気のあるほうを推せばいいということです。
一方、パーソナライゼーションとは、御猪口です。よりじっくりお酒と向き合ってください。買物客を「個客」として捉えます。田中さんにはAを、鈴木さんにはBを、といったアプローチです。細川護熙氏は(熊本県)知事だったけど、東京都知事にはなれませんでした。東京都民にとっての最適解とされたのは他の候補でした。「獺祭」より「モンラッシェ」や「シャブリ」が好きな人は確実にいるわけで、そんな買物客にも最適な接客を実現しようという試みなのです。
A/Bテストを商品のオススメだけに矮小化して考えると、究極の到達点は単品通販かもしれません。一番人気のただ一点だけを売れば、在庫回転率やキャッシュフローが改善します。ただし、競争は激烈です。しかも、モノ(商品)に依存しがちなので、ヒト(買物客)を相手に「持続的な購入」を目指すのが難しくなるかもしれません。