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経済成長国も多い東アジア よく売れる商材は?
BEENOSが2020年から毎年開催している「越境ECヒットランキング発表会」。同発表会は、越境EC支援サービス「Buyee」の購買データから年間の消費傾向を振り返り、海外でヒットした商品カテゴリをランキング形式で紹介しています。
同ランキングを発表するなかで、「年1回の情報だけではなく、もう一歩踏み込んだ情報も知りたい」というご要望をいただいていました。そこで今回は、同ランキングの番外編としてBuyeeで流通量の多い東アジアエリアの動向やトピックスを紹介します。回を分けて北米エリア編も公開予定なので、楽しみにしていてください。
ここからは、過去に発表したデータを基に、東アジアエリアの越境EC動向を探ります。まずは、人気カテゴリトップ5の変遷を見ていきましょう。
どの年を見ても、東アジアエリアでは「おもちゃ」「ファッション」系のカテゴリが人気トップ2となっています。2023年はカテゴリの集計方法に変更を加え、「おもちゃ・ゲーム」カテゴリから「フィギュア」「トレーディングカード」を独立させましたが、単独でもランキング入りしているのが大きな特徴です。ここから、東アジアエリアにおける日本のアニメ・IP分野の人気の高まりがうかがえます。
一般社団法人 日本動画協会が発表する「アニメ産業レポート2023 サマリー」によると、日本のアニメ産業市場は2022年に約3兆円に拡大しています。けん引するのは海外市場で、2013年には2,823億円規模だったものが、2022年には1兆4,592億円にまで急成長しました。もちろん、越境ECにもこのトレンドは反映されています。
東アジアにおける越境ECニーズの高まりには、生活水準の向上も関係しています。国際通貨基金(IMF)の統計を基にグローバルノートがまとめた「世界の実質GDP成長率 国別ランキング・推移(IMF)」によると、2023年の各国の成長率は中国が5.24%、台湾が1.4%、香港が3.22%、韓国1.36%、モンゴル7.02%、マカオ80.53%となっており、日本が1%台であることを踏まえると、各国と地域の成長力が見えてきます。こうした東アジアエリア各国の消費者の可処分所得が増えれば、趣味分野や高付加価値商品への購入の増加が期待できるでしょう。
なお、2023年の東アジアエリアのカテゴリ伸長率ランキングに目を向けると、1位が「チケット・金券」、2位が「カメラ・光学機器」、3位が「本・雑誌」となっています。「チケット・金券」ではコレクション性のあるテレホンカードなどが人気です。
「カメラ・光学機器」は後ほど説明しますが、ユーザー層の変化が伸びの理由となり、「本・雑誌」は原画や写真集などといったアート・エンタメ系の書籍のほか、雑誌や漫画などが売れています。エンタメ人気や需要の増加は、こうした分析からも確認が可能です。
ちなみに、Buyee全体の流通から見た2023年の伸長ランキング1位は「タレントグッズ」でした。これはK-POP人気による影響が大きく、北米など他エリアがけん引していました。また、Buyeeの流通量としてはまだ成長途上の規模感ですが、「ファッション小物」や「ハンドメイド品」「文房具」なども伸び率が高くなっています。