ビットコインのEC決済サービス「CoinPass決済」とは
――まず、ECサイト向けの決済サービスから始めた理由を教えてください。
「オンラインのほうが浸透が早いと考えたからです。クレジットカードやApple Payのように、オフラインは読み取る機械を店舗に設置する必要がありますが、オンラインなら画面に出てきたQRコードをスマホのカメラで撮影して、操作するだけです(こちらで試せます)。
ECサイトに導入していただくと、まず、決済手数料が安くなります。当社のCoinPass決済では0.5%~ですし、ビットペイは0%にしてきていますから。VISAやマスターにくらべて安いですよね。その分を消費者に、還元していただければ。
それから、マーケテイング効果があります。クレジットカードを導入しても当たり前だけど、今、ビットコイン決済を導入したら話題になる。CoinPass決済のリリース時に導入してくれた『ストリートアカデミー』からは、各種メディアに導入決定が取り上げられたこともあり、プレス後のユーザー登録者数が、数日間、倍になったと伺っています。あと2年もしたらニュース性がなくなるでしょうから、マーケティング効果を狙うなら、導入は今だと思います」
――ビットコインはあやしいイメージもありますが、仲津さんはなぜビットコインで起業を?
「学生時代に経済学を専攻して、バブルと恐慌を繰り返す今のお金の仕組みが不完全なものだと理解しました。それを解決するのに、祖父が日本で唯一の国産の笛のメーカーを成功させた起業家であり、エンジニアだったこともあり、政治家や研究者よりは、起業家としてアプローチしようと思いました。そこから、ECのITベンチャーなどで事業開発やシステム開発の経験を積ませていただいた上で、シリコンバレーでの起業を経験した後、中本哲史さんの論文を読んでビットコインに出会い、これでお金の問題が解決できる!と。
起業はタイミングが重要です。前回のシリコンバレーでコンテントキュレーションの分野で起業して、日米間のトレンドに2年の時差があると認識しました。孫さんがタイムマシン経営をしていたころが3年ですから、年々、この時差は短くなりつつあります。2013年の秋にシリコンバレーで『市場がある』という認識をされていて、元PayPal創業者のピーター・シーエルなど影響力のある主要投資家が、トータルで300億ドルくらい、ビットコインベンチャーに投資しています。その点を踏まえて、2年後には日本にも来るだろうと、確信しました。
そこからチームビルディングを始めて、Yahoo!ジャパンで、Y!ボックスを設計・開発したリードエンジニアで、ビットコイン技術にも詳しいジョン・キーティンをCTOに、日本初かつ日本最大のソーシャルレンディング 『maneo(マネオ)』で、政府へのロビー活動の経験がある妹尾賢俊をCOOに迎えて始まりました。