フィード・タグ・入札 ポイントを押さえP-MAXの効果を上げよう
従来は、検索、ショッピング、ディスプレイ、YouTubeなど、配信面ごとにキャンペーンを分けて運用しなければならなかったGoogle広告。これを一つのキャンペーンにまとめ、誰にどんな面を通して配信するか自動で最適化してくれるのが、P-MAXだ。運用の効率化とコンバージョンする顧客の最大化が両立できる点が、魅力となっている。
P-MAXは、出稿先にショッピングキャンペーンが含まれることから、今やECプロモーションの中心的施策として支持を集めている。eコマースの効果改善に特化したフィード最適化ツール「M-Feed」を提供するメディックスの多品種ECサイト支援事例でも、広告コストシェアの57%をP-MAXが占めているそうだ。
一度商品フィードやターゲティング情報を設定すれば、自動で効果改善をし続けるP-MAXだが、神林氏は「人間が手を加えることで、より高いパフォーマンスを発揮できる」と説明する。
「同社のP-MAXの配信面別コストシェアを見ても、ショッピングキャンペーンが88%と非常に高い水準になっています。ここを改善すれば、インパクトが大きいことは明らかです」
ショッピングキャンペーンにおける施策改善トリガーとして、神林氏は「フィード」「タグ」「入札」という三つの軸を紹介。機械学習を最適化させるための土台は、フィードとタグ、入札はプラスαの応用編と考えれば良いという。
「従来型のリスティング広告は、事前にキーワードや広告文を設定し、それらと親和性が高い検索クエリをユーザーが入力した際に、検索結果一覧に広告が表示される仕組みでした。しかし、P-MAXではフィードに記載された情報をフックに、関連性の高い商品が提示されるようになっています。
つまり、『フィード内にどんな語句が登録されているか』が表示回数や成果を左右するのです。ECサイトのデータをそのままフィードに流し込む、商品名・ブランド名などの必須項目をとりあえず埋めるといった取り組み方ではなく、顧客に検索されやすそうな単語をフィード内に入れ込む作業が必要となります」
商材によって必要な情報は異なるが、カテゴリ情報や品番だけでなく「できるだけ多くの情報を詰め込んだ方が良い」と勧める神林氏。たとえばメンズ向けの化粧水であれば「オイリー肌」など、肌質や悩みに関連するキーワードを挿入すると露出機会を増やせる。
「フィードの改善によって、P-MAXの反応クエリ数を約9倍、広告経由の売上を約2倍にまで拡大できた事例も当社には存在します。また、関連性やリターゲティングの精度を向上させるには、『Google商品カテゴリ(google_product_category)』『商品カテゴリ(product_type)』などをきちんと埋めることも大切です」
P-MAXの入札パフォーマンスを左右する5種類のタグとは
フィードは掲載機会を最大化するために必要な要素だが、入札パフォーマンスを安定させる上で必要なのが、「Googleが推奨するタグの設定」だ。タグは、ユーザーの行動情報を取得する役割を担っており、この情報を基にアプローチ方法が決められている。
「コンバージョンタグと『Googleタグ』と呼ばれるリターゲティングタグは基本として設定している方が多いかと思いますが、P-MAXではこれに加えて、5種類の推奨タグが存在します。設置すべき箇所にこれらをすべて設定すれば、適切な入札が行われるようになり、獲得できそうなユーザーにP-MAXを使って熱心なアプローチを実現できます」
P-MAXで実現できる目的別アプローチ
「なかなか一般的には出回ることのない情報」と前置きをして神林氏が話し始めたのは、応用編となる入札における施策改善についてだ。P-MAXは自動入札機能を用いるのが一般的となっており、あらかじめ設定した目標値に合わせた運用のクオリティーは非常に高いものだといえる。
「売値が1万円、目標ROASを1,000%と設定した商品が2種類あったとします。この場合、P-MAXはどちらも1,000%に近い水準でコスト配分をしてくれるのですが、粗利率や新規率などフィードに反映できないデータと照らし合わせると、事業者目線では『強化したい商品が強化されていない』といったことがないでしょうか。
たとえば、粗利率・新規率が30%の商品Aと10%の商品Bでは、同じROASでも得られる売上に差が出ます。基本的には粗利率や新規率が高い商品に投資をしたいところですが、P-MAXは現状こうした情報を読み取ってくれません。これらを加味した運用を実現するには、工夫が必要です」
入札面でできる工夫として、神林氏は「キャンペーン分割」と「自動入札への反映」を紹介。P-MAXは、学習データを集約するために一つのキャンペーンで運用するのが一般的だが、前者はROASで判断できない指標を加味した入札調整を行うために、あえて軸ごとにキャンペーンを分割する方法だ。
「ここで重要となるのが、『キャンペーンをどのような軸で分割するか』です。たとえば、プライベートブランドなど利益率が高い商品の売上を強化したい場合は、CPCの伸びしろを確認した上でキャンペーンを分割すると、配信拡大を実現しやすくなります。当社でも、分割前後で注力カテゴリの売上シェアが38%から46%にアップした事例が存在します」
また、トレンドに合わせた調整も同施策で実現できる。神林氏は、アパレル事例を例に挙げて紹介した。
「季節性が高い商材を扱う場合、リアルタイムの変化をどこまで広告に反映できるかが鍵となります。しかし、P-MAXは蓄積したデータを基に評価をする仕様であるため、夏物の需要が高まる5月頃の配信強化や、肌寒くなった際の配信抑制を自動で行うのは困難です」
そこで有効なのが、Googleアナリティクスのデータと連携して売上上位の商品を特定し、フィードでフラグを立てた上でキャンペーンを分割、入札調整を施す方法だ。これにより、通常キャンペーンと比べて売上2倍、20%のROAS上昇に成功した事例も存在するという。
新規顧客強化は、既存顧客の除外精度を高めるところから始まる
キャンペーン分割は主に商品軸での工夫方法だが、事業者目線でいえば「新規顧客に向けた広告アプローチを強化したい」といったケースもあるだろう。こうした要望を自動入札に反映するには、新規顧客がコンバージョンした際の売上を1.2倍にするなど、あえて高い数値を設定して機械学習の最適化を促すほかに、事業者側から既存顧客を媒体に定義するやり方が存在する。
「どちらも管理画面から設定可能です。既存顧客を特定するには、Google側へ顧客リストを連携させる必要があります。そして、既存顧客を配信対象外に設定すれば、それ以外の顧客(=新規顧客)のみへの配信が実現可能です」
既に、P-MAXの設定画面内に実装されている「新規顧客に対してのみ入札単価を設定する」を用いてキャンペーン最適化に取り組む事業者もいるかもしれないが、同機能ではオフラインの顧客やCookieの保存期間を超過した休眠顧客は除外対象とならない。純粋な「新規顧客」にアプローチするには、電話番号など保有する顧客データと連携し、Googleに重複する顧客を除くようオーダーする作業が必要となる。
「新規顧客向けキャンペーンと、通常のP-MAXキャンペーンを並行して配信した例では、前者の学習の最適化が進み、通常と比較すると新規率2.8倍を記録しています。P-MAXのパフォーマンスを最大化するには、まだまだ人間の手で改善できることがたくさんあるとおわかりいただけたのではないでしょうか」
神林氏は、最後にこのように語りセッションを締めくくった。
「今回紹介した手法はあくまでも一部であり、事業者によって最適な手法は異なります。P-MAXのパフォーマンスはまだまだ向上させることができますので、手始めにフィードの改善とタグの追加にぜひ着手してみていただきたいと思います」
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