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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

海外トレンドを徹底解剖~中国編~

“時間制限”がキーワード 販売店と顧客の両方にメリットを生み出す中国デリバリーの新サービスとは

 継続的な成長が期待される中国のフードデリバリー市場。その中でも、「安さ」と「早さ」を強みに利用者数を伸ばしているのが、「美団外売(メイトゥアンワイマイ)」です。同サービスが提供する、販売店と顧客のどちらにもメリットをもたらす仕組みとは。一般社団法人深セン市越境EC協会日本支部代表理事 成嶋祐介氏が、中国EC市場を解説する本連載。今回は、美団外売の特徴を解説します。

前回の記事はこちら

 私が2024年、特に注目しているのが、フードデリバリーサービス「美団外売」の新サービス「神抢手(シェンチアンショウ)」です。中国企業の美団(メイトゥアン)が提供しています。“ワンストップフラッシュセールオンラインデリバリー”ともいえる新しい形態で、ただでさえ普及している中国のデリバリーサービスを、さらに進化させようとしているのです。今回はその仕組みを紹介します。

デリバリーサービス日中比較

 日本でも、「Uber Eats」や「出前館」などのデリバリーサービスが浸透していますが、多くの消費者は毎日ではなく、たまに利用する程度ではないでしょうか。

 一方、中国では昼でも夜でも、毎日のように利用する人が少なくありません。その背景には、価格や配送システム、サービス範囲など、日中のデリバリーサービスの違いがあります。

価格の違い

 日本と中国でデリバリーサービスの利用頻度が異なる一因として、価格が挙げられます。特に、販売店が支払う手数料の差が大きいでしょう。日本で一般的に利用されているデリバリーサービスでは、サービス利用料や配送費を含める手数料が、商品代金の35%程度となっています。かたや美団外売の場合、手数料は20%程度です。

 販売店側が支払う手数料が高くなると、商品へ価格転嫁せざるを得ません。したがって、1,000円の商品が1,300~1,400円になり得るのです。そこへ送料が上乗せされることもあり、顧客は価格を一目見ただけで割高だと感じてしまいます。

 デリバリーサービスを提供する側は販売店を増やすために、半額クーポンの配布やおまけ商品の付与といったイベントを日替わりで開催したり、月額料金を支払う顧客へ割引券を配布したりするなど、様々な施策を実行しています。しかし、そもそもの商品価格が割高になっているため、根本的な解決とはいえません

配送システムの違い

 中国のデリバリーサービスが安価に提供できるのは、人口が多くて人件費が安いからだと思っていませんか。実際の理由は、それだけではありません。

 日本のデリバリーサービスは、注文の確認から配達まで、いわばタクシーのように運びます。1回の配達で一つの注文をさばくイメージです。昨今は複数の注文をまとめて配達する制度が普及しつつありますが、通常よりも大幅に時間がかかってしまうことは珍しくありません。

 中国のデリバリーサービスでは、効率的なルートが配達員へ的確に提案されます。たとえば、私がピザを注文したとしましょう。ほぼ同時に、別の二人の顧客がそれぞれハンバーガーとサラダを頼んだ場合、配達員には「この配送経路でピックアップすれば30分以内に合計3ヵ所へ届けられる」などの提案が届きます。配達員はデリバリーサービスの提案に従ったほうが、より高額な報酬が得られる仕組みとなっています。

 これにより、1注文あたりの配送コストが抑えられるのです。配達効率も向上します。「ビジネス+IT」の記事では、Uber Eatsの配達目安が「4.5時間に10件」である一方、美団外売では平均して「3.75時間に20件前後」の配達を行っているとされています。

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この記事の著者

株式会社成島代表取締役 成嶋祐介(ナルシマ ユウスケ)

 元一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事。世界の最先端企業1800社とのネットワークを持つ中国テックビジネスのスペシャリスト。中央大学、茨城大学講師などを歴任。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。株式会社成島代表取締役。2019年から深圳市政府公認の深圳市越境EC協会日本支部の代表理事を務めた...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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