海外客と帰国後も接点を 越境EC需要は増加傾向に
海外からの渡航客数が回復しつつある昨今、インバウンド需要の高い京都や東京を中心に、既に多くの企業が「実店舗に活気が戻り、多忙にしている」という徳田氏。自社の商品が海外にも受け入れられると改めて確信を持ったところで、来日時に出会った顧客と「一見客」の関係で終わらないようにするため、「越境ECに本腰を入れたい」という相談が増えているそうだ。
「お声として多いのは、『旅行中に訪れてくれた顧客と帰国後も接点を持ち、継続顧客にしていきたい』というものです。ただし、越境ECに対応した自社ECを立ち上げても実店舗が急激に忙しくなり、接客時の自社EC訴求などきれいなOMOの導線が引けていないケースも存在します。『実店舗の売上は増えているけれど、自社ECのアクセスが増えない』とお悩みの方は、店舗に訪れた顧客が自社ECにたどり着いているか、店頭のオペレーションにも目を向けて改善を図ると良いでしょう」
単純な多言語化はSEOで足を引っ張る可能性も
これから越境EC展開に力を入れる場合、Shopifyなど越境EC対応が可能なカートシステムと多言語化ツールを用いて自社ECを構築し、海外からのアクセスがあった際に該当する言語・通貨での購入を促すのが一つの手だ。もしくは既存の自社EC内に「WorldShopping BIZ」や「Buyee Connect」のような越境EC対応サービスを導入すれば、海外発送の業務負担軽減と越境ECでの売上拡大を両立できる。
「現状は後者が多い印象です。その場合も自社EC内のコンテンツの多言語化、少なくとも日本語から英語への翻訳対応は欠かせませんが、その点についてはまだ『とりあえず多言語化した』というフェーズであるケースがほとんどですね。越境EC市場に進出するプレーヤーが増える中では、ローカライズの有無が成果を大きく左右します。越境ECに注力したいのであれば、ここにも目を向けましょう」
既に日本語で、ブログや使い方をレクチャーするコンテンツを有する企業は素材が揃っている状況だが、単純にこれらのコンテンツを翻訳しても大きな成果にはつながらない。なぜなら、日本の顧客と海外顧客は生活習慣の違いがある上、商品に求める体験も異なるからだ。また、言語は違えども同一内容のコンテンツを複数生成すれば、検索エンジンから低品質なコンテンツだと評価を受けてしまう可能性もある。
「特に画像を主体とした商品詳細ページ、LPを多く有している場合は要注意です。当社にも『多言語化を行ったら、Google Search Consoleのエラー数が増えてしまった』とご相談をいただくことが多々あります。これをそのまま放置すると、主とする日本語ページのサイト評価も下がってしまうため、早急に対策を打たなければなりません」