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ECサイトの在庫管理はなぜ重要なのか?メリット・ポイントを解説

 ECサイト運営を行っていく際に必要になる業務が、自社商品の「在庫管理」です。在庫を正しく管理していないと、販売機会を逃したり不良在庫を抱えたりしかねません。今回の記事では、在庫管理の実際の業務内容や目的、メリット、実施のポイントを紹介します。

 ECサイト運営で効率的に利益を拡大していくうえで重要な取り組みの一つとして「在庫管理」が挙げられます。自社で抱える在庫の総数や状態を正しく把握できなければ、思わぬ損失が発生しかねないためです。

 今回は、そんな在庫管理の業務内容やメリット、効率的に実施するために意識すべきポイントを紹介します。

ECサイト運用における在庫管理とは?

 ECサイトの在庫管理とは、実店舗の商品販売と同様、在庫商品の個数や仕入れ状況、商品状態といった情報を管理する業務のことです。在庫管理により、自社商品を適正な量や状態が保てるように、入出荷数まで含めてコントロールします。

 在庫管理は、ECサイト事業を展開する企業にとって売上を左右する重要な業務ですが、日本の小売業でしっかり実施できている企業は少ないのが現状です。

 実際に、一般社団法人リテールA I研究所著の『リアル店舗は消えるのか? 流通DXが開くマーケティング新時代』(日経BP)では、次のように述べられています。

小売業がECを推進するにあたり、オンライン用の在庫データと、店舗向けの在庫データを統合し、リアルタイムで参照できるのは必須の条件といえるが、それができている小売業はほとんど見当たらない

 ECサイト運営で抱える在庫は、商品が売れることによって「現金化されるのを待っている状態」といえます。つまり、在庫管理が適正に行われず、過剰在庫が発生してロスにつながると、製造・仕入れで発生したコストを回収できず、損失につながるのです。

 昨今はDXの波が到来し、小売業でもオンラインでの顧客接点構築の必要性が高まっており、ECサイト運営に参入する企業も少なくありません。

 そういったデジタル基盤を整えて売上拡大を図る前提条件として、自社の在庫管理業務の適正化も同時に図ることが求められます。

ECサイト在庫管理の業務内容

 ECサイトにおける在庫管理の業務は次の3種類に大別できます。

  1. 入出庫の管理
  2. ロケーション管理
  3. 棚卸し

 次項より、それぞれについて解説します。

在庫管理業務1:入出庫の管理

 「入庫管理」は入荷した商品および伝票を受け取ったのち、「検品→検収→入荷」の処理を行うことで“新たな在庫”として登録する業務です。

 それに対して、「出庫管理」は出荷する商品を検品し、伝票とともに購入者に発送すると同時に、登録された在庫データの出庫処理を行う業務です。管理方法次第では、出庫管理に商品の梱包作業が含まれる場合もあります。

 さらに、ECサイト運営でも、ユーザーから返品された商品の管理が必要です。

 返品商品の管理は「受け取り→検品→在庫システムへ再登録→保管」の手順で進みます。伝票や返品費用の処理が必要なことも踏まえると、通常の在庫管理とは別で行うのがベターでしょう。

在庫管理業務2:ロケーション管理

 「ロケーション管理」とは、商品在庫の「保存場所そのものの管理」を指します。商品を保管する棚にIDや番号を付け「そこで何を保管しているのか」をデータとして登録することで、在庫管理業務の平準化を図ります。

 ロケーション管理には、次の2種類の方法があります。

  • 固定ロケーション
  • フリーロケーション

 固定ロケーションの管理方法では、商品を決まった場所に保管します。この場合「在庫切れがすぐにわかる」「ピッキングミス(保管間違い)を防止できる」などがメリットです。

 ただし、在庫がない商品が発生するとその分デットスペースが生まれてしまいます。

 一方でフリーロケーションとは、空いているスペースに商品を置く管理方法です。置き場所は入庫した時点で決まるため、限られたスペースを効率的に活用できます。

 しかし、バーコードやICタグなどで在庫の置き場所をデータとして管理していない場合は、在庫情報や保管場所の参照が困難になるでしょう。

在庫管理業務3:棚卸し

 「棚卸し」は、「実際の在庫数」と「データ上の在庫数」に狂いがないかをチェックする作業です。ECサイトの運営では頻繁に入庫・出庫が発生しますので、数値にずれが生じるリスクは常に存在します。

 そのため、在庫数を洗い出して確認する棚卸しの作業は、会計の観点から、各期末の資産を確定するためにも半期に1回、四半期に1回といった頻度で行うことが望ましいでしょう。

在庫管理の目的

 EC事業者が在庫管理を行う目的は、大きく分けると「適正在庫の維持」「在庫ロスの削減」の2点です。それぞれの概要について解説します。

在庫管理を行う目的1:適正在庫の維持

 在庫管理では、販売機会の損失を避けるためにも、欠品を出さない範囲で最小限の在庫数を維持しなければなりません。この考え方は「適正在庫」と呼ばれます。

 「適性在庫はどのくらいなのか?」を考える際には、以下の「サイクル在庫」と「安全在庫」とを合算して計算する方法が一般的です。

  • サイクル在庫…次の在庫発注までに確実に消費される商品点数の半分
  • 安全在庫…急な需要増や入荷遅れに対応できるだけの最低限の余剰在庫数

計算方法

  • サイクル在庫数 =発注から次の発注までの間に消費された量÷2
  • 安全在庫数 =1.65(欠品許容率5%相当)×過去の出荷量・販売量の平均値 × √(発注から納品までの日数+次回発注までの日数)
  • 適正在庫数 = サイクル在庫数 + 安全在庫数

 さらに、自社が適正在庫を維持できているかどうかについては「回転率」「回転期間」をもとに検討します。

 回転率は、1年間に在庫が入れ替わった回数であり、回転率が高いほど自社が適正在庫で事業を展開できているといえます。回転率の計算式は次のとおりです。

「回転率」の計算方法

  • 回転率 = 年間の売上原価 ÷ 各期末の棚卸資産(在庫金額)

 一方で回転期間とは、在庫が1回転するまでに要した日数のことです。1日ごとの計算式は次のとおりですが、週単位や月、年単位でも計算可能です。ただし、回転期間は短いほうが、より適正な在庫数を維持できていることになります。

「開店期間」の計算方法

  • 回転期間(日) = 棚卸資産 ÷ 1日当たりの売上原価

在庫管理を行う目的2:在庫ロスの削減

 在庫管理のもう1つの大目的が、次の3種類の「在庫ロス」を防ぐことです。

  • 機会ロス…在庫の欠品や不足による販売機会の損失
  • 廃棄ロス…商品状態を維持できる期間を超えたために発生する、廃棄や値引きで発生する損失
  • 棚卸ロス…棚卸し時の在庫数とデータ上の在庫数の不一致による損失

 このような在庫ロスを避けるため、在庫状況を正確に把握しておきましょう。

在庫管理を行うメリット

 ECサイト運営において在庫管理を行うことで、次のようなメリットが期待できます。

  1. キャッシュフローを良好な状態に保てる
  2. 商品品質が維持できる
  3. 生産性が向上する
  4. 経費削減につながる

 次項より、具体的に見ていきましょう。

在庫管理を行うメリット1:キャッシュフローを良好な状態に保てる

 適正在庫を維持し、入荷した商品の販売サイクル(=回転率)をより短期間に縮められれば、キャッシュフローがスムーズになります。それにより、安定した経営体制が実現可能です。

在庫管理を行うメリット2:商品品質が維持できる

 在庫の回転率が上がれば、倉庫で長期間保管する必要はありません。それにより経年劣化や異物混入のリスクを低減でき、より良い状態での商品出荷が可能になります。

 結果的に、顧客満足度の向上やトラブルの回避にもつながるため、自社の事業拡大にさらに貢献するでしょう。

在庫管理を行うメリット3:生産性が向上する

 在庫が常に適正状態で管理されていれば、「何がどこにあるのか」「個数はいくつか」といった情報をもとに、ピッキングや梱包をスムーズに行えるため、生産性のさらなる向上が期待できます。

 また、効率的な管理体制は省スペース化にもつながるため、より多くの在庫、あるいは多様な種類の商品をストックできるようになるでしょう。

在庫管理を行うメリット4:経費削減につながる

 適切な在庫管理は自社が抱える商品点数を必要最低限に抑えられる点もメリットです。それにより、倉庫代や人件費などのコストを適正化できます。

 在庫管理の適正化でリソースに余裕を持たせることで、マーケティング施策や設備投資などに予算を回すことも可能になるでしょう。

効率的な在庫管理を実現させるポイント

 ECサイト運営にかかる在庫管理を効率的に実施しようと考える際に意識すべきポイントとしては、次のようなものがあります。

  • 日頃から在庫数を正確に把握しておく
  • 仕入れはニーズを踏まえて行う
  • 在庫の回転率を上げてデッドストックを少なくする
  • マニュアルを作成し業務を明確化する

 具体的にどのような点に留意すればいいか、解説していきます。

留意点1:日頃から在庫数を正確に把握しておく

 在庫状態を適正に保つためには、常に正確な在庫数を把握しておく必要があります。在庫管理がずさんな状態では、前述した機会ロスや廃棄ロスを招く原因になるためです。

 いずれにしても、ECサイトを運営するうえでは不正確な在庫データはマイナスに作用するため、在庫数は常に正確に把握できるよう、運用体制を構築しておく必要があります。

 機会ロスを避けるために過剰に在庫を抱える小売業者は少なくありませんが、在庫を抱えるほど、保管にかかるコストも多くなり、不良在庫を抱えるリスクも高まります。過剰在庫が原因で経営難に陥る事業者もあるため、自社で抱える商品数を常に適正在庫数にしておくことが大切です。

 商品にバーコードやICタグを付け、入庫・出庫や在庫期限などに関するデータをリアルタイムで管理するなど、発注業務や棚卸しを適正化するよう意識しましょう。

留意点2:仕入れはニーズを踏まえて行う

 ECサイト運営でも、在庫が減少した場合は適宜仕入れを行い、在庫を補充する必要があります。とはいえ「ただ減ったから」と漠然と仕入れを行っていると、過剰在庫につながりかねません。

 適正な在庫数を保つためにも、常に回転数や回転期間の数値に目を配り「今後どのくらいのペースで売れそうか」といった市場やユーザーニーズの分析を行ったうえで必要十分な数を仕入れましょう。

留意点3:在庫の回転率を上げてデッドストックを少なくする

 商品の品質を保つために、在庫回転数を増やすことも在庫管理における重要なポイントです。在庫回転数が低下するとデッドストック品の割合が多くなるため、劣化した商品を抱えるリスクが増してしまいます。

 アパレルや食料品など、劣化やシーズンオフで価値が低下する商材を扱っている事業者では特に重要な考え方です。

留意点4:マニュアルを作成し業務を明確化する

 どれだけ適正在庫を目指した管理を行っていたとしても、市場は生き物であり、ある程度の不良在庫の発生は避けられません。

 そういった不良在庫の処分は後回しになりがちであるため、あらかじめ損切りのルールを自社で定義化し、マニュアルに落とし込んでおくことが重要です。そのうえで、誰でも対応できるように在庫処分に関するプロセスを明確化しておくと、在庫管理の効率向上が期待できます。

まとめ

 在庫管理は、ECの売上を効率的に拡大していくために、必須ともいえる取り組みです。自社で抱える商品を常に適正在庫数に抑えられれば、業務効率化やROI(投資利益率)の最適化にもつながります。

 商品へのバーコードやICタグの付与も行い、効率的な在庫管理を実現しましょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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