Shopify(ショッピファイ)とは、世界中で利用されているECプラットフォームであり、多くのユーザー数を抱えています。コストを抑えながらECサイトを構築でき、デザイン性やカスタマイズ性に優れている点が特徴です。
Shopifyを上手に使いこなすには、基本的な特徴や機能、ほかのサービスとの違いなどをしっかりおさえておく必要があります。
この記事では、Shopifyを始める際の手順や導入事例なども含めて詳しく解説します。なお、本記事内に記載した日本円の価格は税込み(執筆時点)です。
Shopifyとは?
「Shopify(ショッピファイ)」はShopify社が運営するECプラットフォームであり、2004年にカナダで創業し、世界中で数百万のビジネスをサポートしています。2015年にニューヨークとトロント証券取引所に上場し、2017年11月に日本法人を設立しました。
デザイン性とカスタマイズ性の高さから利用者数が増加しており、2017年には50万店舗でしたが、2019年には100万店舗を超えるなど急速な成長を遂げています。サービスのローカライズ化を積極的に推し進めており、Shopifyを利用するユーザーは着実に増えているといえるでしょう。
すでにECサイトを運営している場合も、既存のサイトからShopifyにデータを移行できるという柔軟性の高さから、ECプラットフォームとして高く評価されています。
取り扱う商材や事業規模にかかわらず、多くのショップに選ばれている点から見ても、使い勝手のよいサービスだといえるでしょう。
Shopifyの5つのメリット
Shopifyを利用するユーザー数が増えていることから、それだけ多くのメリットがあると捉えることができます。Shopifyが備えているおもなメリットについて、5つの点を解説します。
Shopifyのメリット①:アプリが豊富で拡張性が高い
ShopifyではECサイトを始めるための基本的な機能がそろえられていますが、より使いやすいサイトにするために役立つアプリが豊富に用意されています。サブスクリプション管理機能や翻訳機能などを追加することも可能であり、カスタマイズ性が高いといえるでしょう。
拡張機能は、「販売促進につながるアプリ」と「業務効率改善につながるアプリ」に大別されますが、ほかにもECに役立つアプリが複数あります。実際にアプリを導入するときは、まずは無料で使えるトライアル期間を活用してみましょう。
同様の機能を持つアプリをいくつか試したうえで、ショップに適したものを選ぶとよいでしょう。ここでは、よく利用されているアプリをいくつか紹介します。
クオリティの高いLPを作るのに役立つアプリ
Shopifyでは標準機能としてブログ機能が搭載されているので、ECサイトへの集客対策としてブログを活用できます。SNSやメールマガジンなどと組み合わせて、継続的に集客に取り組んでいくことが大切です。
さらに踏み込んだ集客を行いたい場合は、LPの作成も検討してみるとよいでしょう。「Shogun Landing Page Builder」や「GemPages Page Builder & Funnel」といったアプリを用いれば、LPを手軽に作成することが可能です。
これらのアプリでは直感的に操作でき、カート機能などの、実際に商品を販売するための機能も備わっています。プログラミングなどの専門的な知識がなくてもLPを作成できるため、初めて取り組む場合でも安心です。
顧客リストの収集・予約受付に役立つアプリ
予約受付や販売開始のお知らせを効率よく行いたい場合は、「Back In Stock ‑ Restock Alerts」というアプリを活用してみましょう。在庫切れの商品が再入荷したときに顧客へ通知する目的で開発されたアプリですが、事前予約などを通じて顧客リストを収集することにも役立ちます。
このアプリを利用すれば、販売開始などのお知らせを顧客に対して一斉送信できます。さらに、特定の顧客だけに特別な内容のメールを送りたい場合は、「Shopify Email Marketing」や「Omnisend Email Marketing & SMS」などのアプリも活用してみるとよいでしょう。
また、購入をしてくれた顧客に対して、レビュー投稿を促すためのアプリもあります。「ReConvert Upsell & Cross Sell」というアプリを使えば、購入完了ページにシェアキャンペーンなどのお知らせを盛り込むことが可能で、手間をかけずにUGC(顧客の手によって作成されたSNSやレビューなどの投稿)を創出できるはずです。
ビジュアル面やゲーム性を充実させたいときに役立つアプリ
自店のECサイトに寄せられるレビューだけでなく、SNS上で顧客自身が発信している投稿を有効に活用していくことも重要です。「Instagram Feed + Photo Gallery」というアプリを用いれば、UGC投稿に商品をひも付けることができ、詳しい商品説明のページやカートにユーザーを誘導することができます。
また「PhotoHero」というアプリを活用すれば、商品ページにInstagramで使用した写真を掲載できるので、レビューをより充実させられるでしょう。
さらに、「Viral Loops」というアプリでは、予約販売を行うときに友人の紹介数に応じたリワードを提供できるため、ゲーム性を持たせることもできます。Viral Loopsの紹介用URLを共有するだけでキャンペーンに参加できるため、SNS上など不特定多数が見ている場で発信を行うことに抵抗があるユーザーにとっても使いやすい機能といえます。顧客やフォロワーとの接点を増やし、良好な関係を築いて集客につなげていきましょう。
Shopifyのメリット②:在庫管理を行いやすい
Shopifyの2つ目のメリットは、ECの売上や在庫状況をスマートフォンなどから容易に確認できることです。さらに、ECサイトだけでなく、実店舗も運営している場合は「Shopify POS」アプリを利用することで、実店舗のデータも自動的に集計され、一括管理が行えます。店舗管理業務を効率化できるうえに、データ分析も手軽に行えるので、さまざまな施策の実行にも役立てられるでしょう。
また、Shopifyではヤマト運輸や佐川急便、日本郵便のほか、海外向けの配送においてはFedExやUPS、DHLなど国内外の大手配送会社と配送情報を提携できるアプリもあるため、安心して利用できます。
Shopifyのメリット③:API連携できる外部サービスが多い
Shopifyでは、多くの外部サービスとAPI連携を行うことが可能です。GoogleやInstagramなどのSNS、NEXT ENGINEやロジレスなどの物流サービス、モール型ECやPOSシステムとの連携もできます。
利用者数の増加によって、今後もさらに外部サービスとの連携が見込まれており、ますます使いやすい環境が整えられるでしょう。
Shopifyのメリット④:SEO設定が手軽にできる
ShopifyではECサイトのトップページ、カテゴリページ、商品ページなどで、ページタイトルやディスクリプションを個別に設定できます。WordPressで例えるならば「All in One SEO Pack」の機能が入っているイメージです。
ECサイト運営でネックとなる重複ページのSEO対策についても、自動でcanonicalタグ(Googleの検索エンジンに正規URLを伝えるタグ)が設定されるので安心です。
SEO対策はECサイト開設後も継続的に行う必要があるため、手間が軽減されるShopifyを選んでおくと便利でしょう。
Shopifyのメリット⑤:サーバースペックが優れている
ECサイトで多くの注文があるのは好ましいことですが、一度にアクセスが集中すると、サイト表示速度が遅くなったりアクセスがしづらくなったりすることもあります。
その点Shopifyは、短時間でアクセスが集中してもサイトがダウンしない強靭なサーバーを持っているので安心です。ECサイトを安定的に運営していくには、サーバーのスペックの部分にも注意してみましょう。
Shopifyの2つのデメリット
Shopifyには多くのメリットが備わっていますが、一方で気をつけておきたい点もあります。ここではおもに、2つの点についてデメリットを見ていきましょう。
Shopifyのデメリット①:英語のスキルが必要になる場合がある
Shopifyは日本にローカライズされてから、ほとんどの機能を日本語で利用できるようになっています。しかし、一部の管理画面やサイトデザインは英文のみの表示となっているので、使いづらさを感じてしまうこともあるでしょう。
特にアプリについては、海外の開発者が作成している場合が多いことから、英語で内容を理解する必要がある場合もあります。このように、一定の英語のスキルが求められることもあるので注意しましょう。
また、Shopifyでは日本語による電話でのサポート対応は行われていません。ECサイトの構築や運営をしていくなかで疑問点が生じたときは、メールで問い合わせを行うことになるため、やりとりに時間がかかってしまう可能性がある点もおさえておきましょう。
Shopifyのデメリット②:プログラミングの知識が求められることもある
Shopifyを使えばECサイトを手軽に立ち上げることができますが、本格的なECサイトを構築したい場合は注意が必要です。クオリティの高いECサイトを作ろうとすると、HTMLやCSSなどのプログラミングに関する知識が求められることもあります。
社内に専門的な知識を持った人材がいなければ、外部に依頼をするといったことも必要になります。どのようなECサイトを構築するのかを踏まえたうえで、導入を検討してみましょう。
Shopifyの基本的な機能
Shopifyは料金プランによって利用できる機能は異なりますが、基本機能として次のものを使うことができます。
- マルチチャネルプラットフォーム
- 在庫管理機能
- Shopifyアプリストアの利用
- 越境EC対応
- ストア分析機能 など
「マルチチャネルプラットフォーム」とは、複数のチャネルと連携させる機能であり、ユーザーとの接点を増やすことに役立ちます。Facebook(Messengerを含む)やInstagram、Amazon、Googleショッピングなどとの連携ができるため、外部サービスと連携して販売の機会を増やしてみましょう。
「在庫管理機能」では、在庫の追跡設定や在庫の表示、在庫数の調整などが行えます。ECサイトの運営において、適切に在庫管理を行うことは重要なので役立つ機能だといえるでしょう。
さらに「Shopifyアプリストア」を活用すれば、すでに備わっている機能に加えて、配送指定や商品レビュー、SEO対策などに役立つ拡張機能を追加できます。Shopifyの大きな特徴として、カスタマイズ性の高さが挙げられますが、アプリが充実しているからこそ、自店に合った機能を追加できるのです。
また、Shopifyは「越境EC」にも対応しています。多言語・他通貨での販売に対応しており、海外向けに商品を販売したい場合にも役立つでしょう。
そして「ストア分析機能」では、ECサイトの流入データと購買データをまとめて確認することができます。ECサイトを安定的に運営していくには、効率よくデータ分析を行って必要な施策を実行していくことが欠かせないため、マーケティングにも有益です。
ほかにも、100種類以上のカスタマイズ可能なテンプレートが用意されていたり、Shopify POS(Point of sale)を使ってオフラインでの商品販売を行ったりできます。
ECサイト開設に必要な機能が標準装備されているので、スムーズに運営を始められるでしょう。
Shopifyの料金プランと手数料
Shopifyを上手に活用するには、料金プランや利用するのにかかる手数料、費用などをきちんと把握しておくことが重要です。ここでは、Shopifyの料金プランや費用について解説します。
料金プランは利用状況に合わせて選べる
Shopifyにはおもに、3つの料金プラン(ベーシック・スタンダード・プレミアム)が設けられています。それぞれの基本的な特徴についてまとめると、次のとおりです。
ベーシックプラン | スタンダードプラン | プレミアムプラン | |
---|---|---|---|
月額利用料金 | 25米ドル | 69米ドル | 299米ドル |
日本のオンラインクレジットカード手数料 | 3.4% | 3.3% | 3.25% |
海外/Amexのオンラインクレジットカード手数料 | 3.9% | 3.85% | 3.8% |
JCBのオンラインクレジットカードの手数料 | 4.15% | 4.1% | 4.05% |
外部サービス取引手数料(Shopifyペイメントを利用していない場合) | 2.0% | 1.0% | 0.5% |
特徴 | ネットショップ初心者におすすめ | 中規模事業者や売上が増えてきた場合におすすめ | 大規模にECサイトを運営したいときにおすすめ |
このように、料金プランによって月額利用料金だけでなく、オンラインクレジットカードの手数料が違ってくるので、どれくらいの規模でECサイトを運営するかを検討したうえで、最適なプランを選びましょう。
また、選択する料金プランによって、利用できる機能が異なる点にも注意が必要です。
料金プランごとに、利用できる機能をまとめると次のとおりです。
各種機能 | ベーシックプラン | スタンダードプラン | プレミアムプラン |
---|---|---|---|
オンラインストア(ECサイトとブログ機能) | 〇 | 〇 | 〇 |
無制限の商品登録 | 〇 | 〇 | 〇 |
スタッフアカウント数(Shopifyの管理画面とShopify POSへのアクセス権があるメンバー数) | 2 | 5 | 15 |
24時間のサポート(英語) | 〇 | 〇 | 〇 |
ほかの販売チャネルとの連携 | 〇 | 〇 | 〇 |
在庫のロケーション | 最大4 | 最大5 | 最大8 |
注文の手動作成 | 〇 | 〇 | 〇 |
クーポンコード | 〇 | 〇 | 〇 |
無料SSL証明書の発行 | 〇 | 〇 | 〇 |
カゴ落ち対策メール | 〇 | 〇 | 〇 |
ギフトカードの発行 | 〇 | 〇 | 〇 |
レポートの発行 | ベーシック | 標準 | プレミアム |
外部サービスの計算済み配送料(外部アプリで計算された配送料を表示) | - | - | 〇 |
顧客セグメンテーション | 〇 | 〇 | 〇 |
マーケティングオートメーション(MA) | 〇 | 〇 | 〇 |
無制限の連絡先登録 | 〇 | 〇 | 〇 |
Eコマースオートメーション | - | 〇 | 〇 |
このように、料金プランによって利用できる機能に違いがあります。Shopifyでは、14日間の無料トライアル期間が設けられているので、さまざまな機能を試しながら自店に合ったものを選んでみましょう。
小規模なECサイトを運営する場合は「ベーシックプラン」が適していますが、将来的に売上の増加が見込まれる場合は、Eコマースオートメーション機能や配送料の自動計算といった機能が備わっている「プレミアムプラン」も選択肢として検討するとよいでしょう。
料金プランごとの決済手数料
Shopifyは全体的な料金プランとしては低めに設定されているので、あまりコストをかけずにECを始められる点が魅力です。しかし、選択する料金プランや利用するクレジットカードによって、決済手数料が異なるため注意が必要です。また、Shopifyペイメントを利用しない場合は、追加料金が発生するので事前に確認しておきましょう。
Shopifyペイメントとは、Shopifyが提供している決済サービスのことであり、外部サービスのアカウント不要でオンライン決済が可能です。また、ほかの決済方法よりも手数料を低く抑えることができます。Apple PayやGoogle Pay、PayPalやAmazon Payなどとの連携も可能なので、自店のターゲット層の利用状況を考えながら検討してみましょう。
ShopifyとほかのECサイトとの違い
ECプラットフォームはShopify以外にもさまざまなものがあり、ほかのオンラインサイトとの違いをよく踏まえたうえで、どれを導入するかを決めることが大切です。Shopifyとほかのオンラインサイトとの違いを、基本的な特徴や費用、手数料、機能面などから比較してみましょう。
まず、Shopifyと同様に初期費用が無料で導入できるクラウド型の「BASE(ベイス)」や「STORES(ストアーズ)」と比較すると、次のようにまとめられます。
Shopify | BASE | STORES | |
---|---|---|---|
初期費用 | 無料 | 無料 | 無料 |
月額利用料金 | 25~299米ドル | 無料 | 0~1,980円 |
取引手数料(サービス利用料) | 無料(Shopifyペイメントを利用した場合) | 3% | 無料 |
決済手数料 | 3.25~3.9% | 注文ごとに3.6%+40円 | 有料プランで3.6%、無料プランで5% |
提供されているアプリ | サードパーティー製 | 自社開発 | 自社開発 |
カスタマイズ性 | 高い | 一部制限がある | 一部制限がある |
外部サービスとの連携 | 連携しやすい | 一部制限がある | 一部制限がある |
おすすめできるポイント | 本格的にECサイトを運営したい、ランニングコストを抑えたい | 個人向け、テスト販売を行いたい、小規模なECサイトの運営 | 個人向け、テスト販売を行いたい、小規模なECサイトの運営 |
この3つのサービスを比較すると、無料プランの有無やカスタマイズ性などに違いがあることがわかります。
BASEは「3つの項目を埋めるだけで、すぐにショップ開設できる」というキャッチコピーのとおり、誰でも手軽にECサイトを始められるサービスです。しかし、あくまで個人向けに合わせた仕様となっており、大規模な販売には向いていません。 STORESについても同様で、ECサイトを手軽に始めるのには適していますが、決済手数料の高さから、取引量が多くなるとコスト面での負担が増える点には注意が必要です。
Shopifyには無料プランはありませんが、クオリティの高いサイトの運営が可能です。料金プランが細かく分けられているので、取引量に応じてプランを変更すれば、ランニングコストを抑えながらECサイトを運営できます。
次に、有料のECプラットフォームと比較してみましょう。
Shopify | MakeShop | カラーミーショップ | |
---|---|---|---|
初期費用 | 無料 | 11,000円~ | フリープランのみ無料(その他プランは3,300円) |
月額利用料金 | 25~299米ドル | 11,000~55,000円 | 0~9,595円 |
取引手数料(サービス利用料) | 無料(Shopifyペイメントを利用した場合) | 無料 | 無料 |
決済手数料 | 3.25~3.9% | 3.14~3.49% (プレミアムプランの場合は月額1,100円が別途必要) | 6.6% + 30円 (フリープランの例) |
提供されているアプリ | サードパーティー製 | 自社開発 | 自社開発 |
おすすめできるポイント | 本格的にECサイトを運営したい、ランニングコストを抑えたい | 国内で多く使われている、サポート体制が充実している | 初期費用は無料、アプリでの販売も可能 |
「MakeShop(メイクショップ)」はGMOメイクショップ株式会社が運営する有料カートシステムであり、国内で多く使われています。ECサイトの構築には一定の知識が必要ですが、MakeShopスタッフによるサポートを受けることも可能です。利用者数やデザインテンプレートの豊富さ、手数料が比較的低い点などが特徴として挙げられます。
一方の「カラーミーショップ」は、GMOペポパ株式会社が運営している有料カートシステムです。商品をアプリで販売することも可能なので、ユーザーとの接点を増やしたい場合に役立つでしょう。
ECプラットフォームにはさまざまな種類があるため、無料トライアル期間などで操作性や機能などを確認したうえで選ぶようにしましょう。
Shopifyを始める手順・登録方法
Shopifyを実際に始めるためには、基本的な作業手順や登録方法をおさえておくと安心です。ShopifyでECサイトを立ち上げるまでの流れをまとめると、次のとおりです。
- Shopifyストアから新規登録
- 管理画面の確認
- 商品登録
- テーマのカスタマイズ
- ドメインの購入
- ストア情報、送料の設定
- 料金プランを選ぶ
各手順について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.Shopifyストアから新規登録
Shopifyを始めるには、まず公式サイトから新規登録を行います。サイトに表示されている「無料体験をはじめる」をクリックしましょう。
Shopifyには14日間の無料トライアル期間が設定されているので、気軽に始められるのが魅力です。メールアドレス、パスワード、ストア名、ストアURLを入力して、ページ下部に表示されている「ストアを開く」をクリックします。
ストアURLは付与されるドメインである「〇〇〇.myshopify.com」の冒頭部分にあたる箇所を入力します。ほかで使用されているドメイン名は登録できないので、オリジナルのものを入力しましょう。
次に簡単なアンケートに回答して、ストアの住所を登録します。ビジネス用の住所として登録するものなので、あらかじめどの住所を利用するかを決めておきましょう。
このステップで登録は完了です。数分程度の作業で登録が行えるので、次に管理画面を確認してみましょう。
2.管理画面の確認
アカウントの取得が完了したら、管理画面からさまざまな項目が確認できます。 管理画面では、次の内容の確認が可能です。
- アカウント名
- ユーザー名
- 注文管理
- 商品管理
- 顧客管理
- ストア分析
- マーケティング(GoogleやFacebookのキャンペーン)
- ディスカウント(ディスカウントコードの作成)
- アプリ管理
- 販売チャネル(FacebookやInstagramなどのチャネルを追加)
- 各種設定(通貨・送料・決済手段・通知メールなど)
- Shopifyガイドブックのダウンロード
- 配送ポリシー
- アカウント設定
- Shopifyトレーニング
- ストアのプラン設定
- Shopifyブログ
初めからすべての項目を使うわけではないので、ECサイトを運営していくなかで少しずつ使い方を覚えていくとよいでしょう。
3.商品登録
オンラインストアの開設に向けて、販売したい商品を登録していきます。管理画面のサイドメニューにある「ホーム」を選択して、「商品を追加する」をクリックします。
商品の編集画面に遷移するので、次の情報を漏れなく入力していきます。
- 商品名
- 商品説明
- 商品画像
- 価格設定
- 在庫管理用コードと在庫数
- 配送設定
- 商品重量
- 関税情報(海外発送の場合のみ)
- 商品バリエーション(同一の商品で色やサイズが違うものを登録する場合)
- 検索表示されるタイトル・テキストの設定
なお、登録する商品が多い場合には、CSVファイルから一括登録することが可能なので活用してみましょう。
4.テーマのカスタマイズ
商品の登録が完了したら、次にサイトの外観部分をカスタマイズしていきます。「テーマをカスタマイズする」をクリックすると、テーマライブラリーから好みに合ったテーマを選択できます。
カスタマイズページに遷移したら、編集画面の機能を使ってサイトのデザインを整えていきます。Shopifyでは細かなデザインを設定できるので、時間をかけて取り組んでみましょう。
5.ドメインの購入
Shopifyではドメインの購入ができます。上述の通り、「○○○.myshopify.com」という初期ドメインが無料で利用できるため、購入は必須ではありません。
独自ドメインを購入したい場合は、「設定」の「ドメイン」から、「新しいドメインを購入する」を選択します。「.com」や「.net」、「.shop」などによって金額も異なります。また、すでに使用されているドメインは利用できないので注意しましょう。
外部サービスなどですでにドメインを取得している場合は、「既存のドメインを接続する」を選択し、Shopifyと既存ドメインを接続します。
6.ストア情報、送料の設定
管理画面の「一般設定」をクリックして、ストア情報を入力していきます。ストア名や住所、ストアで使用する通貨などを設定します。
次に「決済方法」を選択して、クレジットカード決済やShopifyペイメントでの決済に関する設定を行いましょう。Apple Payなどの決済を希望する場合は、ここで各アカウントとの連携を行います。
そして、配送料の設定へと進みます。Shopifyでは地域ごとに異なる送料を設定することが可能です。あとからトラブルが起こらないように、詳しい内容を記載しておきましょう。
7.料金プランを選ぶ
最後に、Shopifyの料金プランを選びます。トライアル期間が終了すると月額利用料金が課金されるので、適したものを選んでください。料金プランは30日、1年、2年、3年ごとに選択でき、契約が長期であるほど料金が割り引かれます。
料金プランは途中で変更可能なので、運営状況に応じて適したプランを選びましょう。
Shopifyの成功事例
Shopifyを活用するには、すでに導入している企業や店舗の成功事例に学ぶのがおすすめです。各社がどのようにShopifyを活用しているのかを紹介します。
オリオンビール
ビールメーカーのオリオンビール株式会社は、2020年7月にECサイトを刷新しています。沖縄以外のファンとの接点を広げるためのリニューアルで、看板商品である「ザ・ドラフト」をはじめ、商品が見やすく配置されており、沖縄の雰囲気を感じさせるデザインが特徴です。
オリオンビールが新しいECプラットフォームとして選んだのがShopifyであり、拡張性の高いアプリケーションが豊富にそろっていたことを導入選定の理由として挙げています。長く運用していくECサイトだからこそ、現在の課題だけでなく、将来の運用も考えて検討した結果といえるでしょう。
また同社は、ECサイトを円滑に運営するために欠かせないフルフィルメントとの連携がスムーズである点も決め手になったとしています。
フルフィルメントとは、商品が注文されてからユーザーの手元に届くまでに必要な業務全般のことで、ECプラットフォームを選ぶうえで重要なポイントです。物流代行業者との連携が行いやすく、受注から出荷まで円滑なプロセスを構築できます。さらにShopifyは、ページの作成においても直感的な操作が可能で、ユーザーインターフェースに優れているため、特別なトレーニングなしで活用できた点もポイントとなりました。
同社ECサイトのリニューアル後は、プレミアムクラフトビール「75BEER」のECサイト限定販売が売上全体の約25%を記録するなど、運営の好調ぶりがうかがえます。そのほかにも、SNSなどを通じてファンとの交流を積極的に行うなど、効果的な運用を行っている事例といえるでしょう。
The Endless Summer(TES)
「The Endless Summer(TES)」は、サーフウェアを取り扱っているアパレルブランドで、日本における公式サイトを立ち上げるためにShopifyを導入しました。バックエンドでは、素材の色とキャラクターの柄を選べる「カスタムオーダー機能」を実装したことがポイントとして挙げられます。
商品とキャラクターのアイコンを選択して、「名入れ」という項目に好きな名前を入力するだけで注文が完了する仕組みとなっており、誰でも簡単にカスタムオーダーが行える環境が整備されています。
サイトのデザインとしては、全体的に白を基調としていて、爽やかな印象を崩さないブランドイメージを構築しています。
カキモリ
「カキモリ」は東京都台東区にある文房具店です。カスタマイズ性やデザインの自由度が高いことからShopifyを導入し、ECサイトを大幅にリニューアルしました。看板商品の「オーダーノート」の売れ行きが好調で、そのほかにもペンやインクなどの5つのカテゴリが用意されています。
ECサイトをリニューアルしたことによって、実店舗の前でオーダーノートの完成を待つ人の行列を解消できたほか、UX(ユーザーエクスペリエンス)向上にもつながりました。また、姉妹店でオーダーインクを製作した顧客であれば、カキモリのECサイトを通じてリピート購入も可能になったことなどから、姉妹店を含めた店舗全体の利便性が高まり、通常よりも高いCVR(コンバージョン率)を実現しています。
カキモリでは、リピーターや遠方の顧客の要望に応えるために2018年からECサイトをスタートしました。それによって、受注・発送作業の手間や時間の削減も実現しました。
物販のみならず、体験価値の提供を重視するカキモリは、ブランドイメージの構築に力を注いでいます。今後も顧客ニーズも踏まえながら、さらなるリニューアルに取り組んでいく様子です。
まとめ
Shopifyはデザイン性やカスタマイズ性に優れているECプラットフォームです。世界中の多くのユーザーから支持を得ており、さまざまな商材や事業規模の運営者が活用しています。
Shopify導入時は、基本的な特徴や機能、料金プランなどを踏まえたうえで、自店に合ったサイトづくりを進めていくことが大切です。すでにECサイトを運営している場合も、Shopifyにデータを移行することが可能なので、自店のターゲット層のニーズを踏まえながら活用を検討してみましょう。
Shopifyは独自の特性を豊富に備えているため、複数のECサイトを運営する場合も候補として考えてみるとよいでしょう。各社の成功事例なども参考にしながら、売上の向上につなげていくことが大切です。