初めてネットショップを開業する際は、何から手を付ければいいか分からないものです。ネットショップを開くには、多くの準備が必要になるので段取りよく進めていくことが肝要です。
また、ネットショップは開業して終わりというものではないので、その後の運用方法も踏まえて、適したものを選ぶ必要があります。
この記事では、ネットショップをスムーズに開業するための基本的なポイントや手順などを解説します。
ネットショップと実店舗の違い
ネットショップ運営の場合、個人で運営するケースが多いなど、実店舗の運営とは異なる点が多くあります。そのため、開業前に店舗運営と比べて、どのような点に違いがあるのかをおさえておくことが大切です。 ここでは、3つの点から店舗運営とネットショップ運営の違いを解説します。
商品の販売方法
実店舗では多くの場合、仕入れた商品をそのまま陳列すれば販売が可能です。しかし、ネットショップの場合は商品の仕入れに加えて、商品ページを作成する必要もあります。
商品ページには、商品の説明文や画像、ショッピングカートなどが必要です。実店舗で販売する場合と比べてると、商品を仕入れてから販売するまで、時間を要するといえるでしょう。
集客方法に工夫が必要
実店舗の場合、近隣エリアをターゲットにすることがほとんどですが、ネットショップの場合は、全国をターゲットにすることが可能です。ターゲットとするエリアの制限がなくなる一方、競合も増えるため、数あるネットショップのなかから自社を選んでもらう工夫を要します。
ネットショップの場合は、販売ページのSEO対策、ネット広告、SNS、ブログなど、ネット集客に力を入れる必要があります。競合との差別化を図るためには、ネット上での集客方法に関する知識や継続的な取り組みを行うことが重要です。
業務体制の構築
実店舗には開店時間や閉店時間がありますが、ネットショップの場合は対面接客を必要としないため、24時間365日受注することが可能です。また、対面接客がない分、注文の確認や問い合わせに対する返信などの対応が必要になります。
ネットショップの規模が拡大してくると、そうした業務に対応するための人員を確保したり、出荷作業がスムーズに進められるような体制を整えたりする必要が出てきます。 ネットショップの規模によってコストバランスを見ながら、ネットショップ運営の方法を検討しましょう。
ネットショップのメリット・デメリット
ネットショップの開業や運営には、メリットとデメリットがあります。開業前に両者をきちんと把握しておきましょう。
ネットショップのメリット
ネットショップを開業するメリットは、実店舗と比べてあまりコストをかけずに開業できる点です。サイト構築後はインターネット接続環境を整えるだけで、全国の顧客にリーチが可能です。
直接店舗を構えるわけではないため、維持費や人件費を抑えながら運営できる点は大きな魅力だといえます。 また、実店舗を構えている場合もネットショップを併設することで、さらなる売上を期待できるでしょう。
ネットショップのデメリット
手軽に始めることができるネットショップですが、きちんと戦略を立てずに取り組むと、思うような成果につながらないこともあります。
ネットショップの場合、ユーザーはネット上で価格面や品質面などの比較を行ったうえで購入を決定します。価格競争にさらされやすく、実店舗のように顧客との直接的な接点がないので、ショップのコンセプトや商品のラインナップなど、細かな部分までユーザーにアピールできるような工夫を施しましょう。
サイト開設後はターゲットとするユーザーにサイトの存在を知ってもらうため、SEO対策やネット広告などに取り組んで、ネット集客を継続的に行っていくことが重要です。
ネットショップを開業する3つの方法
ネットショップのメリット・デメリットを理解したら、具体的に開設する方法を把握しておきましょう。 ここでは3つの方法について、基本的な特徴を交えながら解説します。
ショッピングモール型
「ショッピングモール型」とは、Amazonや楽天市場などのショッピングモールに出店する方式を指します。自分でネットショップを立ち上げる手間がいらず、各モールが案内する手順に従って手続きを進めれば、すぐにネット販売を開始できます。
モールが提供するシステムを使うことで、売上管理や在庫管理などをスムーズに行えます。規模の大きなショッピングモールの場合、日々多くのユーザーがアクセスしてくるので、自分で集客を行う手間も省くことができるでしょう。
しかし、ショッピングモール型は競合が多く、取り扱う商品によっては思ったように販売につながらないこともあります。
また、手数料などが高い、顧客情報を自ら管理できない、などのデメリットもあり、中長期的な運営を考えるとほかの方法を選んだほうがよい場合もあります。
利用時はショッピングモール型がショップに適しているかどうかを事前によく検討しましょう。
ASPカート
「ASPカート」は、ネットショップ構築のために必要なシステムをクラウド上で提供しているサービスのことを指します。具体的には、「BASE」や「STORES」などのサービスが挙げられるでしょう。
特徴としては、初期費用や固定費を抑えられる、初心者でも取り組みやすい、顧客情報を自分で管理できるといった点が挙げられます。ショッピングモール型とは異なり、自分でネットショップを開設・運営する必要があります。
なかには商品登録数など、登録項目に制限があるサービスもあるため、取扱商品の性質や品数などに適したサービスを選定しましょう。
ECパッケージ
「ECパッケージ」は、ASPカートと同様にネットショップを始めるために必要なツールなどがはじめから用意されているのが特徴です。ASPカートよりも豊富な機能がそろっており、拡張性やカスタマイズ性に優れているので、自分好みの販売ページを作ることができます。
ショップの個性やブランド力を表現しやすいため、中長期的にネットショップを運営していくのに向いているといえるでしょう。ECパッケージは初期費用や固定費の負担が大きい点も考慮して、自社に合ったものを選んでみましょう。
ネットショップを開業する手順
どのような方法でネットショップを開設するかを決めたら、具体的な準備に取りかかりましょう。 ここでは、ネットショップ開業時の基本的な手順を紹介します。
1. 取り扱う商品・仕入先を決める
取扱商品によって運営規模や管理のしやすさは異なるため、まずはどのような商品を販売するかを決める必要があります。ある程度専門的な知識を持って選定できる商品分野から取扱商品や仕入れ先を選びましょう。
在庫管理やネットショップを維持するためのコストなどを踏まえて、綿密に資金計画を立てておく必要もあります。仕入先はWebを通じて探すほか、卸売りを行っている会社に直接問い合わせて交渉を行い、複数の仕入先を比較しながら決めるとよいでしょう。
2. ショップのコンセプト・集客方法を練る
販売ページを開設して、商品の在庫を確保すれば販売自体は行えます。しかし、ショップのコンセプトが曖昧なままでは、思うように顧客を集めることは困難です。
まずは、競合となるネットショップをしっかりリサーチして、他社とどのようなコンセプトの違いを打ち出せるのかを検討しましょう。
具体的には、販売する商品をどのような方に購入してもらいたいかを練り上げることが重要です。年齢、職業、収入、家族構成、興味や関心、趣味、悩みなど、自社の顧客になってくれるイメージを可視化し、ペルソナを設定します。
また、販売と集客のバランスや予算設定など、利用するシステムに合わせて適切に詳細を決めておくことも大事です。
3. ショップの立ち上げ準備を行う
ショップで取り扱う商品や予算などが決まったら、利用するシステムの選定を行います。システムによって決済方法や配送手順なども異なってくるので、運営規模に合わせて無理のないシステムを選ぶことが大切です。
また、ショッピングモール型以外の場合は、ネットショップのWebページを構築する作業もあります。ショップを立ち上げる時期は取り組まなければならないことも多いため、リソースが不足している場合はWebページの構築を外部に依頼することも検討してみましょう。
4. 開業届の提出・各種許可申請
ネットショップを開業したら、1ヶ月以内に開業届を税務署に提出する必要があります。開業届を出すことで青色申告が行えたり、屋号の入った銀行口座を開設できたりするメリットがあるので、忘れずに届出を行うことが重要です。小規模企業共済に加入することもできるので、いざというときの備えも確保しておきましょう。
また、取り扱う商品によっては各種許可申請を要することもあります。 たとえば、リサイクルショップを開きたい場合は、警察署に出向いて古物商許可申請を行う必要があります。手続きには時間がかかるので、スムーズにネットショップを開業するためにも、早めに行動することが大切です。
まとめ:開業の手順やサービスの違いを把握しておこう
ネットショップは実店舗と比べると初期費用が少なくて済み、手軽に開業できるといったメリットがあります。開業するための方法や基本的な手順を踏まえて、販売する商品に合ったサイトづくりに取り組みましょう。
また、ネットショップは開業してから継続的な取り組みが必要になるので、運営方法を定期的に見直していくことが大切です。集客やターゲットなど、取り扱う商品に合わせた適切なアプローチを行っていきましょう。