ECパッケージとは、ECサイトの構築・運営に必要な機能をパッケージとして盛り込んだ製品のことです。商品管理や売上管理などの機能が初めから備わっているので、比較的簡単にECサイトを始めることができます。さまざまな製品があるので、必要な機能を検討したうえで自社に合ったものを選びましょう。
この記事では、ECパッケージの基本的な特徴やメリット、各製品のポイントなどを解説します。
ECパッケージとは?
ECパッケージの導入を検討する際は、基本的な特徴をおさえておく必要があります。 まずは、システムの特徴と機能について見ていきましょう。
ECサイトの構築に役立つシステム
ECサイト構築に必要なプラットフォームにはいくつかの選択肢がありますが、その一つにECパッケージがあります。
ECパッケージは、ECサイトの構築・運営に必要な基本機能を備えたシステムのことで、スムーズな立ち上げを行えるのが特徴です。 また、商品や在庫の管理、売上管理のほか、オプション機能の追加や外部システムとの連携など、必要な機能をカスタマイズすることもできます。
プログラミングは不要で、インストールするだけでショッピングカートシステムを構築することが可能です。
ECパッケージの基本的な機能
ECパッケージには、大きく2つの機能があります。
ひとつは、商品を販売するための「フロント機能」です。おもな機能としては、商品検索機能、購入機能、マイページ機能などがあり、顧客との円滑なコミュニケーションを実現します。
もうひとつはサイト運営業務を管理するための「バックオフィス機能」で、受注・配送管理、売上管理、システム管理などの機能が挙げられます。
ほかにも、商品のランキング機能やチャット機能、アクセス解析機能などがあると便利でしょう。ECサイトを運営するうえで必要な基本機能が最初から備わっていることで、スムーズな立ち上げを実現できます。
ECサイトを構築する4つの方法
ECサイトを構築する方法には、ECパッケージのほかに、ASP、オープンソース、フルスクラッチなどがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
1. ECパッケージ
ECパッケージには一般的にECサイトの構築や運用に必要な基本機能がすべて備わっています。
また、ほしい機能をカスタマイズできる自由度の高さもECパッケージの特徴です。さらに昨今は、拡張性の高いECパッケージもリリースされており、専門的な知識がない方でも独自のECサイトを素早く始めることができます。
導入やカスタマイズにかかるコストは比較的高額であるため、商品点数が100点以上と豊富に揃えている中規模以上のサイトの制作に向いている方法といえるでしょう。
ただし、なかにはクラウド型ECパッケージもあり、コストを抑えながら導入する方法もあります。
2. ASP
ASP(Application Service Provider)とは、ECサイト構築に必要なフロント機能やバックオフィス機能をWeb上で提供してくれるサービスのことです。
特徴としては、自社でサーバーの保守や管理を行わずに済む点と、比較的安価なコストで導入できる点が挙げられます。
ただし、機能のカスタマイズ性やデザインの自由度は低いため、中長期的に運用する場合は、ほかの方法も検討してみましょう。
3. オープンソース
オープンソースとは、公開されているソフトウェアを使ってECサイトを構築する方法のことです。無料で利用できますが、専門的な知識がないと構築が難しいといった面があります。
また、運用の面でもセキュリティ対策を自社で行うなど、自主的に管理や改修などを行わなければなりません。 社内に構築や運用のスキルを持った人材がいるかどうかが導入判断の基準となるでしょう。
4. フルスクラッチ
フルスクラッチとは、ECサイトをゼロベースで開発する方法のことです。独自に自由なサイト作りができるのが特徴で、競合他社との差別化を図りたい場合に向いています。
ただし、開発にかかる期間が長く、専門的な技術も必要となるため、それに伴って開発コストも高くなる傾向にあります。
フルスクラッチでサイトを構築する際は、システム開発の委託先企業と詳細に意見を交わしながら進めていきましょう。
ECパッケージを利用するメリット
ECパッケージを利用することで、ECサイトの構築や運用面でさまざまなメリットが得られます。 ここでは、各メリットについてポイントを紹介します。
柔軟にカスタマイズできる
ECパッケージを導入することで、実店舗とECサイトの顧客情報や在庫情報などの一元管理が実現します。個別にシステムを導入するよりも作業効率が向上し、管理の負担を軽減できるでしょう。
また、オプション機能の追加や外部システムとの連携などを行えば、ニーズに合わせて自由にカスタマイズできます。さらに、製品によっては多言語化対応なども柔軟に行えるので、海外向けECサイトを構築する際もスムーズです。
開発から運用までのサポートが充実している
ECパッケージには、ECサイトの構築や管理といった面での手間を簡略化できるといったメリットがあります。費用はかかりますが、自社で専門スタッフを抱える必要がなく、その分サービス提供元がさまざまな面でサポートを行ってくれるのです。
たとえば、ECサイトの設計・開発・テストなどはもちろん、サイト構築後のメンテナンスやアドバイスなど、運用面でのサポートも行ってくれます。
セキュリティ対策が安心できる
ECサイトは個人情報を取り扱うものであるため、情報漏えいなどの事故が発生すればサイトそのものに対する信用度が低下してしまいます。ハッキングやウイルスによる事故が起こるのは、システムのソースコードを第三者に解析されることがおもな原因であり、脆弱性が見つかればサイバー攻撃の対象となるでしょう。
その点、多くのECパッケージでは開発ベンダーがソースコードを開示していないため、オープンソースなどと比べると、セキュリティが非常に強固であるといえます。
ECパッケージを5つ紹介
ECパッケージの基本的な特徴やメリットがわかったところで、具体的な製品としてどのようなものがあるのかを把握しておきましょう。
ここでは、BtoC向けのECパッケージを5つ紹介します。
1. EC-Orange
「EC-Orange」ではソースコードを開示しているため、自由度の高いECサイトの構築が可能です。2007年からサービスを提供しており、導入企業の多さも安心できるポイントだといえます。
大量のアクセスや受注でも問題のないインフラ環境を構築できるので、比較的規模の大きなECサイトでも十分に対応できます。
また、API連携をベースとしたシステム開発が行われているので、外部システム連携のほか、購買データ連携や商品マスタ連携などもスムーズに行えます。
2. ecbeing
「ecbeing」の導入実績は1,400社以上と、中堅企業や大手企業向けECサイト構築において、シェアNo.1(2021年11月現在)の実績を誇るプラットフォームです。
さまざまな業種・業態に対応したサービスを展開しており、BtoCやBtoBのECサイトだけでなく、ショッピングモールの構築や越境ECにも対応しています。
国内最大規模の体制による開発やマーケティングなどのサポートが受けられるので、中規模以上のECサイトを構築したいときにもおすすめのサービスといえるでしょう。
3. eltexDC
「eltexDC」は小規模なECサイトの構築に強みを持っており、カスタマイズ性に優れている点が特徴です。コンパクトにまとめられていますが、ECサイトの構築や運用に必要な機能は一通りそろっているので問題ありません。
ECに関する情報を一元的に管理することができ、リアルタイムで情報が反映されます。データの分析や各種キャンペーン施策の実行が行いやすいため、プロモーション活動に力を入れたい企業に向いているといえるでしょう。
4. EC-CUBE
「EC-CUBE」にはダウンロード版とクラウド版の2種類が用意されており、全国で3万5,000以上の店舗が利用しています。また、クラウド版は2週間無料で試すことも可能です。
種類としてはオープンソース型のEC構築システムで、プラグインは350種類以上あり、カスタマイズやデザインの自由度は高いといえるでしょう。
EC業界国内最大級のECパートナーネットワークを活かし、ECサイト運営における多様な課題やニーズに対応してくれる点も特徴です。
5. ebisumart
「ebisumart」はクラウド型ECパッケージで、時流やニーズに合わせてシステムを常に最新化できる点に大きな特徴があります。
週1回のペースで無料アップデートが行われており、新しい端末やブラウザ、新元号への対応など、多様な改修も可能です。大量のデータ処理やセキュリティ、急なトラフィック増大などにも対応しています。
標準的な機能のほか、ニーズに合わせた独自機能の追加やデザインのカスタマイズも可能で、BtoC、BtoBのどちらにも対応しており、目的に合わせて自由な使い方が可能です。
ECパッケージを選ぶときのポイント
ECパッケージにはさまざまな製品があります。自社に適した製品を導入するためには、製品の特徴や違いを把握しておかなければなりません。
ここでは、機能面や導入実績、カスタマイズの柔軟性といった点から、ECパッケージを選ぶ際のポイントを解説します。
必要な機能をきちんと備えているか
ECパッケージを選ぶうえで重要なことは、自社にとって必要とする機能がきちんと備わっているかという点です。単に機能の豊富さだけで選ぶのではなく、自社が求めるECサイトを構築・運用するうえで必要な機能がそろっているかを重視しましょう。
一般的にECパッケージはサービス内容が充実するほど費用が高くなる傾向にあります。そのため、必要とする部分と不要な部分を明らかにしないままシステムを導入すれば、余分な維持費を払い続けることになるので注意が必要です。
ECサイトを構築するにあたって、自社が何を求めているかを洗い出す作業は、無駄なコストの削減にもつながります。社内で取り組むべきことと、サービス提供元に支援してもらうことをきちんと分けておきましょう。
同じ業種で導入実績があるか
ECパッケージを選ぶ際は、製品の導入実績もチェックしておきましょう。導入実績を確認する際は、実績数だけでなく、自社と同じ業種での実績があるかも確認します。同業種での導入実績が少ない場合、ECサイトの開発期間が長くなったり、導入のためのコストが膨らんでしまったりする恐れがあるためです。
反対に、同業種の導入事例が多くある場合は、ノウハウや技術の蓄積がなされていることが予想できるため、ECサイトの構築をスムーズに進められるでしょう。
ECベンダーは過去に構築した経験をもとにECサイトを作っていくので、ECパッケージそのものを見極める大事なポイントとなるのです。
時代の変化に合わせたカスタマイズができるか
ECの分野は消費者ニーズの移り変わりが激しいため、ECサイト立ち上げから数年経つとECサイトが陳腐化する恐れがあります。そのため、時代の変化に合わせて柔軟な対応が可能なベンダーを選ぶことが重要です。
ECパッケージで構築したECサイトの耐用年数は、一般的に3~5年といわれており、継続的なアップデートが必要です。ECパッケージを選ぶ際は目先の良し悪しだけで判断するのではなく、数年先も見据えておく必要があります。
自社が作ろうとしているECサイトのイメージに長期的にマッチしそうかどうかをチェックしましょう。それらの確認を通して、製品そのもの価値だけでなく、担当者との相性の良さも確認しておくことが大事です。
まとめ:自社に合ったECパッケージを見つけてみよう
ECパッケージは、ECサイトの構築や運用に必要な基本機能が最初から一通り備わっているのが特徴です。社内の人材が不足していたり専門的な知識がなかったりする場合でも、サービス提供元のサポートを受けることで、素早くECサイトを立ち上げられます。
製品によって得意とする分野や規模、費用などが異なるので、各社の違いを比較しながら、自社に合ったものを選ぶことが大切です。また、ECは変化の激しい分野でもあるため、柔軟に対応してくれる会社を選びましょう。