Magento(マジェント)とは、アドビ社のExperience Cloudで提供されているサービスのひとつであり、世界的に広く普及しているECプラットフォームです。
国内ではそれほど知名度が高くなかったものの、2018年にアドビ社が買収したことにより注目されるようになり、特に越境ECサイトを構築するうえで高く評価されています。
Magentoの導入を検討するにあたっては、どのような特徴を備えているのかを把握しておくことが重要です。 この記事では、Magentoの基本的な特徴や特徴、利用料金などについて詳しく解説します。
Magentoとは?
「Magento」は、世界的なシェアを誇るECプラットフォームです。ここではまず、Magentoの基本的な特徴や機能について紹介します。
Magentoの基本的な特徴
Magento(マジェント)は世界で幅広く導入されているECプラットフォームで、「Ecommerce Usage Statistics」のデータによれば、オープンソース型のソフトウェアで世界第3位、約8%のシェアを持っているとされています。
大きな特徴は優れたカスタマイズ性とデザイン性にあり、ECサイトの構築に特化した機能が多数備わっています。
さらに、豊富な機能と高いセキュリティを備えているにもかかわらず、無償のプランが用意されているのも大きな魅力です。
おもな機能を紹介
Magentoには、次の3つのEditionがあります。
- 「Open Source Edition」(旧Community Edition)
- 「Commerce Edition」(旧Enterprise Edition)
- 「Commerce Cloud Edition」(旧Enterprise Cloud Edition)
それぞれ以下のように異なる特徴を持っているので、サイトの規模や予算に応じて、必要なプランを選んでみましょう。
おもな特徴 | 最適なユーザー | |
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Open Source |
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Commerce |
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Commerce Cloud |
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どのプランを選ぶかによって、サポート体制や使用できる機能などに違いは生まれるものの、以下の機能は基本性能としてどのプランでも使用できます。
Magentoの基本機能
- 多言語・多通貨・税管理対応によるグローバル対応
- 無制限のマルチサイト機能
- 決済・配送機能
- クーポンなどのプロモーション管理機能
- 分析・レポート機能
- 高度なセキュリティ
- CMS機能が付属している
日本語対応している
世界的に普及しているMagentoですが、日本国内では比較的導入が遅れていました。その理由としては、日本語対応の導入が困難であったことが挙げられます。
しかし、「Magento2」となった2016年6月からは、公式に日本語対応となりました。日本語ロケール(翻訳ファイル)によって、ブラウザ上の設定だけで日本語化が行えるので、国内での活用もしやすくなっています。
Magentoを利用する3つのメリット
ECプラットフォームとして、Magentoにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのポイントから具体的に解説します。
1.豊富な機能が備わっている
ECサイトを構築するためのさまざまな機能がはじめから実装されており、導入しやすいのも大きな特徴といえます。特に、多言語・他通貨に対応していることから、「越境EC」の構築に強みがあり、豊富なテンプレートから業種や対象の国に沿ったデザインも簡単に実現可能です。
また、機能の性能そのものも高く、大量の商品データを登録しても処理速度が落ちないよう設計されている点もメリットといえるでしょう。 無料版でも高性能な機能をそのまま活用できるため、コストを抑えながら安心して運営できる環境が手に入ります。
2.カスタマイズ性に優れている
Magentoではカスタマイズを柔軟に行うことが可能です。オープンソース型なので自由な設計が可能であり、活用していくなかで機能を追加することもできます。
ECサイトの場合は、顧客の広がり方や戦略の方針転換によって必要な機能が変化するケースも少なくないので、カスタマイズ性は導入検討時の重要なポイントになるといえるでしょう。
3. 複数のWebサイトを一括で運用できる
ひとつ目の重要な長所としては、ひとつのMagentoで複数のWebサイトを運用できる点が挙げられます。
一般的なECプラットフォームで複数のサイトを運営するためには、それぞれのサイトに環境を構築しなければなりません。
しかし、Magentoでは異なるサイトをまとめて運用できるため、商品情報や在庫データについて連携を取りながら管理するといったことも可能です。
Magentoを使うときの2つの注意点
Magentoを利用するうえでは、導入前に理解しておくべき注意点がいくつかあります。
1. サイトのローンチまでに時間がかかる
ECプラットフォームのなかには、より手軽さや扱いやすさに特化したものも数多く開発されています。こうしたものと比較すると、Magentoはさまざまな機能を理解する必要があり、ローンチまでに時間がかかってしまう傾向にあるでしょう。
また、無料版の場合はカスタマーサポートを受けられないため、不慣れな場合は導入に苦労してしまう可能性もあります。
ただし、作り込んだサイトを構築したい場合は、手軽さに特化したプラットフォームと比較すると多機能なMagentoのほうがスムーズにローンチへ至ることもあるため、事前に要件を整理して比較検討するとよいでしょう。
2. 使用方法を理解するまでに時間がかかる
Magentoには多くの機能が備わっているので、各機能の特徴を理解して使いこなすのにはそれなりに時間が必要となります。また、米国製であるため、基本的な情報源は英語です。
ただし、Magento2では日本語の翻訳ファイルをインストールすることで、管理画面やフロント画面のほとんどを日本語で表示できます。ブラウザ上の設定だけで日本語化が行えるので、言語面での心配は特にいりません。
Magentoの利用料金
Magentoの利用料金は、どのプランを選択するかによって異なります。
無料版と有料版がある
これまでも見てきたように、Open Source版は無料でダウンロードできます。サイトの運営に必要なサーバ代などはかかりますが、基本的には無償で高度な機能を利用できるのがMagentoの強みです。
一方、有料版の利用料金は、売上予想・ドメイン数・アクセス数などに応じて計算されます。
無料版と有料版の違い
無料版と有料版の違いは、利用できる機能の種類と性能にあります。
次の項目は、有料版のみで利用できるおもな機能です。
- 高度な検索機能
- 詳細なマーケティングツール
- GUI操作(ドラッグアンドドロップなど)による画面レイアウト作成機能
- CMS機能で作成した下書きページの保存、プレビュー
- BI(ビジネスインテリジェンス)による100種類を超えるレポート機能
- BtoBのECサイトとして運営するための各種機能
- 配送元となる倉庫が複数ある場合の在庫及び配送管理
- ポイント機能、ギフト機能などの顧客ロイヤルティ向上ツール
Magentoの設定方法
Magentoの設定方法について、ここでは「ダウンロード」「インストール」「日本語対応」の3つのステップに分けて解説します。
1.ダウンロードの手順
ダウンロードにはアカウントが必要となるため、まず利用者のアカウントを登録します。
アカウント登録は「Create an Account Now」から始めます。氏名やニックネーム(アカウント名)、メールアドレス、勤務先の業種、担当内容、パスワードを入力しましょう。
登録が済むと、登録したメールアドレス宛に認証メールが送付されるので、案内に沿ってダウンロードし、画面上部のメニュー「PRODUCTS & SOLUTIONS」をクリックしてスタートします。
続いて、サブメニューの左下にある「Community Edition」をクリックすると、ダウンロードボタンが出てくるのでそのまま選択をします。
その後、ページ下部にある「CONTINUE WITH COMMUNITY EDITION」ボタンをクリックすると、ダウンロードするファイルの形式が複数出てきます。
該当するファイル形式を選んだら、ログインをして個人情報を入力し、「SUBMIT」をクリックするとダウンロードは完了です。
2.インストール方法
まずはダウンロードしたzipファイルを解凍します。続いて、FTPソフトなどを用いて、サーバ上の任意のエリアにすべてのファイルをアップロードします。
アップロードが完了したら、データベース(MySQL)を作成し、接続情報をメモしましょう。接続情報にはユーザー名やパスワードなどが含まれています。
その後、各フォルダに書き込み権限を付与し、所定のURLへアクセスした状態で画面下部の「Agree and Setup Magento」ボタンをクリックすると、インストールが始まります。
インストールは「動作環境チェック」「データベース接続情報の入力」「Web画面設定」「カスタマイズ」「アカウント設定」の順に手続きを進め、最後に管理画面へログインするとすべての作業が完了となります。
3. 日本語対応
前述のとおり、Magento2からは日本語に対応できるようになりました。まずは公式ページで「Japanese Language Pack for Magento 2」を入手してください。
続いて、管理画面の「SYSTEM」からサブメニューに入り、「Web Setup Wizard」を選びます。続いて設定マークの「System configuration」をクリックし、「veriteworks/m2-japaneselocale」をインストールしましょう。
すると、管理画面の言語が日本語に切り替わったことを確認できます。以上で日本語対応への準備は終了となります。
まとめ:Magentoの特徴をおさえて効果的に活用してみよう
Magentoは米国で生まれた先進的なECプラットフォームです。特に多言語対応、他通貨取引対応といった点に強みがあるので、国際的な取引を行う越境ECサイトを構築する際には役立つツールといえます。
2016年に日本語対応が行われたことに加え、2018年にアドビ社による買収が行われたことで、国内でもますます活用の場が広がっていくと想定されます。 Magentoの基本的な使い方と特徴を理解して、ECサイトの構築に活用してみましょう。