仏ピュブリシスグループのメディアエージェンシーであるゼニス社は、世界の主要60か国におけるモバイル広告やモバイルテクノロジーについて調査。2016年10月27日に「モバイル広告予測」を発表した。
モバイルでのインターネット利用をリードする国は、スペイン・香港・中国
モバイル経由でのインターネット利用の普及は、西欧・アジア・北米など世界の幅広い地域で進んでいる。中でも、2016年のモバイル利用率が最も高いと見込まれているのはスペインで、その割合は85%に上る。次に香港(79%)、中国(76%)、米国(74%)、イタリアとインド(ともに73%)と続く。
その後2018年までには、スペインに代わり香港が89%でトップの座を占めると予測されている。続いて中国(87%)、スペイン(86%)が入り、その次に米国とイタリア(ともに83%)、インド(82%)の順になる見込みだ。
スマートフォンの普及率は2012年から2016年にかけて2.4倍に
モバイル経由でのインターネット利用の拡大の背景にあるのは、モバイル端末の急速な普及だ。60か国におけるスマートフォンの普及率は、2012年にはわずか23%だったが、2016年には56%と4年間で2.4倍に増え、さらに、2018年には63%に高まると見込まれている。タブレット端末の普及率はそれほど高くなく、2012年に4%であったのが2016年には15%、2018年には17%に達する見込みだ。
スマートフォンの普及率が高いのは西欧とアジア
スマートフォンの普及率が高い地域は、西欧とアジアに集中している。国別で最も高いのはアイルランドの92%で、続いてシンガポール(91%)、スペイン(88%)、ノルウェー(86%)、韓国(84%)の順と推計している。2018年には、アイルランド(94%)のトップは変わらず、次がスイスとシンガポールの92%、ノルウェーと台湾の91%になると予測している。
一方、タブレット端末の普及率は国ごとに大きく異なる。調査した60か国中、10か国でタブレット端末の普及率は5割を超えたが、10%未満の国も10か国あった。特に、人口比でこの60か国の27%を占める中国の普及率がわずか3%にとどまり、これが全体の平均値を大きく下げる要因となった。また、人口比で26%を占めるインドの普及率も6%だった。タブレット端末の普及率のトップはシンガポールの75%、最も低かったのは中国とタイの3%だった。
2018年にはインターネット広告の6割がモバイルに
世界のインターネット広告に占めるモバイル広告の割合は、2016年の44%から2017年には52%に拡大し、2017年にはモバイル広告がデスクトップPC向け広告を上回ると予測されている。その後もこの傾向は続き、モバイル広告の割合は2018年にはインターネット広告全体の6割に達すると見込まれている。金額ベースでは1,340億米ドルに上り、これは新聞・雑誌・映画・屋外広告すべての総額を上回る金額になる。