驚異的なスピードでECサイトを次々と構築
TSIホールディングス(以下、TSI)は、「nano・universe」「NATURALBEAUTY BASIC」など34のブランドを擁し、国内約1300店舗で展開する総合アパレル企業。総売上は約1670億円。ECが占める割合はおよそ12%の約200億円で、その売上は年々増加している。TSIはブランドごとのWebサイト構築にデマンドウェアのプラットフォームを導入し、6か月の間に傘下のグループ会社が運営する7つのブランドのオムニチャネルサイトを立ち上げた。
同社はサイトでの店頭在庫確認や、サイト予約した商品を店頭で試着してから購入できる「在庫の一元化」と、サイトと店舗の顧客データベースを統合し、ポイントカードの共通利用や商品購入履歴を取得できるなどの「顧客の一元化」を可能にする機能を必要としていた。TSIにおけるEコマースとデジタルマーケティング事業を担うTSI ECストラテジーでは、これまで国内の開発会社に発注しオンプレミスで行ってきたサイト構築において、クラウドコマースソリューションである「デマンドウェア」を導入し、圧倒的に少ない工数でオムニチャネルサイトを次々と構築した。
2015年11月末に最初のサイト「JILL STUART」をオープンして以降、12月の「DVF(ダイアン フォン ファステンバーグ)」(日本語サイト)、1月の「VIVIENNE TAM」「ADORE」、2月の「HUMAN WOMAN」と、4か月の間に5ブランドのオムニチャネルサイトをリリース。5月18日に「JILL by JILLSTUART」、31日には「東京スタイル」がリリースされた。従来のオンプレミス型ではひとつのサイト構築には、最短でも3.5か月が必要だったことから、大きな時間短縮を実現した。
グローバルECへ向けて
TSIの目指す戦略には「グローバルEC化」「クロスボーダーEC化」がある。デマンドウェアには海外展開に必要なあらゆる機能が実装され、スムーズに当該国での事業を開始できる。マルチカレンシーや中国マーケットに対応しているので、開発工数の削減と展開のスピードアップも可能だ。
同社による比較では、サイトでも店舗でも購入する顧客の単価が、店舗でのみ購入する顧客の約2倍から4倍という結果が出ている。さらにモバイルからの利用率は、以前のサイトでは60%程度だったが、デマンドウェアを導入したサイトでは80%を超えており、モバイルサイトの使いやすさがデータにも表れている。
各サイトではオープン直後から好調な売上を記録。これまで直営のECサイトがなかった「HUMAN WOMAN」では、初日に100万円を超える売上があった。新規の顧客が違和感なくデマンドウェアのサイトで購買行動をしたことがうかがえる。
TSIではこれからもデマンドウェアをコマースプラットフォームとして、ブランドごとのオムニチャネルサイトを順次構築していく計画だ。またクロスボーダーECの実装を順次スタートさせグローバルEC化の展開を開始するとともに、さまざまなアプリケーションと連携するなどオムニチャネル化もより強化していく。