小額な買い物でも、低価格ショップを探す傾向が明らかに
野村総合研究所は、全国で15~69歳のインターネット利用者を対象に、「2030年の生活」と「買い物」に関するアンケート調査を2016年2月に実施した。
インターネット利用者のうち、昨年1年間にネットショッピングを経験した割合は、回答者全体の80.2%。年齢別にみても大きな差はなかったことから、ネットショッピングの利用が中高年層にまで広がり、生活に定着していることがうかがえる。
購入するネットショップを選定する際の必須条件は、「送料が安い(無料)」と「価格が安い」を挙げる人が多く、商品が1万円の場合と1000円の場合で大きな差は見られなかった。また、買い物が3,000円以上になると、半数以上の回答者(64.2%)が複数のネットショップで価格比較をすると回答している。
一般的には、高額商品ほどより低価格なネットショップを探す傾向が強いと考えられるが、3,000円以下の商品でもその傾向は同様であることが明らかになった。
特定業態で先行するECチャネル利用率
小売業態別に、どの程度の利用者がその業態で提供するEC(電子商取引)チャネルの利用経験があるかを調査した結果、元が無店舗販売の形態である「カタログ通販」が73.1%と最も多くなっている。実店舗型の業態では「家電量販店」が最も高く、ECチャネル利用率は42.0%。さらに「服飾セレクトショップ」が14.9%と続いている。
実店舗やネットショップなどの販売チャネルを統合的に提供する「オムニチャネル化」は、業態間で進展度合いに差があり、一部の業態で先行している。
「世帯のプラットフォーマー」の競争激化
従来の業種業態を超えて、家庭へ複数の商品やサービスを一元的に供給する企業は、「世帯のプラットフォーマー(Household platformer)」とよばれる。今後は電力の自由化やガスの自由化も進展が見込まれることから、世帯のプラットフォーマーの地位獲得競争が加速することが予想される。
インターネットを利用している生活者が、どの業界やサービスを中心に各種サービスをセットする契約先として考えるかを聞いたところ、「自宅のインターネット契約(15.5%)」「携帯電話の契約(13.9%)」「電気の契約(10.5%)」の順に多くなっている。ただし、約4割の人は世帯のプラットフォーマーを決めていない。年代別に見ると、10代~30代は、携帯電話の契約を中心に考える割合が高いこともわかった。
【調査概要】