アスクル株式会社が、統合報告書「ASKUL Report 2024」を発行した。3回目の発行となる今回は、中期経営計画の進捗とともに、今後の中長期での成長に向けた戦略・考え方、特に同社のDX戦略などが説明されている。具体的な内容は次のとおり(一部抜粋)。
アスクルのDX戦略
同社では、顧客や取扱商品、オーダー、物流・配送、問い合わせに関するものなど、ビッグデータを日々蓄積している。独自のサプライチェーン構造により、幅広い領域のビッグデータの保有と活用が可能とのこと。ここにAIなどのテクノロジーを掛け合わせて「バリューチェーンの最大効率化」「顧客体験の最高化」「社会課題の解決と事業成長の両立」を目指している。
また、同社は「オフィス通販からのトランスフォーメーション」に向けて、商材拡大に継続的に取り組んでいる。顧客ニーズにスピーディーに対応しながら、効率的に商材拡大するため、商品採用業務プロセスDXの取り組みを開始。プロセスDXを通じて「品揃え」「価格最適化」「露出最適化」の改善を実現するとしている。
eコマース×サステナビリティの取り組み
労働力不足が問題となる中、アスクルはローコスト、高品質、短納期といった物流価値を維持しながら、業界の構造的な課題解決に取り組む考えを示している。入荷、庫内作業、輸配送などの各プロセスにおいて、負荷軽減や作業時間短縮、自動化を推進するDX化を強化。物流センター内の重労働工程をロボット化する取り組みを進化させるとともに、昨今は配送ドライバーの生産性向上を支援するドライバーアプリの開発、ロングテール商品を高密度で保管しながら効率的に出荷する自動搬送ソリューションの導入を進めている。
また、同社は物流負荷を軽減するための新商品やサービスの開発にも注力している。これまでにも、物流効率を考慮したオリジナル商品の開発や、顧客と協力して出荷物量を平準化する「おトク指定便」を提供してきた。新たに、当日配送サービスを選択できる仕組みを導入し、顧客の要望の実現と配送生産性を両立する取り組みも開始している。
アスクルが目指すエシカルeコマース
アスクルは、環境問題への対応を中心に社会課題解決につながる商品やサービスの提供に注力してきた。一方で、これらの社会価値の高い商品やサービスは、利益が出なくてもやむを得ないと受容しながら取り組みを進める場面もあった。エシカルeコマースを実現するには、社会課題解決につながる商品・サービスの社会価値と経済価値を両立=トレード・オンする必要があるという。同社は、トレード・オンの視点として、経済価値の捉え方の変革が重要と考えている。
そのため、今後はアスクルの商品やサービスを長期的に利用する顧客・取引企業の拡大、従業員やパートナーのロイヤルティを高めるなど、ステークホルダーに波及する長期的経済価値を追求する視点も重視するとのこと。具体的には「商品環境スコアの見える化」「資源循環の取り組み(資源循環プラットフォーム)」「世の中から無駄な廃棄をゼロにする(Go Ethical)」に取り組んでいく。