博報堂のEC領域に特化した組織横断型プロジェクト「HAKUHODO EC+」は、シンクタンク博報堂買物研究所とともに、博報堂DYグループ「ショッパーマーケティング・イニシアティブ」の取り組みとして、直近1年以内にECで買物をした生活者を「EC生活者」と定義。利用実態や生活意識を聴取する「EC生活者調査2023」を実施した。
今回の調査は、パンデミックで需要が拡大したECの利用や浸透度、および世界的な経済不安にともなうEC生活者の意識への影響、EC生活者が求める機能を明らかにすることで、今後のECが提供すべき価値について知見を得るために行われた。
同調査結果の詳細は、次のとおり。
EC利用は幅広い年代に浸透し、1年以内のEC利用率83.6%、月1回以上は64.4%
生活者の1年以内のEC利用率は全体で83.6%となり、幅広い年齢層で高い水準にあることが判明した。
主要ECサイトを月1回以上利用する人の割合は、2023年は64.4%。2020年比では+2.5pt、2021年比では+0.3ptという結果となった。コロナ禍がひと段落した2023年も伸長しており、生活者のEC利用の浸透がうかがえる。
20代以下を中心に日用消費財のEC購買金額が増加、【利便性】が重視される
購買ログ分析では、日用消費財のEC購買金額が2021~2022年にかけて108%の伸長率という結果に。オフラインの伸長率102%と比較して高く、日用消費財の購買においてECシフト化がうかがえる。
20代以下では日用消費財のEC平均購買金額が前年比126%と大きく伸長した。
日用消費財のEC平均購買金額が前年から1万円以上伸びた人は「重たい商品の配達」や「定期的に買いたい商品を買う」など、ECの「利便性」を評価していることがわかった。
EC金額シェア率はトイレタリーカテゴリーの増加が顕著に
日用消費財のカテゴリー別で、EC金額シェア率が2021年度と比較して2pt以上増加したのは化粧品(2021年度比+2.8pt)、おむつ・生理用品(同年度比+2.4pt)のトイレタリーカテゴリーだった。
物価上昇を受け、EC生活者の節約意識高まる 食料品・日用雑貨品は安価商品購入、ファッションは買い控えで対策
物価上昇を受け、EC生活者の72%が「節約意識が高まった」と回答。特に食料品・ファッション・日用雑貨品カテゴリーでは、半数以上が生活防衛策を実施していた。
具体的な節約行動として、食品・日用雑貨品ではより安い商品安価な商品を選択し、 ファッションカテゴリーでは「商品の買い控え」が意識された。
EC機能の利用意向:生活者ニーズの高いEC機能は即配、カスタマイズ・パーソナライズ。
EC生活者の約15%が即配サービスを利用している。サービス利用経験者では即配やカスタマイズ機能・パーソライズ機能への満足度が高く、生活者起点でニーズの高いサービスが今後重要である。
調査概要
- 調査時期:2023年1月
- 購買ログデータ取得期間:2022年1月~2022年12月(2ヵ年比較は21年1月〜12月)
- 調査エリア:全国
- 調査対象者:1年以内にECを利用したことのある15~69歳男女
- サンプル数:通常ウェブ調査5,000s+購買パネル調査4,938s 計9,938sを本調査で回収
- 調査手法:インターネット調査
- 調査会社:インテージ