イケア・ジャパンは、IKEA Tokyo-Bayの倉庫を国内のイケア店舗で初めてオートメーション化することを発表した。
日本では9つのイケアストア(大型店舗)、3つの都心型店舗、カスタマーサポートセンターの展開に加え、ECサイト(IKEAオンラインストア)の開業およびIKEAアプリの配信、さらに国内各地で商品受取りセンターを拡大、IKEAポップアップストアを開設し、ユーザーとのタッチポイントを増やしている。
同社は、ECサイト上のオーダー増加を中心とした変わりゆく購買行動のニーズに対応するために、それぞれのタッチポイントをつなぎ、総合的にアプローチするオムニチャネル化を加速する施策に注力している。
自動倉庫を導入
オムニチャネル化においてロジスティクス(物流)の整備は重要であり、以前よりロジスティクス業務の効率化を目指した取り組みを進めてきた。
関東全体をひとつのマーケット(One Tokyo Market)として捉え、店舗間でのシームレスな連携およびカスタマーフルフィルメント(ユーザーが商品を購入して手元に届くまでの業務)能力の最大化を目指している。この取り組みのなかで同社では、従来関東圏の4つのイケアストア(大型店舗のIKEA新三郷、IKEA Tokyo-Bay、IKEA立川、IKEA港北)で担っていた小物配送のピックアップ業務をIKEA Tokyo-Bayに集約し、より効率よく商品を発送する。効率化の一環として、
ピックアップ業務の集約化に合わせてIKEA Tokyo-Bay倉庫内に自動倉庫型ピッキングシステム(オートストア)を導入し、稼働を開始した。AutoStoreの導入により、ユーザーの雑貨や小物類のオーダーに合わせて、ピッキングロボットが高密度保管自動倉庫から商品を自動でピックアップすることが可能となる。今後、関東圏の小物配送商品をAutoStoreが自動でピックアップすることで、コワーカー(従業員)が店内を歩き回る従来の方法と比べ、約8倍の作業効率で発送が完了するという。
また、コワーカーが働きやすい環境を提供することを重視している。AutoStore導入によって、倉庫内におけるコワーカーによりやさしい働く環境を実現。コワーカーが待つポートまでロボットが商品を運ぶことで、従来のピックアップ作業がなくなり、またエルゴノミクス(人間工学)を取り入れたポートは、コワーカーが商品をピックアップする際の身体への負荷を軽減し、業務をしやすいスペースになっている。同社の物流を支えるコワーカーの働き方も改善することで、今後の同社のオムニチャネル化の成長をさらにサポートする。
今回IKEA Tokyo-Bayに導入するAutoStoreは、酸素低減システムを備えており、空気中の酸素濃度をコントロールした防火設備。これにより、コワーカーや商品だけでなく、倉庫全体の安全性を高めている。また2018年以来店舗および本社にて100%再エネ電気のみを使用しており、AutoStoreも再生可能電気100%で運用する。
タッチポイントの強化
商品受取りセンターでは、イケア店舗やオンラインストアで購入した大型家具の受取りを通常配送より手ごろな価格で利用できるようになる。今現在、札幌市、岡山市、高松市、広島市、静岡市、浜松市と全国に6ヵ所の商品受取りセンターを開設。より多くのユーザーに、快適な毎日を提供するため、2023年末までに、追加で日本全国の10拠点以上で商品受取りセンターを開設する予定となっている。また、より多くの人々により快適でサステナブルな家での暮らしを実現するためのアイデアや商品を提供するため、IKEAポップアップストアを積極的に展開していく予定とのこと。
ラストワンマイル配送をゼロエミッション化
同社は、2030年までに、製品輸送による温室効果ガスの絶対排出量を2017年と比較して15%削減することを目指している。Ingkaグループは、イケア店舗を運営している31ヵ国すべてで、2025年までにゼロエミッション車によるラストワンマイル配送100%を目指す。イケア・ジャパンでは、今現在、6台のEV車を使用しており、今後さらにEV車の数を増やしていく予定。なお、車両の充電でも再エネ電気を100%使用している。