吉野家とヤマト運輸は、吉野家の直販・卸向け外販事業における流通スキーム再構築に向けた合意書を締結した。
「冷凍牛丼の具」をはじめとする吉野家の個食用冷凍食品の保管から発送までを、ヤマト運輸の3温度帯(常温・冷蔵・冷凍の3つの温度帯)物流ネットワーク上に一元化することでオペレーションを効率化し、出荷キャパシティを拡大するとともに、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量を削減する。吉野家公式通販ショップを含む直販サイト全5店舗では、8月17日(水)から同スキームにて運用を開始しており、卸向けについては2023年2月から運用開始予定だという。
吉野家は1899年、東京日本橋の魚河岸で創業。家庭でも手軽に吉野家の味を楽しめるように、1993年から「冷凍牛丼の具」を発売し、卸向けに外販事業を開始した。また、2013年から初の直販サイトとなる吉野家公式通販ショップを開設し、主力商品である「冷凍牛丼の具」や特定健康保健用食品「トク牛」など全79品を販売している。
新型コロナウイルスの感染拡大やライフスタイルの変化によって、中食需要はさらに高まっており、2021年度における吉野家の外販事業売上は2018年度比の2倍となった。これまで吉野家は直販・卸部門ごとに委託業者を選定し、物流管理を行ってきたが、70種類以上にのぼる複数温度帯の商品管理やセット組(複数の商品を組み合わせてひとつの商品として扱えるようにする倉庫内での作業)など、増加するニーズに迅速に対応するため、流通スキームの効率化が大きな課題だった。
ヤマト運輸は、ユーザーのサプライチェーンを上流から下流までトータルに支援するために、全国の拠点と輸配送ネットワークのシームレスな結合や、デジタル情報の可視化を通じて、在庫の適正化やスピード納品、輸配送コストの削減など、顧客企業の経営に資するビジネスパートナーを目指している。
今回、両社は、高まる中食需要に対応し、個食用冷凍食品の出荷キャパシティをさらに拡大するため、外販事業における流通スキームを見直し、持続可能なサプライチェーンを構築する。
構築した外販流通スキーム
出荷キャパシティの拡大
ターミナル一体型3温度帯物流施設に商品の保管から発送まで一元化することで、多様なセット組や賞味期限コントロールなど、複雑な出荷作業にかける時間を確保し、さらには作業オペレーションを効率化させることで、出荷キャパシティを拡大する。
サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減
従来の倉庫と物流ターミナル間の輸送で発生していた温室効果ガス排出量を削減するとともに、従来行っていたオーダー前の事前ピッキングやセット組が不要となり、余剰分の食品・資材のロスを削減する。
今後も同社は、外販事業における流通スキームのさらなる効率化により、オーダーから配送までのリードタイム短縮や商品ラインナップの拡充など、ユーザーの多様なニーズに対応する。また、食品・資材ロスや温室効果ガス排出量の削減などを通して、より持続可能な食品流通の実現を目指す。