帝国データバンクは、「食品主要105社」価格改定動向調査を実施し、その結果を発表した。同調査結果の詳細は、次のとおり。
なお、同調査における品目数および値上げは、各社発表に基づく。また、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用。価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含んでいる。
円安影響で記録的「値上げの秋」 8月は2,400品目、10月は年内最多の6,000品目超で値上げ
上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を調査した結果、7月末までに累計1万8,532品目で値上げが判明した。このうち、8月単月での値上げは2,431品目にのぼり、単月で初めて2,000品目を超えた。値上げの勢いは秋口以降も止まる気配がみられず、10月は6,305品目で値上げ計画が明らかになっており、単月としては年内最多だった。1万品目を突破した6月1日から約2ヵ月間で1万品目の値上げが新たに判明しており、このペースで推移すると、年内の累計値上げ品目数は8月中に2万品目超えが確実となる。
また、各品目の価格改定率(各品目での最大値)は平均で14%となり、6月末時点から上昇。急激に進んだ円安を背景に、夏〜秋以降の値上げを中心として値上げ幅が拡大している。
今夏以降の値上げ要因では、原油高にともなう包装資材や容器、物流費の高騰、加えて急激な円安による影響を挙げたケースが多かった。2022年5月頃までは小麦など原材料価格の高騰が値上げの理由だったが、近時は原油高による輸入・物流コストの上昇、さらに急激な円安にともなう輸入コストの上昇へと変化している。特に、年初に値上げを実施した食品類を中心として円安を理由とした再値上げ・再再値上げが秋以降に集中しており、全体の値上げ品目数を大幅に押し上げる要因となっている。
多くの食品分野で値上げ率上昇 円安・物流費上昇で大幅引き上げ目立つ
食品分野別に値上げとなった品目をみると、もっとも多いのは加工食品で7,794品目が判明した。前月か1,000品目超増加し、全品目のうち唯一7,000品目を超えた。値上げ率も平均で16%に達し、特に年後半にかけて大幅に値上げする食品が多い。
調味料では4,350品目となり、前回調査から約2,000品目が増加した。だし製品など水産品関連の値上げが相次いでいることに加え、年内に砂糖や食用油が複数回値上げされたことを背景に、マヨネーズ製品などで値上げが顕著だった。
酒類・飲料(3,732品目)では新たな値上げはほぼ見られなかったものの、10月にビール類や清涼飲料水で一斉値上げが予定されており、値上げ品目数は全分野で3番目に多くなっている。