TISは、あらゆるバーチャル空間をショップ化し、空間内で決済まで完結できる小売業向けSaaS「XR Pay」の提供を開始した。
XR Payは、アパレル店舗やショッピングモールなどを仮想空間上で再現し、商品選択から決済までをひとつの空間上で完結可能な購買体験ができるサービス。
従来のバーチャルショップでは、360度の3D空間内で陳列している商品を選択することはできても、購入時は各商品提供元のECサイトへ遷移しなければいけなかった。同社が提供する決済完結型バーチャルショップを構築できるXR Payでは、来店顧客にほかのサイトに移ることなく決済まで同じ空間内で買い物を楽しめるため、深い没入感とスムーズな決済体験を提供することが可能となる。
「XR Pay」の概要
XR Payは、3D立体空間を利用した、空間内でショッピングを完結できる新しい購買体験を提供するサービス。今回は第1弾として、360度カメラで空間を3Dスキャンする Matterport(実際の空間を360度カメラでスキャンし、その空間の3Dモデルを作成するサービス)によるバーチャルショップ用の空間制作と、商品管理、売上〜注文〜発注管理など、オンラインショップ運営に関わる各種機能を提供する。
Matterportを用いた店舗の撮影は全国の撮影事業者と協業し、店舗撮影からバーチャルショップ構築、サービス利用中の問い合わせサポートまでを提供する。
XR Payは各ブランドが抱える「ブランドのコンセプトや店舗の雰囲気を、体験と共に、より強く消費者へ訴求したい」というコロナ禍における新たなニーズや、「単なるウェブ上のECでは商品情報や店舗情報が不足し、消費者が興味を示さない/選択できないケースが多い」などの課題解決につなげる。
- BtoC の物販を事業として持つ企業…家具、雑貨、アパレル、スポーツ用品、ホームセンター、IP 保有企業など
- ショールーミングによる集客を実施する物理店舗…ショッピングモール、ラグジュアリーブランド、ミュージアム、観光事業など
- 物理店舗を管理する事業者…不動産、商店街、地方自治体、商工会議所など
世界における2021年のAR・VRは、引き続き高い成長が見込まれている。
一方でバーチャル空間内の購買は、ウェブのECへ遷移させるケースが多く、バーチャル空間で得られる没入感や購買意欲が損なわれ、機会損失による逸失利益が発生してしまうといった課題がある。そこで同社はXR Payの提供を通してその課題を解決する。
企業/店舗のメリット
- 自社サイトで完結するため、来店客を離脱させず購入機会損失を避けられる
- ブランドや商品のコンセプトの訴求によるコアファンを形成
- ロケーションに囚われることなく、新規顧客へのアプローチが可能
- 各種業務をXR Pay上で一元管理、店舗業務の効率化を実現
- 低予算&短期で導入可能
同社では事業者向けに、サイト構築支援、店舗運用支援サービスを提供するほか、大手企業が自社でXRなどの機能を使ったサイトで決済機能を実装できるように、サイト構築用SDK(独自アプリを構築するために必要なプログラムや技術文書をまとめたもの)も提供する。
来店顧客のメリット
- 従来は単なる情報の選択だった購買が、非日常な空間や時間の提供によって、熱狂や高揚感をともなう体験が得られる
- 商品を店舗の内装と合わせてリアル感を持って確認できる
- 外出自粛などで遠方への訪問が難しい場合でも、まるで店内にいるような没入感や臨場感が得られる
- 個人の購入品や決済情報を一元管理できる(煩雑な手続きなしに、過去の購入品の閲覧や各種個人情報登録が可能)
提供内容
- 360度カメラで3Dスキャンした空間
- 商品登録・管理、注文、売上管理などの各種機能
- 同サービスに関する問い合わせサポート
同社は今後、あらゆるバーチャル空間での購買行動実現を目指し、同社のリモートコミュニケーションサービス「XR Campus」シリーズでのライブコマース化や、VR技術を用いた仮想空間でのショッピングサービスを提供予定となっている。