NECは、小売業向けに、商品の販売ライフサイクルに沿った戦略的な価格付けを実現する小売価格最適化ソリューションを2022年4月より販売開始する。同ソリューションは、同社が米Clear Demand Inc.と日本国内における独占販売契約を締結して提供する。Clear Demand社では同ソリューションを2012年より米国で提供を開始しており、これまでに北米のスーパーやホームセンターなどで導入されている。
昨今、コロナ禍の影響などで物価が上昇するなか、消費者は価格に対する関心を一段と高めている。小売業においては、地域の競合店舗やオンライン店舗との価格競争が激しさを増しており、行き過ぎた低価格化による損失を回避するため、売上目標や利益目標を踏まえた適切な価格付けが求められている。
同社は小売業の戦略に基づいた価格付けを実現するため、経済学の理論をベースに作成した価格モデルを使い、導入実績が豊富かつ操作性が高く、NECが販売する店舗システムと売上データなどとのスムーズな連携が可能な小売価格最適化ソリューションをSaaS型で提供する。
同ソリューションは、AIを活用して商品の販売ライフサイクルのフェーズに沿った戦略的な販売価格を算出。具体的には、小売業が保有する商品マスタ情報や販売実績、競合他店情報などから需要予測や価格付けに関わる分析を行い、最適化技術を活用して、通常価格、販促価格、売り切り価格のそれぞれで、売上や粗利益の最大化を目指した販売価格を提示する。これまで主として人の勘や経験によって行われてきた価格付けを、AIの活用により、データや理論に裏付けされた価格付けで支援する。
また、これまで人手で行っていた価格付けのプロセスにAIを活用することで、業務の効率化も期待できるという。
同ソリューションの特徴は、次のとおり。
戦略シナリオに基づいたきめ細やかな価格の提示
「商品特性やカテゴリーを考慮した価格」「自社の店舗がある地域や店舗特性に合わせた価格」「競合他店の価格を考慮した価格」「チャネル戦略に合わせた価格」などの戦略シナリオに基づいた価格を提示。シナリオは複数設定でき、店舗の状況に合わせたシナリオへ容易に変更することが可能。
精緻な分析による販促業務プロセスの効率化を実現
一般的に手間がかかる販促時の価格付けにおいて、カニバリゼーション分析や同時購入傾向分析、リベートを考慮した売上分析や粗利分析が可能。これらの分析を通じて、より効果的な販促価格付けを実現する。また、販促時に手間がかかるチラシ作成において、業務を効率化する機能を具備している。
理論に基づいた分析結果をわかりやすく掲示、価格付けの意思決定を支援
経済学の理論をベースに作成した価格モデルに従って、商品の販売ライフサイクルのフェーズと戦略シナリオを掛け合わせて最適価格を算出する。算出された最適価格はグラフなどでわかりやすく表示され、経営上の重要な意思決定である価格付けを支援する。