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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzineニュース

2021年次世代物流システム・サービス市場は前年比4.4%増の6,282億円見込み/富士経済

 富士経済は、ロボティクスの活用やサブスクリプション型サービス導入の広がりに加え、ラストワンマイルの課題解消に向けた取り組みなどが進み、変革期を迎えている物流システム・サービスの市場を調査した。

次世代物流システム・サービス市場(日本市場+日系メーカー海外実績)

2021年見込 2020年比 2026年予測 2020年比
ロボティクス・オートメーション 440億円 116.7% 914億円 2.4倍
ロジスティクス・ファシリティ 2,483億円 101.6% 3,152億円 129.0%
ラストワンマイル 245億円 118.9% 459億円 2.2倍
IoT 477億円 103.5% 642億円 139.3%
AI 78億円 121.9% 506億円 7.9倍
サービス 2,559億円 103.8% 3,956億円 160.4%
合計 6,282億円 104.4% 9,627億円 160.0%

 2020年は新型コロナウイルス感染症流行の影響により、ユーザーの設備投資が抑制されたことや事業者による営業展開が制限されたことから、市場は縮小した。2021年は巣ごもり需要などEC利用増加に伴う物流量の増加や、人手不足対策としてロボットなどの導入が進んでいることから、市場は前年比4.4%増が見込まれる。今後は、省人化を目的とした自動化ニーズの高まりや目的別に最適化された製品の伸長、DXの取り組み加速により市場が拡大し、2026年には2020年比60.0%増の9,627億円が予測される。

 DXの実現に向け、主要システムとなるロボティクス・オートメーション、IoT、AIが伸びていくとみられる。ロボットとソフトウェアを連携した自動化ソリューションの展開が進んでいるのを受けて、ロボティクス・オートメーションは、フレキシブルな生産ラインの構築、柔軟なレイアウト変更ニーズの増加により伸びるとみられる。IoTは、自動化に加えて、従業員の高齢化や引退に伴い、これまでのアナログ管理からソフトウェアを活用したデジタル管理への切り替えが進んでいることも伸びを後押ししている。AIは、実証実験や試験導入から本格運用に移行することで伸びが期待される。

 また、サブスクリプション型サービスの展開が増えており、運輸・倉庫事業者や物流施設の運用事業者による、EC事業者を対象としたサービスや、中国系ロボットメーカーによるサービス展開が進んでいる。導入にかかる初期費用が低く、繁忙期や閑散期などで需要に合わせた柔軟な運用が可能なことから、これまで労働集約型の作業体制に依存してきた物流現場におけるロボティクスの活用を加速させると期待される。

AI再配達回避ソリューション

2021年見込 2020年比 2026年予測 2020年比
日本 20億円 133.3% 130億円 8.7倍

 主に個人宅向けの輸配送業務において、AIの活用により再配達を回避するソリューションを対象とする。

 従来、再配達回避はトラックドライバーのノウハウに頼ってきたが、現在、AIを活用した実証実験が進んでいる。スマートメーターの情報から在宅状況をAIが判断し不在時の配達を回避するシステムや、最適なルート配送をAIが構築するシステムなどがある。

 在宅時間の増加により、再配達率は減少傾向にあるが、EC利用増加、ドライバー不足や働き方改革という観点からニーズは依然として高い。市場は2019年に立ち上がり、大手運輸事業者が本格的に配送オペレーションにシステムを組み込むために、実証実験・試験導入を進めている段階であるが、本格運用へ移行することで拡大し、2026年には130億円が予測される。

RaaS(Robot as a Service)

2021年見込 2020年比 2026年予測 2020年比
日本 2億円 100.0% 33億円 16.5倍

 物流向けと対象物流施設内のピッキングの補助やソーティングを行うロボットと、ソフトウェア、保守・メンテナンス、コンサルティングなどをパッケージとして提供するサブスクリプション型サービスを対象とする。

 物流倉庫でロボットを活用した自動化設備を導入する場合、巨額の初期投資が必要となることや、事前に業務効率化の効果も見えにくいことから、RaaSを活用し、ユーザーの導入ハードルを下げる取り組みが進んでいる。特に、物量の季節変動が大きい物流業界にとって、相性が良いサービスとみられ注目度が高い。

 2019年に市場が立ち上がり、2020年はアパレル、2021年は宅配向けを中心に導入が進んでいる。2021年の市場は、新型コロナの影響から事業者による営業展開が制限されたことで横ばいになるとみられるが、人手不足による自動化や生産性の効率化、参入メーカーや取り扱い製品の増加などから、今後市場は拡大し、2026年には33億円が予測される。

無人宅配・配送ロボット

2021年見込 2020年比 2026年予測 2020年比
日本 7億円

 UGV(無人陸上走行車両)を用いて屋外で郵便物や飲食物の配送するロボットを対象とする。現状は、敷地内での利用または公道で実証実験が行われている段階であり、参入を目指すメーカーが増えている。

 2021年度を目途に経済産業省が制度の基本方針を決定し、関連法案の提出が行われる予定である。これにより、2022年から一部のコンビニエンスストアやフードデリバリーなどで試験的に宅配ロボットの導入が進むとみられ、市場の形成が期待される。

 現状では、公道走行が可能なロボットは限定的であるため、当面は緩やかな拡大にとどまるとみられる。また、配送ロボットの車両価格は安価ではないことから、技術開発に向けた補助施策や、利用者拡大に向けた補助・支援制度なども必要とみられる。

AGV・アーム付AGV(全体市場は日本市場+日系メーカー海外実績)

2021年見込 2020年比 2026年予測 2020年比
全体 295億円 113.5% 510億円 196.2%
日本 220億円 115.8% 397億円 2.1倍

 製造現場などで部品や半製品、完成品の搬送に利用される自律走行型の無人搬送車を対象とする。

 2020年は、設備投資が抑制されたことで市場が縮小した。日本市場は自動化ニーズの高まりにより拡大を維持したものの、海外での営業活動が制限された影響が大きかった。新型コロナの流行により、密な状況を作れないことから、労働人数の減少を目的に省人化ニーズは加速している。2021年は自動車関連やエレクトロニクス関連、物流関連で大型案件が目立っており、市場が拡大するとみられる。

 近年はSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を活用した自律走行可能なガイドレスタイプの導入が増えており、特に自動車完成車メーカーではコンベアを活用せずに、生産ラインをAGV化する取り組みも進んでいる。また、直置きパレットをAGVで取り、搬送するニーズが出てきていることから、参入メーカーはフォーク型AGVの開発を進めている。フォーク型でパレットを取得した後に、別のAGVで搬送するなど、AGV間での連携も進んでいくとみられ、用途が広がることで、さらなる市場拡大が期待される。

WMS(倉庫管理システム)(全体市場は日本市場+日系メーカー海外実績)

2021年見込 2020年比 2026年予測 2020年比
全体 208億円 103.0% 286億円 141.6%
日本 190億円 103.3% 263億円 142.9%

 物流現場における在庫管理、入出庫管理を行うソフトウェアを対象とする。

 物流業界では慢性的な人手不足に加え、EC利用増加による倉庫内作業や業務の複雑化・小口化などから既存システムでは対応しきれないケースが増えていることや、製造業でもERPや生産管理などの基幹システムではできない細かな在庫管理の必要性が増していることから、倉庫内の作業の正確性とスピードアップを可能とするWMSの導入が進んでいる。市場は、2020年に続き、2021年も拡大が続くとみられるが、大型案件は設備投資が先送りにされていることもあり、2022年以降の伸びが期待される。

 また、大手ITベンダーなどは輸配送業務を含めたサプライチェーン全体の最適化に取り組んでおり、ロボットやAGVなどとの自動連携を可能とするため、メーカーとの提携や技術連携などを進めている。

 導入のためのSIerや、運用するユーザー側でのIT人材不足などの懸念はあるものの、物流センターの大型化や自動化への投資は今後も続くこと、低コストで導入可能なSaaSにより中堅企業での導入が進むことで、市場は引き続き拡大するとみられる。

調査対象

ロボティクス・オートメーション9品目、ロジスティクス・ファシリティ8品目、ラストワンマイル5品目、IoT6品目、AI4品目、サービス6品目。

ロボティクス・オートメーション

  • AGV・アーム付AGV
  • 次世代物流ロボットシステム
  • AMR(協働型ピッキング支援ロボット)
  • 物流向けアシストスーツ
  • 倉庫ロボットシステム(棚搬送AGV)
  • RFIDトンネルゲートシステム
  • ソーティングロボットシステム
  • AGV用ワイヤレス給電システム
  • AGF(無人フォークリフト)

ロジスティクス・ファシリティ

  • デジタルピッキングシステム
  • 電動式移動棚
  • 自動搬送・仕分けシステム
  • 天井走行式モノレール
  • 立体自動倉庫システム
  • 垂直搬送機
  • 回転棚
  • 自動梱包システム

ラストワンマイル

  • 宅配ボックス(戸建向け)
  • 無人宅配・配送ロボット
  • 宅配ボックス(集合住宅、公共スペース向け)
  • 超小型モビリティ
  • 物流向けドローン

IoT

  • ハンディターミナル
  • バース管理システム
  • WMS(倉庫管理システム)
  • 配送見える化ソリューション
  • 物流向けシミュレーションソフト
  • 倉庫内作業可視化システム

AI

  • 自動運転トラック
  • AI画像認識活用物流システム
  • 物流向け音声認識エンジン
  • AI再配達回避ソリューション

サービス

  • RaaS(Robot as a Service)
  • 求車求貨マッチングサービス
  • 通販フルフィルメントサービス
  • 温度・振動管理システム・サービス
  • 倉庫シェアリング
  • パレットレンタルサービス

調査方法

富士経済専門調査員による参入企業および関連企業・団体などへのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用

調査期間

2021年9月~11月

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

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