発表会では、同社のコマース事業を担当する執行役員・島村武志さんがプレゼン、質疑応答で島村さんとともに、舛田淳さんが壇上に上った。
現在のLINE MALLは、CtoCのフリマアプリというイメージがあるが、それはLINE MALLの機能の一部でしかないという。「LINE MALLでビジネスをされる事業者の方からは、何らかの形で料金をいただく」と島村さん。今後は、BtoC のEC事業が展開されるわけである。
それを受けて、「楽天、Amazon、ヤフーなど意識しているサービスはあるか」と記者からの質問に、「当然意識しているが、これらのサービスがある前提で、LINEで新たにECに参入する意義を考えた上でのLINE MALL。LINEの本質である、”つながり”を活かしてビジネスをする」と答えた。ほかにも、完全にスマートフォンでのショッピングであること、LINEが第三者として介入するエスクローであることが特徴である。
今回発表された、LINE MALL上に展開されるサービスは次の5つ。
明日8月開始予定の「LINE グループ購入」は、LINEでつながっている複数の友人同士でまとめ買いができる機能。該当商品はドリンク、パスタ、缶詰など食品や日用品を予定しており、通常価格から最大50%で購入できるようになる。
今秋以降を予定しているのは、「LINE ギフト」。LINEでつながっている友人にギフト商品を贈る機能だ。LINE MALL内でギフト商品を購入し、LINEの友だちリストから送り先を選択するだけ。受取人は届いたメッセージから、住所や配送日を設定して受け取る。
年内予定の「LINE マルシェ」は、産地直送を実現するサービス。生産者とLINE MALLが契約を結び、収穫したての農作物や水揚げされたばかりの魚介類などを、産地から直接購入できる。
「LINE セレクト」は、オンラインで店舗展開しているセレクトショップとLINE MALLが契約を結び、自宅や職場にいながらにして購入できる。「本当にウィンドウショッピングのようにするために、かなり苦労した」と島村さん。
公開時期未定の「LINE クリエイターズモール」は、クリエイターと工場をつなぎ、ハンドメイド商品を量産製造するのを支援するサービス。現状のハンドメイドECでは、人気がある商品でも量産できないのが課題だが、それを解決。また、工場では、「ニーズのある商品」を製造することができる。
これらのサービスをもって、ここ数年言われてきた「プッシュ型EC」の実現を目指す。従来の検索・比較して購入に至る「プル型EC」との対をなす言葉で、 商品との出会いの場を提供することによって、ニーズが顕在化していない層の「つい買っちゃった」を促すのだ。
今回発表されたサービスは、フラッシュマーケティング、ソーシャルギフト、ハンドメイドECといったサービスを、LINEの”つながり”という特徴を活かした形で取り込んだように見えるが、圧倒的なユーザー数を持つLINEならば、これまで以上の盛り上がりを見せるかもしれない。
舛田さんは、「LINE MALLはLINEのビジネスの中核」と明言。プッシュ型ECの実現によって、3%台にとどまる日本のEC化率の急進をも狙うとのこと。