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2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzineニュース

2020年度国内「オタク」市場、巣ごもり需要でホビー関連4分野が成長 アニメは縮小/矢野経済研究所

 矢野経済研究所は、2020年度の国内の「オタク」市場を調査し、主要分野における各分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

 本調査における「オタク」市場とは、一定数のコアユーザーを有するとみられ、「オタクの聖地」である秋葉原などで扱われることが比較的多いコンテンツや物販、サ ービス等を指す。本調査では、「アニメ」「漫画(電子コミック含む)」「ライトノベル」「同人誌」「プラモデル」「フィギュア」「ドール」「鉄道模型(ジオラマ 等周辺商材含む)」「アイドル」「プロレス」「コスプレ衣装」「メイド・コスプレ関連サービス」「オンライン(スマートフォン向け)ゲーム」「ボーカロイド(関 連商品含む)」「トイガン」「サバイバルゲーム」を対象とし、市場規模を算出している。なお、ここでは主要13分野の市場規模を公表する。

1.市場概況

 本調査における「オタク」市場は新型コロナウイルス感染拡大の影響で分野により好不調が分かれ、2020年度の市場は主要13分野のうち、成長したのは4市場、残りの9市場は縮小となった。

 市場成長したホビー関連の4市場は、「プラモデル」「フィギュア」「鉄道模型(ジオラマ等周辺商材含む)」「トイガン」、市場縮小したのは「アニメ」「同人誌」「ドール」「アイドル」「プロレス」「コスプレ衣装」「メイド・コスプレ関連サービス」「ボーカロイド(関連商品含む)」「サバイバルゲーム」の9市場であった。

2.注目トピック

ホビー関連市場は巣ごもり需要を背景に市場拡大

  コロナ禍に見舞われた2020年度において、オタク市場主要13分野のうち、ホビー関連4分野(プラモデル、フィギュア、鉄道模型(ジオラマ等周辺商材含む)、トイガン)が市場成長を果たした。いずれも新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛要請の影響で、自宅で過ごす時間が増えたことによる「巣ごもり需要」が拡大した。

  プラモデルは、既存ユーザーに加え、休眠ユーザーや新規ユーザーも新たな遊びにプラモデルを選択する人が増え、親子のコミュニケーションツールとしての需要も高まった。

  フィギュアは、既存ユーザーのネットショッピングの機会増加や「鬼滅の刃」をはじめとする人気タイトルの効果、外出できないストレスを緩和するアイテムとしての需要が後押しとなった。

  鉄道模型は、全般的に定番車両や下回り品、周辺商品などが堅調に推移した。特に既存ユーザーにおいては、レールの買い足しやサウンド商品、レイアウト・ジオラマ商品などの購入が目立った。

  トイガンは、サバイバルゲームやシューティングプレイなど施設に出掛けて遊ぶ機会は減少したが、自宅でトイガンを見たり手入れをしたりカスタムなどをして楽しむ人が増え、トイガン本体や保持するトイガンのメンテナンス用周辺パーツの販売が好調に推移した。

3.将来展望

 オタク市場の主要分野であるアニメ市場とアイドル市場の2021年度市場規模は、徐々に自粛緩和が進むとともに各社のウィズコロナ対応の影響もあり市場回復が見込まれるものの、コロナ禍以前の状況に戻る見通しは立っておらず限定的な回復に留まると予測する。

 2021年度のアニメ市場規模はアニメーション制作事業者売上高ベースで、前年度比1.8%増の2,800億円になると予測する。2021年度は、長引くコロナ禍の影響によって、引き続き劇場・TV作品の公開や放映延期、催事イベントの延期や中止、キャラクター商品販売店舗の営業自粛等が懸念される。また、劇場への入場者を制限することによる 興行収入の伸び悩みや、作品に連動した催事イベントの延期や中止など、事業面への影響も続いている。テレビアニメの制作本数は前年度から増加する見込みであるが、大幅な市場回復は見込めないと予測する。

 一方で、映像配信事業においては、引き続き外出自粛による自宅で過ごす時間の増加によってサービスを利用するユーザー数が加速度的に伸びており、国内外での拡大が見込まれる。また、日本アニメの人気が国際的に高まるなか、海外の動画プラットフォーマーや制作企業と取引を行うケースが増えている。近年、Netflix(米)やテンセント、ビリビリ(中)など海外の動画プラットフォーマーらが日本国内のアニメ制作企業に対する関心を高めており、独占配信などの直接契約・取引を行うほか、資本の提供 や日本国内での制作スタジオの設立といった動きも目立っている。

 一方、2021年度のアイドル市場規模はユーザー消費金額ベースで、前年度比7.1%増の1,500億円を予測する。2021年度においても、新型コロナウイルス感染拡大の影響は続いており、2020年度前半の何もできない状況からは脱しているものの、リアルのアイドル活動がコロナ禍以前に戻ることは厳しい見通しであることから、市場規模の回復は限定的になると予測する。

調査要綱

  1. 調査期間: 2021年7~9月
  2. 調査対象: 「オタク」に関わるコンテンツや物販、サービス事業者および業界団体等
  3. 調査方法: 同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、アンケート調査、電話調査、ならびに文献調査併用

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