ミレニアル世代とは?
ミレニアル世代とは「千年紀の」という意味のミレニアル(Millennials)からきた言葉で、西暦2000年以降に幼少期から社会人になった世代です。10代ごろからスマホなどを利用しはじめているため、インターネットにも慣れ親しみ、「デジタルネイティブ」とも呼ばれています。
ここでは、ミレニアル世代とはどのような世代なのかを見ていきましょう。
80年代~90年代後半生まれ
ミレニアル世代は80年代〜90年代後半に生まれた世代で、日本では「ゆとり世代」とも呼ばれた年齢層です。アメリカで生まれた概念であるため、必ずしも日本人に当てはまるわけではありません。
物心がついたころからスマホやパソコンなどのデジタルデバイスに触れてきたという状況は重なりますが、環境の違いや日本独自の事情を考慮することも必要でしょう。
たとえば、アメリカのミレニアル世代はキャリアの将来性に前向きで起業家精神も高いことに比較すると、日本はキャリアにも起業にも消極的といった違いがあります。
デジタルネイティブ世代
ミレニアル世代は生まれたときからインターネットなどのデジタル環境が身近にあり、デジタルネイティブ世代とも言われています。10代の頃からスマホが急激に普及しはじめ、現在は日常的に使いこなしている世代です。価値観や消費行動に、ほかの世代とは違った特性が見られます。
ただし、ミレニアル世代の価値観は多様です。世代間でも異なる考え方が併存しており、世代の特徴をひとくくりで語ることはできないでしょう。
ミレニアル世代の特徴
ミレニアル世代は早くからスマホやパソコンなどデジタル機器に触れているため、デジタル技術に強いのが大きな特徴です。「モノ」の消費にこだわらないのも特徴のひとつで、新しい価値観を生み出しています。仕事よりもプライベートを重視する、ボランティアなど社会貢献に関心があるのも、ミレニアル世代の傾向と言えるでしょう。
デジタルに強い
ミレニアル世代の特徴で第一にあげられるのが、デジタルに強いことです。デジタル技術が普及した時代に生まれ、インターネットが当たり前の生活環境で育っています。従来、わからないことは人に聞く、本などで調べるのが通常であったのに対し、ミレニアル世代はネットで検索することが当たり前です。
人との交流はTwitterやInstagramなどのSNSを利用し、コミュニケーションや人とのつながりを大切にします。インターネットを利用した買い物にも抵抗はありません。
「モノ」の所有にこだわらない
ミレニアル世代は「モノ」の所有にこだわらない傾向があります。「モノ」の価値を重視し、所有することに強い関心があった世代とは異なり、所有よりも「モノ」を通した体験を重視しているのが特徴です。
そのため、ミレニアル世代は商品へのこだわりや開発ストーリー、独自の世界観を持つD2C(ネット上で顧客と直接取引をするビジネスモデル)のターゲット層ともされています。
ミレニアル世代にとって所有は必要最小限のもので足りるため、カーシェアリングやルームシェアなど、他人と「モノ」を共有するシェアリングサービスの利用も増えています。
「モノ」の所有から関心が離れているのは、これまでの世代よりも収入が減っていることも影響しているでしょう。
プライベートを重視する
ミレニアル世代は仕事よりもプライベートを大切にするのが特徴です。ワークバランスを重視し、プライベートの充実を求めています。
ミレニアル世代が生まれたのはバブル崩壊後で、雇用システムも終身雇用体制が崩れはじめたころです。 そのため、企業内での出世を目指すよりも副業で収入を得る、フリーランスとして独立するといった方向性を志す傾向があります。
社会貢献に関心がある
社会貢献に関心があるのも特徴です。ミレニアル世代が思春期を過ごした時期は地下鉄サリン事件やアメリカ同時多発テロといった大きな事件があり、阪神淡路大震災や東日本大震災などの災害も経験しています。リーマンショックのような経済危機も見てきた世代です。
そのため社会問題について考える機会が多く、ボランティアなどの社会貢献に参加する人も多い傾向があります。
社会の動向に敏感で、社会運動にも積極的に参加することが多いでしょう。環境問題に対する関心も高く、ミレニアル世代が中心になって世論を形成することも少なくありません。
Z世代との違い
ミレニアル世代に続く世代はZ世代と呼ばれ、ミレニアル世代とはまた違った特徴があります。ミレニアル世代よりもさらにデジタルが進化した時代に生まれ、よりデジタルネイティブの度合いが強いのが特徴です。
ミレニアル世代と共通する点もありますが、安定志向がより高い傾向があります。ここでは、ミレニアル世代とZ世代の違いを見ていきましょう。
Z世代とは?
Z世代は90年代後半から2010年ごろまでに生まれた世代です。中学、高校時代からスマホやソーシャルメディア(インターネットを利用してコミュニケーションを促進するサービス)を使いこなし、ソーシャルネイティブとも呼ばれています。
Z世代はミレニアル世代と同じくアメリカ発祥の言葉で、1965~1980年ごろに生まれた世代を「ジェネレーションX(X世代)」と呼んでいることが由来です。アルファベット順に、そのあとの年代がY世代、続いてZ世代となります。Y世代は年代がミレニアル世代とほぼ重なり、特徴も同じように語られるのが多いです。
Z世代は安定志向
新卒のZ世代に対する企業選びについての質問では、「安定している会社」を選ぶ割合が多いという結果が出ています。Z世代はリスクを回避して安定性を求める傾向があり、これは、終身雇用体制が崩れる環境にあった親の世代を見てきた影響とも考えられています。
また、ミレニアル世代以上にSNSに親しんでいるZ世代は、人とのつながりやコミュニケーションをより重視する傾向があります。SNSを通じて世界中の情報に接していることから、グローバル意識が高いのも特徴です(参考:株式会社マイナビ「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」)。
Z世代は実用性を重視
Z世代は消費に関して、実用性の高い商品やサービスを重視する傾向があります。若いころから不況を経験し、収入が少ないことが影響している可能性もあるでしょう。
また、環境や社会に配慮したブランドを好むのも特徴のひとつです。購買行動ではSNSを通じた口コミを参考にすることが多く、共感できるものを選ぶ傾向もあります。
ミレニアル世代の購買行動
デジタルネイティブであるミレニアル世代は、購買行動でもこれまでの世代とは大きく異なる特徴があります。それは所有することの価値についてです。「モノ」の価値を重視してきたこれまで世代とは異なり、ミレニアル世代は所有することにステータスを感じません。
何かを体験し経験を得ることにお金をかけ、買い物はネットショップが主流です。SNSの評判を重視し、健康意識が高い傾向があります。ミレニアル世代の購買行動について紹介しましょう。
体験にお金をかける
ミレニアル世代は高級品やブランドものなどを所有することにあまり関心がなく、体験できる消費を求めるのが特徴です。無駄なものは持たず、必要最小限のものだけで暮らすミニマリズムを重視する傾向もあります。
ミレニアル世代にとっては、ただ所有するのではなく、商品やサービスによって何を体験できるのか、どのような世界観を共有できるのかが大切です。
高級車を購入するよりも「そこでしか味わえない体験」ができる旅行を選び、ハイブランド商品よりも顧客の声から生まれた製品を選びます。誰もやったことがないような、人とは違う体験をしたいという欲求から出る行動です。SNSに商品や体験の写真、動画を投稿することも、そのような購買行動の一環と言えるでしょう。
ネットショップを利用する
インターネットに慣れ親しんでいるミレニアル世代は、買い物もネットショップを活用します。ほかの世代と比較してネットショップの利用率が高い傾向にあり、買い物はほとんどネットショップで済ませる人も少なくありません。商品について知りたいときも、ネットの情報だけで判断することがあります。
また、前の世代が高級志向であるのに対し、ミレニアル世代はコストパフォーマンスを意識するのが特徴です。余計なものにはお金をかけず、商品やサービスを通じて何が得られるかを考えて消費しています。
SNSを重視する
欲しいものを探すときはSNSを使います。検索よりもSNSを参考にすることが多く、商品・サービスを利用した顧客のクチコミを重視する傾向です。インフルエンサーからの影響も大きく、憧れているインフルエンサーが紹介している、使っているという理由で購入することも少なくありません。
また、共感を得たいがために商品やサービスについて自らSNSで発信して拡散し、購買を促すこともあります。
健康への意識が高い
さまざまなアンケートで、ミレニアル世代は健康への意識が高いという報告があります。他の世代に比べてヨガや筋トレなど運動を日常的に行っている割合が多く、お酒の消費は少なめです。食事にこだわりを持ち、野菜を多く摂取しています。無添加やオーガニック食品への関心が高いのも特徴です。
ミレニアル世代の健康志向は、ネット上で体のために良い食べ物など、健康に関する情報が手に入りやすいのも理由のひとつと言えるでしょう。
参考:サノフィ株式会社「プレスリリース 主要8カ国でミレニアル世代のセルフケア意識調査を実施」
参考:アクセンチュア株式会社「北米「ミレニアル世代」に関する市場調査報告書」
ミレニアル世代の価値観を理解しよう
ミレニアル世代はデジタルに強く、SNSに慣れ親しんでいる世代です。社会問題に関心が高く。ボランティアに参加する人も少なくありません。消費では体験できることを重視し、めずしい体験ができる商品やサービスに興味を持ちます。
あとに続くZ世代とはまた違った、独自の価値観を持つのが特徴です。2020年にはアメリカで過半数、日本でも人口の4割近くを占めるミレニアル世代。その価値観を理解することが、市場を獲得してこれからの社会を生き抜く秘訣と言えるでしょう。