経産省のEC市場調査
見るべきは小売全体の市場
4月25日に発表された、経済産業省による「電子商取引に関する市場調査」。それによれば、平成29年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、 16.5兆円(前年15.1兆円、前年比9.1%増)に拡大。EC化率は、BtoC-ECで5.79%(前年比0.36ポイント増)とな っている。これを、オムニチャネル目線ではどう見るのか。
「EC化率を逆算すると、リアルも含めた全体の小売市場が出てきます。2015年度が約290兆円、2016年度が約280兆円、2017年度が285兆円と、減少傾向にあるものの、2016年度と比較すると少し回復したかなと。この数字からわかるのは、日本の全体の小売市場、つまり消費自体がもう伸びないと思ったほうがいいということ。この限られた市場の中で、どうしていくかですよね。必ずしもオムニチャネルをやらなくてもいいと思いますが、実店舗とEC、両方利用されているお客さまも当然いるので、そういったお客さまをどう自社に取り込んでいくのか。市場規模を考えると、その施策を加速させる必要があると考えます」
5月に中国に視察に行く予定があるそうだが、かつて「爆買い」ともてはやされた中国の小売市場も、鈍化傾向にあると言う。
「中国は、EC化率も売上も右肩上がりでしたが、ここへきて伸びてはいるけれどカーブが緩やかになってきました。企業側も、新規を取りに行くよりは、既存のリソ ースを見直しましょうという流れになっています。中国は、リアル店舗のインフラが弱かった。電子決済が流行っているのは、現金が信頼できないから。ECが伸びたのは、リアル店舗では物足りない要素がたくさんあったからです。デジタルに取り組んだことで企業の商売が安定してきたので、リアルを充実させようという方向に向かっている。非常におもしろい流れだと感じ、勉強に行ってきます」