2018年は在庫面積のコントロール役割分担の明確化と業務分析を
実際にヤマト運輸が値上げを実行した10月。それ以前から、ECサイトに送料値上げの旨が記載されたり、配送会社を変更するメールが届いたりしていた。
「今、話題に上っているのは箱のサイズ。今回の料金改定で、大きさ、重さで厳密に送料が変わるので、10月に備えて春から箱を作り変えていた事業者さんもいるくらいです。もちろん、ヤマト運輸さん以外の配送会社の値上げも浮上してきています。
もうひとつは、中小企業が借りやすい倉庫が減ってきていること。大手プラットフォーマーが数百坪サイズの倉庫を大量に借りに走っているのとアスクルの倉庫で火災が起きたことを受けてでしょう、倉庫もかなりルールが厳しくなってきているのも一因です」
本気でECをやるのかと問われているかのように、物流を取り巻く現状は厳しい。EC事業者としては、受け入れるしか対処法がないことも多い。耐え忍ぶ2017年だったと言える。
「次のフェーズとしては、在庫面積をどうコントロールしていくかでしょう。海外の製造工場から輸送し、税関を通し、倉庫に入り、ささげが入って、在庫を上げ、店舗やECで販売するまでの一連の流れを、その時倉庫にどれだけモノを置いておけるのか、在庫面積のコントロールという視点を持って、事業者がルールを作っていかなければならない。それが2018年の課題になると思います。
必然的に、事業者側の物流担当者の職役、倉庫との役割分担を明確にするところから始まります。それは業種や会社ごとに異なるため、ゼロからルールを作ることになります。そもそも物流担当者がいない事業者もあるので、かなりたいへんな思いをすることになるはずです」
そしてとうとう、倉庫側にもメスが入ることになる。
「倉庫に商品が到着してから販売可能になるまでの工程は、これまですごく見えづらかったところでした。倉庫に丸投げだったからです。でも、ここを厳密に明らかにしないと、正確なリードタイムが測れません。結果的に、予定している数のモノが出ず、想定していた販売数に達しない、売上が達成できないといった事態に陥りかねません。
倉庫の業務は、1つひとつはシンプルに見えても、積み重なると重みを持ちます。数年前、ECに本気で取り組むことにした時、SKUの整備に苦労したのではと思いますが、それと同じような分析と整理を物流業務でもやる必要があります。モールのIDとパスワードを倉庫に渡して、『落としておいて』ではもうダメなんです」