オムニチャネルを考える前に、改めてECを振り返る
凋落が囁かれる百貨店業界ですが、「百貨店」の定義には「セルフサービス方式ではない」というのがあります。しかし、対面販売の百貨店が、セルフサービスのコンビニやECに破れたと見るのは早計です。イマドキ、自動販売機のECが「ローコストだから」云々を説く人はいません。個客を意識した接客こそが雌雄を決するでしょう。
その上で、ECで買う理由からおさらいしてみましょう。
濃い理由
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空間の制約 |
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時間の制約 |
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肉体の制約 |
淡い理由
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選択の制約 |
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条件の制約 |
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手段の制約 |
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日陰の制約 |
他にも、ECで買う理由はあるでしょう。ただ、その多くも、何かの制約から解放される消費者心理ではないですか。そして、古典的対面販売よりも、その解放に価値があるから消費者はECで買い物をします。
逆に、百貨店のブランドとサービスには、これらの制約をすべて撥ね退ける力があります。コーデには自信がないけど「イイモノを着ている」と見られたいオジサンとか、お歳暮に百貨店の包装紙で安心する人は今も少なくありません。
一方、ECではシステムが接客を担います。本連載もCRO(転換率最適化)を通して、さまざまな「接客」施策を探ってきました。
しかし、ECで買う理由の中でも「日陰の制約」などは趣が違います。なぜなら、対面を避けたいからです。よく「(生産者の)顔が見える」というキーワードを目にしますが、ここでは「顔を見られない」ことに価値があるのですから。百貨店の提供する体験価値の真逆です。いわゆる「日陰商品」を典型とする、ちょっと恥ずかしいお買い物です。それでさえも、接客はあります。
むしろ、欲望を顕在化させるポテンシャルは高いのです。大握手会には躊躇なく行けるけど、実店舗で買うのに二の足を踏み、キャラアニで「ハロウィン・ナイト」を複数枚買う消費者の購買力の強さったら。
人間に代わってシステムが担うから「顔を見られない」安心も提供できます。その上で、ネット越しでない、リアルにできるダイレクト・マーケティングがあります。日陰商品の接客だけを問うのではありません。出荷を伴う物販には漏れなく存在する接客です。接客とは、商品をお渡しするまでを言うのに、ITシステムだけではカバーできないリアルが残ります。物流です。
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