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【オンライン】ECzine Day 2026 February (2026.02.13)

ECzine Day 2026 February(AD)

アガット、トゥモローランド事例に学ぶ、 スタッフの熱量をLTV向上につなげる秘訣

 2026年2月に開催された「ECzine Day 2026 February」。アパレル・ジュエリー業界を牽引するトゥモローランドとアガット(エーアンドエス)の2社が登壇し、アプリを活用したLTV最大化戦略が語られた。両社が共通して重視するのは、店舗スタッフの「熱量」をいかにデジタルで届けるかという情緒的価値だ。アプリプラットフォーム「MGRe」とカスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」を軸に、両社が実践する最新のOMO施策とその成果に迫る。

スタッフと店舗が紡ぐ「情緒的価値」がLTVを最大化する

 ECサイトやアプリがどれほど便利になっても、機能的な価値だけでは競合との差別化は難しく、真のファンを醸成することはできない。そこで重要となるのが、ブランドの最大の資産である「店舗」や「スタッフ」が持つ熱量をデジタルに転換する「情緒的価値」の提供だ。

 ジュエリーブランド「agete(アガット)」などを展開するエーアンドエスの飯塚氏は、商材特性ゆえの課題を次のように語る。

 「ジュエリーはアパレルと比較して新作の投入頻度が少なく、購買サイクルも長い。そのため、意識的にブランドを想起してもらう機会を作らなければなりません」(飯塚氏)

株式会社エーアンドエス マーケティング課 課長 飯塚 泰輔氏
株式会社エーアンドエス マーケティング課 課長 飯塚 泰輔氏

 その解決策として同社が注力しているのが、アプリを介した店舗スタッフによる情報発信だ。具体的には、各店舗のスタッフが自店のフェアや限定商品、おすすめのコーディネートを「店舗ニュース」としてアプリに投稿している。

 ここで興味深いのは、単なる情報発信に留まらず、本部がそのニュースによる来店促進効果を数値分析し、店舗へフィードバックしている点だ。「スタッフが誰でも効果を可視化できるようにすることで、投稿へのモチベーションを高めています」と飯塚氏は明かす。

 この施策の肝となるKPIが「お気に入り店舗登録」だ。アガットでは、店舗での接客時に「お気に入り登録」を案内し、お客様の感情が最も高まる瞬間にデジタルでの接点を作ることを徹底している。「お気に入り店舗登録は、お客様と店舗とのデジタルでの接点を作る入り口。接触を積み重ねてブランドを忘れられない状態にし、ジュエリーが欲しいと思った瞬間に第一想起される存在を目指しています」という飯塚氏の言葉は、LTV向上の本質を突いている。

 一方、トゥモローランドの上田氏も、スタッフを起点としたOMO施策の重要性を強調する。同社のロイヤルユーザーのほぼ100%が店頭購入を中心としており、特定のスタッフに信頼を寄せているケースが多いからだ。そこで同社が開始したのが、Brazeを活用した「Thank you(スタッフ紹介)配信」である。

 これは店舗で購入した翌日に、「昨日はご利用ありがとうございました」というメッセージとともに、接客を担当したスタッフのスタイリング一覧へのリンクをパーソナライズして届ける仕組みだ。上田氏は、「特定のスタッフのファンになってもらうことで、再来店やロイヤル化を促進しています。また、これまでスタッフが手書きで送っていたダイレクトメールをデジタルで代替し、負担を軽減する狙いもあります」と語る。

株式会社トゥモローランド デジタルコミュニケーション部 部長 上田 知弘氏
株式会社トゥモローランド デジタルコミュニケーション部 部長 上田 知弘氏

 分析の結果、スタッフやスタイリングをお気に入り登録した新規ユーザーは、平均的なユーザーと比較してF2(2回目購入)転換率が約3倍、6ヵ月間の購入金額も約2倍という驚異的な数値が出ている。インセンティブに頼らずとも、スタッフというブランドのアセットを活用することで、顧客の行動変容は十分に可能であることを証明している。

UXの壁を突破する「ネイティブ化」と「パーソナライズ」の技術

 スタッフの熱量を届ける土台として、アプリの「使いやすさ(UX)」は欠かせない要素だ。どんなに良いコンテンツがあっても、表示が遅ければユーザーは離脱してしまう。両社が導入しているアプリプラットフォーム「MGRe(メグリ)」は、ノーコードの利便性と、外部ツールとの柔軟なAPI連携による個別開発を両立させている。

 アガットが直面していた課題は、WebViewベースの画面表示によるストレスだった。特に商品一覧画面の表示速度に対する不満がアンケートでも顕在化していたという。そこで同社は、商品検索エンジン「awoo(アウー)」のAPIをMGReと連携させ、商品一覧の描画をアプリネイティブ化した。

 「ウェブに依存していたアイテムページをネイティブ化することで、恐ろしいほどサクサク商品が見えるようになりました」とメグリの鯨岡氏は語る。この改善により、アイテム画面の表示回数は189%に増加し、カートイン率は115%UP、購入件数は123%UPという劇的なビジネス成果に直結した。UXの改善がそのまま売上に反映された好例だ。

メグリ株式会社 マーケティング・セールス部 マーケティングマネージャー 鯨岡 務氏
メグリ株式会社 マーケティング・セールス部 マーケティングマネージャー 鯨岡 務氏

 さらにアガットは、ビジュアルマーケティングツール「visumo(ビジュモ)」を連携し、店舗スタッフによるスタイリング投稿機能をアプリ内でネイティブ化した。以前はブランディングの観点から本部スタッフの投稿に限定していたが、ユーザーからの「店舗スタッフのリアルな着こなしが見たい」という要望に応えた形だ。実装後はスタイリングの閲覧数が大幅に増加し、店舗スタッフの投稿モチベーションも向上している。

 もう一つの先進的な事例が、Brazeの位置情報を活用した「ジオフェンス施策」だ。特定の店舗から一定の半径内にいるユーザーに、10%OFFなどの優待情報をリアルタイムでプッシュ通知する。 飯塚氏によれば、「都心部よりも地方の郊外エリアの方が、来店戻り率が最大30%を超えるなど、高い実績に結びつきました」という。上田氏もこの結果を受け、「情報が溢れる都心よりも、生活圏に近い郊外の方が良い反応というのは示唆に富んでいる。自社の店舗網に合わせた戦略の参考になる」と評価した。

 また、両社は「コンテンツカード」機能も活用している。これはアプリ内のインボックス(お知らせ一覧)に、ユーザーの属性や閲覧履歴に基づいたパーソナライズ情報を表示するものだ。プッシュ通知は見逃されることもあるが、コンテンツカードであればユーザーがアプリを開いた際に確実に情報を届けることができる。

 トゥモローランドでは、バースデークーポンやポイント有効期限、カート落ちの情報発信にプッシュ通知に加えて同機能を活用。すべてメール配信と比べて高い成果が得られており、バースデークーポン配信ではEC購入件数が273%、カート落ち配信ではEC購入率が152%と購買に大きく寄与している。

メール規制時代の「新・コミュニケーション戦略」とは

 昨今、GoogleやAppleによるプラットフォーム規制の強化により、従来のメールマーケティングは大きな転換期を迎えている。DMARC対応の厳格化や、AppleのMPP(メールプライバシー保護)による開封率の計測不能など、メール到達率や効果測定の難易度は増す一方だ。

 上田氏は、「メールの強みである情報の保存性やHTMLによるリッチな表現は、今やMGReとBrazeの組み合わせで代替可能。マルチチャネルをオーケストレーション(統合制御)することが不可欠になっている」と指摘する。

 その結果は顕著だ。アプリとBrazeの連携運用を開始してわずか1ヵ月で、プッシュ通知の開封率は262%と大幅に増加。プッシュ通知経由のECセッション数は前年比149%に増え、EC売上シェアも向上した。上田氏は「ユーザーが自分に関係のある通知だと捉える機会が増えたことで、大幅なエンゲージメント向上を達成できた」と手応えを語る。

 飯塚氏もこれに同意し、アプリならではの没入感について言及した。

 「メールボックスにはブランド以外の情報が溢れており、世界観に浸ることは難しいです。それに対し、アプリはわざわざダウンロードしてくれたファンが訪れる場所。ブランドの世界観に没入してもらえる価値は非常に大きいと思います」(飯塚氏)

 しかし、単にツールを導入すれば良いわけではない。セッションの締めくくりとして、上田氏は次のように提言した。

 「他社の成功事例をそのまま真似するのではなく、自社のアセット(店舗、スタッフ、商品)や要件を突き詰めることの方が重要。その上で、自分たちのやりたいことを実現できるパートナーを選ぶべきです」(上田氏)

 飯塚氏も「定量のデータだけでなく、ユーザーからの定性的な声に基づいた仮説立てがアクションの成功を左右する」と付け加えた。

 両社の事例から見えてくるのは、アプリは単なる「便利な道具」ではなく、店舗とデジタルを繋ぎ、スタッフの熱量を顧客へ届けるための「エンゲージメント・プラットフォーム」であるという事実だ。テクノロジーを駆使してUXを磨き上げ、その上で人間味のある情緒的なコミュニケーションを重ねる。これこそが、これからのEC・小売企業が目指すべきLTV最大化の正攻法といえるだろう。

現状のアプリに課題を感じている方は必見!

 メグリは、アプリを通じて「顧客とのつながり」を深めるマーケティングプラットフォームです。会員情報の統合管理、行動データの可視化、プッシュ通知やクーポン配信など多彩な施策をワンストップで実現。店舗とECを横断したOMO施策を支援します。詳細はMGRe公式サイトよりご確認ください!

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提供:メグリ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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