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2025年2月4日(火)13:00~18:45

失敗したから語れるECのこと

実は売上成長が停滞しているわけではない? ECの立ち上げ期・成長期にぶつかる10の壁と対策

 この数ヵ月、売上が落ちている。多くのEC事業は、こうした売上成長の停滞を経験します。そんなとき、事業を再び軌道に乗せるために何ができるのでしょうか。トイザらスグループをはじめ、3社で大規模EC・オムニチャンネルの事業責任者を経験したネクトラス株式会社 代表取締役 中島郁氏による連載「失敗したから語れるECのこと」。第6回は、意外にも見落とされている成長鈍化の要因と対策を解説します。

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ほとんどのEC事業はそもそも「成熟期」に達していない

 売上成長が停滞する原因と対策には、様々なケースが存在します。まずは、現状の把握と分析から始めるしかありません。あえてEC事業ならではの特徴を挙げるならば、既存事業よりも動きが速く、それゆえに成長停滞が短期間で起き得る。そして、それがシステムによる可能性も大きいということでしょうか。

 状況と原因によって、考えること、やることは異なります。他社事例を単にまねても意味がありません。また、細かい項目やチェックリストに従って進めれば、何とかできるものでもありません。とはいえ、一部再現性がある対策もあります。

 そもそも、ほとんどの場合“停滞”と判断するには早すぎます。一般的に、売上が落ちているときは、景気・競合他社・ライフスタイルの変化といった外的要因、自社の運営方法や商品の限界といった内的要因の2つを見直します。ただし、EC事業では、特に「立ち上げ期」と「成長期」において、本当にこれらによる売上停滞なのか、そもそも停滞しているのかが疑わしいケースがあるのです。

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 国内のほとんどのEC事業は、立ち上げ期か成長期で、まだ「成熟期」には達していません。EC事業の規模が国内上位にもかかわらず、売上が伸び悩んでいる企業は、成熟期から衰退期に位置するように見えます。しかし、実際には既存事業が衰退期にあるケースが多いように感じます。そもそも、EC事業がしっかりと立ち上がってさえいないのに、売上成長が停滞したと思っている企業も少なくありません。そこで今回は、売上成長が停滞する要因と対策を具体的に見ていきます。

(1)売上の波や季節による変動

 ビジネスの波で、たまたま顧客の需要やトラフィックが低い時期ではありませんか。

 たとえば、夏秋に開始したEC事業の場合、一般的に年末商戦でわかりやすく売上が伸びます。しかし、年が明けると消費者の購買意欲は下がり、売上の伸びが緩やかになります。

 事業を継続すれば、この動きを年間の季節変動として理解できるはずです。閑散期の対策としては、特別なセールやキャンペーンなどが考えられるでしょう。すべてを季節のせいにするのはNGですが、最初の1年でビジネスの波を把握するのは重要です。

(2)外野が停滞といっているだけ?

 「売上成長が停滞しているのではないか」と、経営陣や他部署からいわれているだけではありませんか。本来はEC部門で“想定される”成長の流れにもかかわらず、外野からの評価によってリソース投下の優先順位が変わるケースはあります。だからこそ、社内コミュニケーションが重要です。

 私の経験上、立ち上げ後の一定期間、波はあっても事業成長はします。そのスピードは、EC事業のカテゴリーや商品などで異なります。加えて、外的要因による成長の波もあります。しっかり準備して開始したEC事業であれば、中期的な戦略や施策を徹底したほうが良いでしょう。経営陣や他部署からの雑音には、先回りしたこまめな報告、コミュニケーションが一番役立ちます。

(3)そもそもEC事業が立ち上がってすらいない

 実は、最初からたいして売上が伸びていないのに、売上成長の停滞と勘違いする企業もいます。事業構想が十分に検討されておらず、とりあえず思いつく施策を行っているようなケースです。それでは、停滞の原因も曖昧ですし、対策も根本から考え直すしかありません。

 本来、立ち上げから数ヵ月で波に乗っていると判断できるはずはありません。現場スタッフは日々の売上に執着し、トライ&エラーでEC運営に取り組んでほしいです。また、あなたが事業全体を俯瞰する立場なのであれば、売上が立つまでは、構想やそれにもとづいた施策を淡々と実行していきましょう。

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この記事の著者

ネクトラス株式会社 代表取締役 中島 郁(ナカシマ カオル)

新規事業立上げ、急成長事業マネジメントのプロフェッショナル。ベンチャー、外資、老舗、それぞれで事業立上げ、急成長事業の責任者を歴任。関与分野は、小売、EC、インターネット、メディア、アウトソーシングを含むサービス業等。トイザらスではマーケティング部門立上げ、EC専業法人設立。ジュピターショップチャン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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