世界最大のECプラットフォームであるAmazonは、個人・法人を問わず物品の販売を気軽に始められるサービスとしても広く知られています。Amazonで商品の販売をスタートする上で、まず知っておきたいのが出品時にかかる手数料です。
この記事では、そんなAmazonの出品利用の際に発生する手数料にはどのような種類があるのか、具体的にどれくらいの金額の手数料が発生するのかについて、詳しく解説します。
Amazon利用時に発生する手数料の種類
Amazon出品者が支払うことになる手数料は、おもに以下の6つです。
- 基本手数料(月額登録料)
- 販売手数料
- カテゴリー成約手数料
- FBAを利用した手数料
- 大量出品手数料
- 返金処理手数料
上記以外にも、手続きやオプションサービスの利用に際して、別途手数料が発生するケースもありますので、ご注意ください。
また、ここで紹介している金額は2024年5月現在のものであり、具体的な金額は今後変更される可能性もあるため、注意が必要です。
基本手数料(月間登録料)
基本手数料とはAmazonが出品者向けに設けている手数料のことで、出品プランに応じて金額が発生します。
Amazonの出品プランには大口出品と小口出品の2種類があります。それぞれの手数料は以下の通りです。
- 大口出品:月額4,900円(月間登録料)
- 小口出品:100円/点(成約発生ごとに発生)
出品プランは自身の計画に合わせて選択してください。月間49点以上販売する場合は大口出品プラン、49点より少ない場合は小口出品プランのように販売予定数を目安に選ぶのもよいでしょう。
販売手数料
販売手数料は基本手数料とは別物で、商品の成約で発生する手数料です。
販売手数料は商品カテゴリーごとに割合が異なり、おおよそ8%~15%の間で設定されています。カテゴリーごとの具体的な割合はセラーセントラルより確認できるため、事前にチェックしておきましょう。
カテゴリー成約手数料
取り扱う商品によっては、販売手数料に加えてカテゴリー成約手数料と呼ばれる手数料が発生します。成約手数料が発生するのは以下のカテゴリーに属するメディア商品です。記載の金額は日本での手数料で、販売地域によって手数料が異なります。
カテゴリー | 手数料 |
---|---|
本 | 80円 |
ミュージック | 140円 |
DVD | 140円 |
ビデオ | 140円 |
FBAを利用した手数料
Amazon出品の便利な点は、Amazon独自のロジスティクスサービスであるFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用できるところです。在庫保管や配送業務を代行してもらえるサービスで、商品のサイズや重量に応じて配送代行手数料と在庫保管手数料が発生するのが特徴です。
配送代行手数料
配送代行手数料は、サイズと販売した商品価格(1,000円より高いか安いか)によって変動します。代行内容には、注文商品のピッキング・梱包・配送・カスタマーサービス・返品対応が含まれます。
サイズ区分 | 寸法、重量 | 商品あたり手数料(商品価格が1,000円より高い) |
---|---|---|
小型 | 25×18×2.0cm以下、250g以下 |
288円 |
標準 | 35×30×3.3cm以下、1kg以下 | 318円 |
20㎝以下、2kg以下 | 413円 | |
30㎝以下、2kg以下 | 434円 | |
40㎝以下、2kg以下 | 455円 | |
50㎝以下、2kg以下 | 465円 | |
60㎝以下、2kg以下 | 485円 | |
80㎝以下、2kg以下 | 514円 | |
100㎝以下、2kg以下 | 603円 | |
大型 | 60㎝以下、2kg以下 | 589円 |
80㎝以下、5kg以下 | 712円 | |
100㎝以下、10kg以下 | 815円 | |
120㎝以下、15kg以下 | 975円 | |
140㎝以下、20kg以下 | 1,020円 | |
160㎝以下、25kg以下 | 1,100円 | |
180㎝以下、30kg以下 | 1,532円 | |
200㎝以下、40kg以下 | 1,756円 | |
超大型 | 200㎝以下、50kg以下 | 2,755円 |
220cm以下、50kg以下 | 3,573円 | |
240cm以下、50kg以下 | 4,496円 | |
260cm以下、50kg以下 | 5,625円 |
出典:料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター | Amazon出品サービスの料金
※こちらの表は、商品価格が1,000円より高い場合の配送代行手数料です。商品価格が1,000円以下の場合の手数料は公式サイトをご確認ください。
FBA在庫保管手数料
在庫保管手数料は、Amazonフルフィルメントセンターにおける1日あたりの平均スペース使用量をもとに算出されます。商品サイズとファッションカテゴリーに該当するかどうかで費用が変わります。また、年末は価格が上がるので注意が必要です
服&ファッション小物、シューズ&バッグカテゴリーを除くカテゴリー
月 | 小型/標準の手数料 | 大型/特大型の手数料 |
---|---|---|
1~9月 | 5.676円×[商品サイズ(cm3)] /(10×10×10cm)×[保管日数]/[当月の日数] | 4.370円×[商品サイズ(cm3)]/(10×10×10cm)×[保管日数] / [当月の日数] |
10~12月 | 10.087円×[商品サイズ(cm3)]/(10×10×10cm)×[保管日数]/[当月の日数] | 7.760円×[商品サイズ(cm3)]/(10c×10×10cm)×[保管日数] / [当月の日数] |
出典:料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター | Amazon出品サービスの料金
服&ファッション小物、シューズ&バッグカテゴリー
月 | 小型/標準 | 大型/特大型 |
---|---|---|
1~9月 | 3.10円×[商品サイズ(cm3)]/(10×10×10cm)×[保管日数]/[当月の日数] | 3.10円×[商品サイズ(cm3)]/(10×10×10cm)×[保管日数]/[当月の日数] |
10~12月 | 5.50円×[商品サイズ(cm3)]/(10×10×10cm)×[保管日数]/[当月の日数] | 5.50円×[商品サイズ(cm3)]/(10×10×10cm)× [保管日数]/[当月の日数] |
出典:料金プラン、配送手数料、料金シミュレーター | Amazon出品サービスの料金
大量出品手数料
大量出品手数料とは、Amazonへの出品数、具体的にAmazon固有の商品コードであるSKUの数が200万点を超えた場合に加えられる手数料です。大量出品を行う場合、1点あたり0.05円の手数料を毎月請求されることも覚えておきましょう。
返金処理手数料
返金処理手数料は、商品の購入が成立し出荷された後、何らかの事情で返金を行う必要がある場合、発生する手数料です。返金処理そのものはAmazonを通じて行われますが、その処理手数料の支払いを出品者は負担しなければなりません。
返金処理手数料は以下のいずれかのうち、金額の低いほうが手数料として発生します。
- 商品1点に対して返金金額の10%の手数料
- 500円
Amazonの手数料にかかる税率は?
Amazonの手数料は、上記で紹介した金額に別途消費税が上乗せされる場合があります。
たとえば出品手数料には、上述の手数料とは別に現在の消費税率(10%)が適用され、実際に支払う金額はさらに大きくなります。出品手数料の消費税は、課税仕入れ扱いとなります。一方、FBAを利用した手数料については、表示されている金額が税込価格であるため、新たに消費税の上乗せは発生しません。
Amazonとほかのサービスの手数料比較
上記のように、Amazon出品に際して発生する手数料を整理してみると、多くの手数料が細かく発生することがわかります。では、楽天市場やYahoo!ショッピングと比較すると、どれくらいの差があるのでしょうか。
まず楽天市場の場合ですが、こちらもAmazonと同じように各種手続きや契約サービスに応じた詳細な手数料が発生します。初期費用は初期登録費用が6万円、月額料金も最低2万5,000円からとなっており、Amazonより高いです。ただ、商品が売れてくると手数料が多いAmazonの方が高くなります。
Yahoo!ショッピングの場合は、初期費用や月額料金がかからないため、初期費用はAmazonより安く抑えられます。しかし、その分出店数も多く、競合に競り勝つために、アイテムマッチやスポンサードサーチなどの広告費用が増えることで、コストが高くなる可能性があります。
以上の通り、モールごとにメリットでメリットはありますが、Amazonの手数料は楽天市場やYahoo!ショッピングと比較して、商品が売れるごとに細かく手数料が発生し、運用コストが高くなりがちです。しかし、そのようなデメリットがあっても、なぜAmazonはEC事業者に選ばれるのでしょうか。
手数料が割高でもAmazonが選ばれる理由
上述の通り、Amazon出品は多くの手数料が発生する点がデメリットといえます。一方で手数料負担を上回るメリットが期待できる点も見逃せません。
業務効率化機能が豊富なため
Amazonは複数の手数料が発生する分、それだけ業務の効率化につながる機能を利用できるのが特徴です。特に大口出品の場合は小口出品よりも手数料がかかる分、生産性向上に貢献する機能が豊富です。
一括での商品登録や倉庫保管の代行、発送代行など、個人では運用負担が大きくなる業務も、Amazonに任せてしまえば安心できます。
高い認知度を有しているため
Amazonの最大の魅力ともいえるのが、圧倒的な認知度とユーザー数です。
通常、個人や自社オリジナルでECサイトを立ち上げる場合、認知度の獲得のために時間と費用をかける必要があります。しかしAmazonの場合は初めから膨大な数のユーザーが存在し、出品するだけで迅速にアプローチができるため、短時間で高い成果を上げることが可能です。
少ない初期投資で始められるため
Amazonは多くの手数料がかかることが危惧されますが、いずれの手数料も大半は販売してから発生する手数料であるため、初期投資が小さく抑えられ、初期投資の段階では収支がマイナスになりにくいのがポイントです。
仕入れのための費用さえ確保できれば、販売するまで最小限のコストで運用ができます。在庫管理や配送業務をAmazonに任せることもできるので、長期的に事業を継続しやすいといえます。
Amazonで出品を進める方法
Amazonで出品をスタートする場合、主なプロセスは以下の4ステップです。
- 出品プランの選択
- サービスアカウントの作成
- セラーセントラルを用いた商品登録・出品
- 商品の発送
最初に大口あるいは小口の2種類から出品プランを選択し、その後プランに応じてサービスアカウントの作成を行います。アカウント作成後、Amazonの出品プラットフォームであるセラーセントラルから商品を登録しましょう。これで出品手続きは完了です。
商品の出品後、成約が発生したら商品を発送します。売上金は決められたサイクルで入金されます。
Amazon出品の注意点
Amazon出品の利用に際しては、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
出品制限や禁止商品に注意する
Amazonの出品サービスは、模造品や偽造品の販売も厳しく取り締まられており、偽造品流通防止のためのペナルティーが課されることもあることから、注意が必要です。出品実績の少ない店舗に制限がかかりやすいので、正規の商品で着実に出品実績を積んでいくことが大切です。
また、自由に販売できない商品があります。特定のブランド品や日本では取り扱いが制限・禁止されている物品の販売は、Amazonでの販売も禁止されていたり、販売に際して資格が求められたりする場合があります。たとえば酒類、医療品は制限対象です。事前に確認をしておきましょう。
制限対象の商品カテゴリーは以下をご確認ください。
Amazon出品者になる | Amazon出品サービスの販売方法
費用対効果を計算しておく
Amazonは顧客獲得においては魅力的なサービスですが、やはり手数料負担がそれなりにあるサービスであることには違いありません。そのため、FBA料金シミュレーターなどを利用して、あらかじめ費用対効果を確認しておきましょう。
出品者情報の開示に注意する
出品者情報は、必要に応じて購入者や商品を閲覧しているユーザーに対して開示されます。
特に自宅と事業所で住所が同一の個人事業主は、出品者情報として自宅の情報が購入者に開示されることになります。プライバシー確保をしたい場合は、バーチャルオフィスを利用するなどの対策をする必要があるでしょう。
まとめ
この記事では、Amazon出品に際して発生する手数料の種類や金額、そして出品時に注意すべきポイントについて詳しく解説しました。
Amazonの出品手数料は他のECプラットフォームと比較すると決して安いとはいえませんが、それに見合った高い集客力やサービスの利便性を享受できるのが魅力です。出品に際しては、あらかじめFBA料金シミュレーターなどを活用してコストパフォーマンスを十分に検討し、効果的な運用を心がけることをおすすめします。