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2024年8月27日(火)10:00~19:15

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Cookieとはどんな機能?仕組みや種類、メリットデメリットを解説

 CookieはWebサイトの利便性を高める重要な機能ですが、プライバシーやセキュリティのリスクも伴います。この記事では、Cookieの仕組みや種類、事業者がCookieを運用する際のメリットとデメリットを説明します。

 ECサイトやオウンドメディアを運営していると、必ずと言って良いほど耳にするのがCookieと呼ばれる仕組みです。多くの方がWebサイトを閲覧している時、Cookieの許可・拒否を迫られた経験があるかと思いますが、そもそもCookieとは何なのでしょうか。

 この記事ではCookieの役割や仕組みについて解説するとともに、事業者がCookieを運用する際のメリットとデメリットについて説明します。

Cookieとは?

 Cookieとは、ユーザーがWebサイトを閲覧した際に、そのサイト内で入力されたデータや使用した設定などを、ブラウザ上に保存しておくための仕組みのことです。

 近年、Webサービスが広く普及し、ブラウザ上で様々な機能を利用できるようになりました。たとえば、サイト利用の際にメールアドレスやID、パスワードなどを毎回入力するのは手間がかかり、ユーザーにとって不便に感じることもあるでしょう。Cookieはこのような問題を解決するために活用されています。

 Cookieを用いることで、IDやパスワードなどの情報をブラウザに保存しておき、次回以降のログイン負担を軽減できます。また、それ以外のサイト上で使用した情報もCookieに記憶させれば、ユーザビリティーの向上にもつながるのです。

 現在は、このようなCookieの活用により、多くのユーザーが便利で快適にWebサービスを使用できているといえます。

Cookie規制について

 Cookieの使用は、ユーザーにとって利便性が高いだけでなく、事業者にとってもユーザーデータを収集できる貴重な機会です。そのため、Cookieから得られるデータを活用した広告運用などが広く普及しました。

 しかし、Cookieによって記録される情報には、ユーザーのインターネット利用状況や生活に関する重要なプライバシーが含まれていることから、プライバシー保護の観点で問題視されるようになりました。2018年の一般データ保護規則(GDPR)など、欧米を中心にCookieの利用に関する規制が強化され、日本も2022年4月に改正個人情報保護法が施行されることとなりました。

一般データ保護規則(GDPR)

 2018年5月にEUで施行された一般データ保護規則(GDPR)は、国際的なデータ保護の新基準を設定しました。この規則は、EU域内および域外でEU市民の個人データを処理する企業に適用され、個人データの収集と処理にはユーザーからの明確かつ情報に基づいた同意が必要とされます。日本でも、GDPR設定後の2022年に個人情報保護法が改正され、データ保護基準が国際的なレベルに引き上げられることとなりました。

 日本の事業者がEU市民を顧客とする場合も、これらの規制に従い、適切なユーザー同意の取得やデータ保護対策の実施が必要です。

改正個人情報保護法

 改正個人情報保護法は2022年4月に施行され、Cookieを含むデジタル技術で収集される情報が個人を識別可能な場合、個人情報として扱われることを明確にしました。

 Cookieは、単独では個人が特定できなくても、他の情報と組み合わせることで特定できてしまうリスクがあります。そのため、改正個人情報保護法では、Cookieを含むデジタルトラッキング技術を通じて取得されたデータがどのように個人情報として扱われるべきかについてのガイドラインを提供しています。特に、第三者へのデータ提供の際には、事前に本人の同意を得ることが必須とされています。

 以上の規定により、企業や事業者はCookieやその他のトラッキング技術を用いて個人情報を収集・利用する際に、より厳格なプライバシー保護措置を講じる必要があります。

Cookieの仕組み

 具体的に、Cookieはどのような仕組みでユーザーの情報を保存しているのでしょうか。

 Cookieの利用や保存を管理するのは、ユーザーが使用しているWebブラウザです。パソコンやスマホからWebサイトにアクセスする際、WebブラウザがWebサーバーからCookieを受信し、ブラウザ内にデータを保存します。

 Cookieを保存すると、次回以降のWebサイト訪問時に、保存されたデータが自動的に反映されます。これにより、ログイン情報の入力を省略したり、前回の画面設定を維持したりでき、ユーザーが手間なく便利にサービスを利用することが可能です。保存されているCookie情報は、使用しているWebブラウザの設定画面から削除可能で、ユーザーが自身のCookie情報を管理することができます。

Cookieとキャッシュの違い

 Cookieとキャッシュは、ともにWebブラウザの機能ですが、その役割と目的は大きく異なります。Cookieはユーザーごとの設定やログイン情報などの個別データを保存し、キャッシュは訪問するWebサイトのHTML、CSS、画像ファイルなどの静的コンテンツを一時的に保存する機能です。

 キャッシュを利用することで、一度閲覧したWebページの再訪時にデータを再ダウンロードする必要がなくなり、ページの表示が高速化されます。

 Cookieとキャッシュは共にWebブラウザの機能ですが、Cookieはユーザー個人に紐づくデータの管理に特化しているのに対し、キャッシュはWebページの表示速度の改善に重点を置いているという違いがあります。

Cookieの種類

 Cookieにはおもに以下の3種類が存在します。

ファーストパーティーCookie

 ファーストパーティーCookieは、ユーザーがアクセスしているWebサイトの運営者によって発行されているCookieです。ユーザーの会員情報や、ECサイトで買い物カゴに商品を入れた情報を記録したりするうえで用いられています。

セカンドパーティーCookie

 セカンドパーティーCookieは、Webサイト運営者が直接的なパートナーシップや契約を結んでいる他社のドメインで取得されたCookieを指します。

 しかしながら、この用語は一般的ではなく、Cookieの分類はファーストパーティーCookieとサードパーティーCookieの二つのみとすることが多いです。

サードパーティーCookie

 サードパーティーCookieは、ユーザーがアクセスしているサイトではなく第三者のドメインによって発行されているCookieです。

 分かりやすい例として、サイト内に設置されている広告枠に表示されるバナーが挙げられます。Google Adsenseなどの広告枠がサイトに設置されている場合、その枠は同サイトではなく、広告配信事業者によって取得されたCookie情報が反映され、過去に閲覧したECサイトの商品などをレコメンドとして表示されます。

Cookie設定のメリット

 Cookieはユーザーがより便利にインターネットを利用するための機能であり、有効活用によって以下のメリットが得られます。

Webサービスのユーザビリティーが向上する

 Cookieを活用することで、ユーザーがWebサービスを便利に利用でき、ユーザビリティーが向上します。

 前述の通り、ユーザーのログイン情報やショッピングカートの内容をCookieに保存しておくと、次回以降のアクセス時に自動的にそれらの情報が反映されます。これにより、ユーザーは煩雑な情報入力の手間を省け、素早いログインやスムーズな商品購入が可能になります。

より優れたサービス提供の機会が与えられる

 また、記録された情報をもとに精度に優れた商品レコメンドを行うことも可能です。ユーザーの潜在ニーズに訴え、優れたサービスの提供できます。

 たとえば、Cookieを用いてユーザーの行動履歴や嗜好を分析することで、パーソナライズされたコンテンツやレコメンデーションを提供できます。これにより、ユーザーは自分に合ったサービスを効率的に見つけ出し、満足度の高いWebサービス体験を得ることができるでしょう。

Cookie設定のデメリット・注意点

 Cookieはユーザーやサイト運営者にとって便利な機能である反面、懸念すべき事項があります。

プライバシー侵害につながる

 上述の通り、Cookieが収集するデータ自体は直接的に個人を特定する情報を含まないこともありますが、他の情報と組み合わせることで個人を特定可能になる場合があるため、プライバシー保護のための重要な管理対象です。特にプライバシー侵害のリスクが高いとされているのが、サードパーティーCookieです。

 これまでは、サードパーティーCookieを事業者間で共有することで、ユーザーが直接訪問していないサイトからのレコメンドなど、ユーザーの意図しないデータ利用が行われてきました。改正個人情報保護法によりCookie情報の取り扱いに関する規制が強化され、現在はそのようなマーケティング手法は減りつつあります。実際、SafariやEdge、Firefoxでは、サードパーティーCookieの利用を停止していたり、トラッキングをブロックしたりしており、Chromeも利用廃止の方向で進んでいます。

セキュリティーリスクを抱える

 Cookieは使用中のWebブラウザに保存されるため、PCなどのデバイスが第三者の手に渡ると、重大なセキュリティ問題につながる可能性があります。

 たとえば、ユーザーがログインした状態のセッションCookie(セッション中、一時的にユーザー情報を保存するCookie)が保存されている場合、そのデバイスを不正に取得されると、第三者がそのユーザーとしてECサイトにアクセスし、購入や情報の閲覧を行うことができてしまいます。

 Cookie情報が残ったままPCが他者に渡ったり、盗難に遭ったりした場合、重大なセキュリティ問題に発展しかねません。そのため、事業者はユーザーが安全にサイトを利用できるようCookieを含む包括的なセキュリティ対策を講じ、定期的なセキュリティチェックを行うことが求められます。

まとめ

 この記事では、Cookieの機能や仕組み、メリットとデメリットについて解説しました。

 Cookieは、ユーザーがWebサイトを便利に利用するための重要な機能であり、ユーザビリティー向上に役立ちます。また、事業者にとっても、ユーザー情報からサービス改善やパーソナライズに活用できるメリットがあります。しかし、Cookieの利用には、プライバシー侵害やセキュリティーリスクといったデメリットも存在します。

 そのため、近年では、改正個人情報保護法などの規制強化により、Cookieの利用に一定の制限が設けられています。特に広告運用の分野ではCookie利用は大きく制限されている傾向にあり、今後はCookieに頼らない施策を検討する必要があります。Cookieは適切に管理・活用することで有益なツールとなりますが、リスクも伴うため、規制動向を注視しつつバランスの取れた対応をしていくことが大切です。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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