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物量の波動に対応できない。物流倉庫からの出荷について、このような話を耳にするようになりました。
物流業界は労働力不足により、大きなうねりの中にあります。連載の第4回「宅配クライシスに2024年問題、物流業界の課題は他人事ではない EC事業者が知っておくべき実状」では、運送業を中心に業界の課題を取り上げました。しかし、労働力不足が与える影響は、運送に限った話ではありません。
今回は物流倉庫にスポットを当てて、労働力不足の問題とその解決に向けたトレンドを紹介します。物流倉庫から商品の出荷が遅れれば、eコマースの納品も遅れることは明らかです。物流代行を取り入れている、または検討しているEC事業者は、時代に適応している企業か見極めるためにも、押さえておいて損はないでしょう。
運送、宅配だけではない!物流倉庫に高まる不安
時間外労働の規制がドライバーに適用されることをはじめ、物流が滞る可能性が指摘されている「2024年問題」。働き方改革の一環であり、長時間労働の是正を目的としたものです。
この問題がメディアで取り上げられるようになったことを皮切りに、物流倉庫も荷役作業の効率化が求められるようになりました。物流倉庫の出荷がスムーズでなければ、ドライバーの待機につながり、労働時間短縮および効率的な物流の妨げになってしまうからです。運送業界の努力だけでは、解決しない問題であると認識され始めてきました。
一方で、EC物流の隆盛にともない、物流倉庫で作業が煩雑化し始めたのも、2024年問題が世間で意識され始めたのと同じ頃。今後、さらに物量が増えても、作業の遅滞が許されないという課題が浮き彫りになってきました。
加えて、日本人の約1/3が65歳以上になる「2030年問題」も迫っています。リスクモンスターの調査によると、就職したくない業種として「運輸・物流」をあげた学生は9.8%。3位という結果になっています。残念ながらこの調査以外にも、物流業界は「就職したくない業界」ランキングの常連として、度々メディアでも取り上げられています。2030年問題で労働力不足が加速することに、危機感を感じなければならないでしょう。
「いかに雇用を確保するか」
「いかに自動化機器を活用して生産性を向上するか」
この2つを焦点として、労働力不足に向けた取り組みが感度の高い企業から始まっています。EC事業者としては、物流倉庫のパートナーがこうした物流課題の解決に対し、先行投資できる企業か見極めたいところです。