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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

押さえておきたい!ECトレンド図鑑

AI無人店舗はリテールに取り組むメディアの強い味方 小学館DIMEに聞くヒット商品の見つけかた


 変化するメディアのビジネスモデル。ECへの参入も選択肢のひとつです。メディアの業界紙「Media Innovation」を運営するメディアインキュベート代表・浜崎さんが、メディア×ECの取り組みについてインタビューします。今回は、AI無人店舗でOMOに挑戦する小学館DIMEの取り組みについて聞きました。

変化するメディア、ECへの参入が相次ぐ

 ECzine読者の皆さん、初めまして、浜崎と申します。メディアインキュベートという会社を2016年に設立しました。起業以前からメディアには携わり、これまでに40前後のメディア運営に携わってきました。日頃からメディアの現場におり、かつ、メディアの業界紙「Media Innovation」を立ち上げて、日頃から取材し、イベントも行っております。

 その中で従来のメディアのビジネスモデルの変化を感じており、メディアがECにも取り組んでいく流れを実感しております。そこには障壁とともにビジネスチャンスも見出しており、メディア関係者、EC事業者にとって、双方にとって前向きな取材が実施できたらと考えております。

 そこで今回、大手の出版社でもある小学館DIMEの取り組みについてお伺いしました。DIMEでは、2021年4月に、小学館『DIME』編集部、丸善ジュンク堂書店、セキュアの3社共同で、未来型AI無人店舗「DIME LOUNGE STORE」を「新宿住友ビル」にオープンしています。コンセプトは「未来の買い物体験ができる無人型AI店舗」。

 DIME自体が日頃から最新のツール、テクノロジーについて情報発信されていますが、自ら実際の店舗運営にまで挑戦されているということで、メディアやEC事業者にとっても多くの学びがある取材となったかなと感じています。それでは記事をお楽しみください。

コンセプトは「未来の買い物体験ができる無人型AI店舗」

インタビュイー:株式会社小学館 DIME編集室 室長 安田典人氏
在京FMラジオ局に勤務後、2005年小学館に入社し、DIME編集部へ配属となる。2009年にDIGITAL DIMEを立ち上げ、2012年に@DIMEへリニューアル。現在は、雑誌DIMEとWeb版@DIMEの統括編集長を務めている。

ーーDIMEのAI無人店舗を出店した経緯を教えていただけますか?

 以前より店舗の構想はあり、機会があれば出店したいと思っていました。その時にジュンク堂とセキュアの担当者の方からお話があり、AI無人店舗を出店する運びとなりました。

 今回の無人店舗のお話をいただいたときには、どの雑誌の商品をラインナップとして揃えるかは決まっていませんでした。しかし、AI無人店舗という最先端の技術を用いたこと、ビジネス街である特徴から、同じく最先端技術やガジェットなどを扱うDIMEが一番訴求効果が高く、多くのオリジナル商品があることから選ばれました。

 DIMEで普段から紹介している無人店舗やテクノロジーなどと直接かかわることができるのは貴重な経験です。直接的な売上よりも先進的な取り組みを行っていることやDIME自体の知名度が上がることを期待しています。

 小学館は総合出版社で、漫画からビジネス書、週刊誌などさまざまなジャンルの出版物があります。そのおかげで多様な考えかたが文化として社内にあり、社内でも興味を持つ者は非常に多かったです。特に女性誌の担当は物販に特に力を入れているため、興味を持っているようでした。

未来型AI無人店舗「DIME LOUNGE STORE」の様子。写真はプレスリリースより。

ーーメディアのEC化は最近注目されていますが、DIMEの取り組みについて教えてください。

 小学館では雑誌ブランドを使った通販ビジネスには早くから着手しており、特に男性誌では大きな成果を上げています。それぞれの雑誌には多くのファンの方がおり、その方々に向けたブランド・商品づくりを10年以上前から行っていました。その経験は無人店舗の出店にも活かされており、雑誌のブランド力を強みにしたビジネスをいち早く展開した成果であると考えています。

 雑誌によっては6割がFAXで物販を注文しているところもありますが、DIMEの読者はほぼPCから購入いただいており、3〜4年前からアクセス分析・広告出稿などにも取り組んでいます。ECという基盤があったからこそ、AI無人店舗への出店もスムーズでした。

 メディアが通販を行う時には、読者が望むものを把握し、編集者が商品開発にかかわって良いものをお届けすることが重要です。アウトソーシングなどで流行りものなどを物販しても成功することはないでしょう。雑誌のことを知り尽くしている編集者自身が商品開発を行って、ニーズに合ったものをお届けできるからこそ、きちんと売上が立っていると思います。

 中途半端なものを作れば読者は見抜くでしょうし、雑誌のファンであることすらもやめてしまうかもしれません。そうなってしまっては本末転倒ですし、逆効果ですらあるので、中途半端に手を出すくらいならやらないほうが良いと思います。

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この記事の著者

株式会社メディアインキュベート 代表取締役社長 浜崎正己(ハマサキ マサキ)

2016年3月に株式会社メディアインキュベートを創業。新聞、雑誌、ラジオ、オウンドメディアなど40以上のメディア運営に携わってきたほか、「Media Innovation」の立ち上げ/運営メンバーであり、日頃はメディアの事業開発、コミュニティを起点とした事業立ち上げに従事。2020年8月、デジタルメ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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