東京商工リサーチは、2021年度上半期(4-9月)の全国企業倒産を発表した。
年度上半期の件数が50年間で最少、「新型コロナ」関連倒産は816件
2021年度上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が2,937件(前年同期比23.8%減)、負債総額が5,746億2,600万円(同4.0%減)だった。
件数は、年度上半期では2年連続で前年同期を下回った。1972年度以降の50年間で最少だった1990年同期(3,070件)を下回り、最少記録を更新した。
コロナ禍での国や自治体、金融機関による緊急避難的な支援策が奏功し、倒産は記録的な低水準を持続している。一方、「新型コロナウイルス」関連倒産は、年度上半期で816件(前年同期495件)発生した。
産業別 年度上半期では6年ぶりに全10産業で減少、7産業は30年間で最少
2021年度上半期の産業別は、全10産業で前年同期を下回った。全10産業が減少は、2015年同期以来、6年ぶりで、 農・林・漁・鉱業と建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業の7産業は、年度上半期では30年間で最少を記録した。
最多は、サービス業他の986件(前年同期比24.5%減)で、6年ぶりに前年同期を下回り、1999年同期(979件)以来、22年ぶりに1,000件を下回った。
そのほか、建設業は527件(前年同期比6.7%減)で、13年連続で減少した。卸売業は388件(同25.2%減)で9年連続、情報通信業は107件(同26.7%減)で3年連続、製造業316件(同29.4%減)と小売業349件(同35.8% 減)、運輸業114件(同1.7%減)は2年連続で、それぞれ前年同期を下回った。農・林・漁・鉱業28件(同52.5%減)と不動産業110件(同18.5%減)は3年ぶり、金融・保険業は12件(同 40.0%減)で2年ぶりに、それぞれ減少した。
地区別 年度上半期では8年ぶりに、全9地区で前年同期を下回る
2021年度上半期の地区別件数は、2013年同期以来、8年ぶりに全9地区で前年同期を下回った。また、四国を除く8地区は、年度上半期では30年間で最少を記録した。
北海道は61件(前年同期比32.2%減)で、2013年以降、9年連続で前年同期を下回った。東北113件(同 33.5%減)と関東1,121件(同16.6%減)、北陸81件(同19.8%減)、近畿783件(同25.3%減)、四国76件 (同7.3%減)、九州223件(同26.6%減)は2年連続で、それぞれ前年同期を下回った。中国117件(同37.0% 減)は4年ぶり、中部362件(同31.8%減)は2年ぶりに、それぞれ減少した。
減少率が最も大きい中国は、建設業が前年同期比3.8%増(26→27件)と増加したが、飲食業や宿泊業を含むサービ ス業他が同44.4%減(72→40件)など、7産業が前年同期を下回った。そのほか、東北は建設業が同45.9%減 (37→20件)、サービス業他が同34.0%減(47→31件)など8産業で減少した。