J.D.パワー ジャパンは、2021年6月に、コロナ禍でのカーライフやクルマの意向に関するアンケート調査を実施した。今回は第一弾として、アンケート結果から、車の定額制サービス「サブスクリプション」と「カーリース」に関する一般消費者の考えについて紹介する。
「サブスク」「リース」の違いについて
いずれも月額制で車を利用できる定額制サービス。「サブスクリプション(サブスク)」は、定額料金を支払ってコンテンツやサービスを利用することで、商品を「所有」せず、一定期間「利用」するビジネスモデル。一方、「カーリース」は、利用者が選んだ新車の月々の使用料金をカーリース会社に支払い利用するシステム。
同アンケート結果の詳細は、次のとおり。
半数以上が車のサブスクリプションサービスを認知
車のサブスクリプションサービス(定額サービス)について知っているかたずねたところ、「名前は見聞きしたことがある」が33%、「サービス内容を知っている」が23%(何となくは知っている:18%、詳しく知っている:5%の合計)という結果に。全体の半数以上(56%)の人が車のサブスクリプションサービスの存在を少なからず認識していることとなる。
サブスク各社は主に若者やクルマを保有していない層をターゲットにした施策を実施している印象だが、同調査ではどの世代で見てもサブスクの認知率(「名前は見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)が55~56%という結果となり、世代による開きは見られなかった。
一方、現在車を保有している層と保有していない層で比較すると、車保有層でのサブスクの認知率が59%であるのに対し、非保有層でのサブスクの認知率が45%となり、現在車を保有している層のほうがサブスクに馴染みがあることが判明した。
今後、サブスクの利用を検討する人は1割未満
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものをたずねたところ、サブスクリプションサービスの利用を「検討する」と回答したのは全体の4%にとどまる。現在車を保有している層だけで見ても5%という結果で、あまり差は見られなかった。
同調査から、車離れといわれる若年層(20~34歳)からシニア層(60~69歳)までの全世代、また車の保有層だけではなく、車の非保有層においても一定の認知を得ているものの、実際の利用検討にまで踏み切れないという人がまだ大多数であることが確認できた。
7割以上が車のカーリースを認知
カーリースについて知っているかたずねたところ、「名前は見聞きしたことがある」が39%、 「サービス内容を知っている」が35%(何となくは知っている:26%、詳しく知っている:9%の合計)。全体の7割以上(74%)がカーリースの存在を少なからず認識していることがわかった。
世代別に見ると、シニア層(60~69歳)では85%が認知しているのに対し、若年層(20~34歳)では67%となり、世代間で開きがあった。
また現在車を保有している層と保有していない層で比較すると、保有層の認知率(「名前は見聞きしたことがある」「何となくは知っている」「詳しく知っている」の合計)は80%、非保有層の認知率は58%となった。
サブスクと異なり、車を保有している層やシニア層では特にその存在が認識されているとわかる。
今後、カーリースの利用を検討する人は1割未満
次に、車の保有や利用の仕方について今後検討するものをたずねたところ、カーリースの利用を「検討する」と回答したのは全体の5%に。現在車を保有している層だけで見ても6%という結果で、あまり差は見られなかった。
カーリース利用率は2%、顧客満足度にも課題
新車購入から2~13ヵ月の保有者を対象にした別のJ.D. パワー調査(2020年8月発表、J.D.パワー 2020年日本自動車セールス満足度調査SM)によると、新車購入の際の支払い方法として実際にカーリースを利用した人はわずか2%だった。
購入時の満足度について、支払方法(現金、購入店のローン、残価設定型ローン、購入店のリース、購入店以外のローン)別に総合満足度を見ると、購入店でリース契約を利用した層の総合満足度はもっとも低くなっている。
特に、商談時における「購入価格の妥当感」「質問への回答/要望への対応」、契約手続き時における「契約書類・内容のわかりやすさ」「契約手続きに要した時間」などが、ほかの支払い方法に比べて低い満足度となっていた。
調査概要
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2021年6月
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対象者:20~69歳の計2,800名
*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳