矢野経済研究所は、国内のペット(犬または猫、あるいはその両方)飼育者に対してアンケート調査を実施し、階層クラスター分析によりペット飼育者を3つのグループに分類し、各々の特性分析を行った。ここでは一部の分析結果を公表する。
調査結果概要
同アンケート調査では2020年12月に全国の20代から70代のペット飼育者(犬または猫の飼育者で、犬と猫の両方の飼育者も含む)男女1,619名(年代、性別ともに概ね均等配分)にアンケート調査を実施。同アンケート調査対象のペット飼育者の属性(年代、性別、家族構成、世帯年収、飼育年数など6項目)およびペットとの暮らし方に関する設問項目(ペットとの散歩、ショッピングや旅行、外食の有無、SNSへの写真投稿の有無などの17項目)から、階層クラスター分析により3つのグループ(「活動型」「保守型」「活動・保守折衷型」)に分類し、分析した。
同分析結果から、ペット飼育者層は、大きく「活動型」の4割と「保守型」の4割に分けられることがわかった。「活動型」グループは、概して年齢が40代以下を中心に、小学生以下の子供がいる子育て層で、飼育経験年数が平均で10年程度である。当該グループのうちペットとの外出(ショッピングや旅行など)に積極的な飼育者は3~4割を占める。また、「保守型」グループは、概して年齢が50代以上を中心に、子供が中学生以上で子育ても落ち着き、飼育経験年数が平均で17年程度である。当該グループのうち、ペットとの外出(ショッピングや旅行など)に積極的な飼育者は1割程度を占める。
階層クラスター分析
多変量解析の手法のひとつで、異なる性質のものが混ざり合っている集合体のなかから、互いに類似した性質のものを集めて集団(クラスター)をつくり、対象を分類する分析手法。
注目トピック
「活動型」はコンパニオンアニマル化が進む飼育者層
ペット関連用品・サービス分野のうち、ペット保険、ペット用カート、ブラシを使ったデンタルケア、ペット用監視カメラ(給餌機能付きなどを含む)、ペット用おむつ(外出時のマナー用途)は、現状それほどの飼育者需要には至ってはいないものの、ペットを家族の一員やパートナーとして捉えるコンパニオンアニマル化が進むなかで、今後の市場成長が期待されている。
同調査の分析結果から、ペット保険の加入率は全体で29.6%であったが、「活動型」飼育者は、42.1%がペット保険に加入している。また、同様に「活動型」は、ペットカートの保有率で25.8%、ブラシを使ったデンタルケア実施率で21.3%、ペット用監視カメラ(給餌機能付きなどを含む)の保有率で23.1%、ペット用おむつを外出時のマナーとしての使用率で18.0%と、いずれの項目も「保守型」と「活動・保守折衷型」の比率(保有率・実施率・使用率)を上回る結果であった。
同調査結果から、「活動型」の飼育者は、情報感度が高く、新しいものを積極的に導入する好奇心を持った飼育者が多い傾向があるとみる。
ペット関連用品・サービス市場において新商品・新サービスを市場投入する場合は、「活動型」に対してメッセージが届くような戦略が必要であるものと考える。
調査概要
- 調査期間:2020年12月
- 調査対象:全国在住の20代から70代のペット飼育者(犬または猫の飼育者で、犬と猫の両方の飼育者も含む)男女1,619名
- 調査方法:インターネットアンケート調査