衣服・ライフスタイル産業が抱える社会課題の解決に取り組むシタテルは、「ファッションエンターテインメントの力で世界の共感と社会的価値を生み出す」というパーパスを掲げるTSIホールディングスを引受先とする第三者割当増資を実施し、TSIと資本・業務提携契約を締結したことを発表した。
衣服・ライフスタイル産業では、人々の趣味嗜好が多様化し、需要が細分化していく一方で、供給側のサプライヤーはその変化に十分に対応できていないと危惧されている。
また、産業のデジタル化の必然性が高まるなかで従来のアナログな手法から抜け出せず、その結果、需給にはギャップが生じ、本来ファッションが持つ衣服を選ぶことの“楽しさ”や“喜び”、着用したときの“高揚感”といった感情が損なわれつつあるという。
シタテルは多様な期待に応えられる衣服・ライフスタイル産業のサプライチェーンの構築を目指す。そのためには、多様な価値観を体現するブランド・小売事業者とともに、同社が得意とする多品種小ロット生産などによる、迅速かつ包括的に事業を創出していく必要があった。
TSIは、国内外の有名アパレルブランドを数多く有するだけでなく、デジタルネイティブ世代に向けた先進的なファッション事業の開発や、ストリートカルチャーの育成、そして、これまで黒子とされてきた縫製工場と消費者を直接つなぐF2C(Factory to Consumer)型サービスの検討など、ファッションがもたらすエンターテインメント(楽しさ)で、独創的かつ魅力的な価値の創出を行っている。
シタテルは、TSIと資本・業務連携を行うことで、より多様な価値観に応えられる衣服・ライフスタイル産業のプラットフォーム構築が可能となること、そして、TSIとともに、新たなファッションカルチャーを創造することができると判断した。
小・中規模ブランドのクラウド支援
同社は、多品種小ロットの対応に加えて、多彩なジャンルのサプライヤー群にもダイレクトに生産を依頼することができ、TSIのD2C(Direct to Consumer)事業の機動力を高めることが可能。また、TSIの監査基準を満たすサプライヤーの選定と生産体制の構築にも対応しており、短期的にはD2Cブランドを中心に、企画から生産、販売までの全域をサポートし、TSIのブランドの成長支援とデジタル事業の促進を行っていく。
ものづくりのローカライズ化と国内サプライヤーネットワーク基盤の強化
円安や地政学的リスクに柔軟に対応する国内生産基盤の構築と、新しいビジネスモデルとしてのF2C事業の立ち上げに向けて、次世代型の工場ネットワークを構築。この次世代型の工場ネットワークは、TSIの地方工場をマザー工場としつつ、シタテルの幅広い工場ネットワークを組み合わせることで、市場環境の変化に強く、様々なニーズに対応できる柔軟性の高い生産基盤の実現に取り組む。最適な生産基盤の活用により、過剰生産の抑制や適時生産を実現し、環境負荷の低減にもつなげていく。