帝国データバンクは、2021年における負債1000万円以上の法的整理について集計を行った。同集計結果の詳細は、次のとおり。
倒産件数:倒産件数は6015件、1966年以来半世紀ぶりの歴史的低水準
2021年の倒産件数は6015件(前年7809件、前年比1794件・23.0%減)と、2000年以降で最少。1999年以前と比較しても、1966年(5919件)以来半世紀ぶりの歴史的低水準となった。前年からの反動増となった5月を除く11ヵ月で前年同月を下回り、うち10ヵ月が2ケタ減となるなど、年間を通じて倒産が大幅に抑制された。
なお、2021年の上場企業倒産は、2016年以来5年ぶりに発生しなかったとのこと。
負債総額:負債は大型化の傾向
2021年の負債総額は1兆1633億900万円(前年1兆1810億5600万円、前年比177億4700万円・1.5%減)と、21世紀以降最小だった前年をさらに下回った。一方、大幅な前年比減となった倒産件数に対し、負債総額は微減にとどまった。負債50億円以上の大型倒産が6年ぶりに増加に転じるなど、前年よりも規模の大きい倒産の発生が増えたことが、負債総額を押し上げた。また月別では、12ヵ月中6ヵ月で増加、残り6ヵ月で減少した。
業種別:運輸・通信業を除く6業種で前年比減少 小売は27.5%減に
業種別にみると、運輸・通信業を除く6業種で前年を下回った。小売業(前年1879件→1362件、27.5%減)では、飲食店(同780件→569件)が200件超の減少となり、小売業全体の件数を引き下げた。サービス業(同1872件→1425件、23.9%減)でも、宿泊業(同127件→76件)などが前年からの反動減となった。B to C業種では、金融機関などの支援に加えて、秋以降の緊急事態宣言解除にともなう繰越需要増を背景に、倒産が沈静化した。卸売業(同1041件→761件、26.9%減)は、繊維製品卸(同189件→125件)で前年比33.9%の大幅減となった。
一方、運輸・通信業(前年262件→272件、3.8%増)は、燃料価格高騰や人手不足などの影響で、貨物自動車運送(同157件→169件)が増加するなど、7業種中唯一増加した。
主因別:「不況型倒産」は4609件、前年から25.4%の大幅減
主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計は4609件と、前年比25.4%の大幅減。また、構成比は76.6%(対前年2.5ポイント減)を占め、2006年以来15年ぶりの低水準となった。
なお、ここでは販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計している。
地域別:全地域で前年比2ケタの大幅減
地域別にみると、全地域で前年比2ケタの大幅減となった。全地域の減少は、2015年以来6年ぶりとなった。関東(前年2743件→2246件、18.1%減)では、飲食店(同232件→169件)のほか、繊維製品卸(同86件→54件)、出版・印刷業(同63件→34件)などが大幅減だった。近畿(同2084件→1529件、26.6%減)では、16年ぶりの2000件割れとなり、2府4県すべてで2ケタ減少。特に大阪府(同1146件→842件)は前年から300件超の大幅減となった。また、東北(同361件→232件、35.7%減)、北陸(同261件→179件、31.4%減)は前年から30%を超える減少率を記録した。
態様別:破産の構成比は6年連続で減少、民事再生法は施行後で最少
態様別にみると、破産は5518件(構成比91.7%)と、9割超の水準が続いたが、構成比は6年連続で減少。民事再生法は195件(同3.2%)で、2000年の施行後で最少となった。一方、特別清算は300件(同5.0%)と前年から減少したものの、構成比は0.9ポイント増加した。