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2024年8月27日(火)10:00~19:15

今さら聞けないEC知識

【2021年8月版】国内外EC売上ランキング!楽天に続く国内上位企業や成長業界とは?


 コロナ禍の影響でEC市場が好況を呈している。ECサイトやECモールの売上は拡大し、そのことが話題になることも珍しくない。そこで今回は、国内を中心にEC売上ランキングについて見ていきたい。国内ECモールはTOP10を、国内ECサイトについてはTOP100を、注目のアパレルや家具など、どの業界の成長率が高いのかを見ていく。国外については、国別EC売上ランキングTOP10と不動の上位といえるアメリカと中国についてお伝えする。

国内ECモール売上ランキングTOP10

 国内ECモールの売上高ランキングTOP10は次のとおり。ECモール運営各社の決算資料をもとにしている。

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1位:楽天(4.5兆円)

 楽天の決算資料によると、2020度の国内EC流通総額は4.5兆円で、前年度比19.9%と大きな伸びを見せた。EC流通総額はグループ各社の合計額で、市場やトラベル、ブックス、ファッション、ラクマなどを含むものだ。

 資料によると、コロナ禍によるEC需要の高まりによって、「復活購入者」と定義する1年以上購入のなかったユーザーが購入したケースと新規購入者とが、ともに前年度比で約27%も増加したとしている。ひとり当たりの購入額も前年度比15%、ユーザーの定着率も向上したとの分析だ。

 モバイルや物流への先行投資を積極的に行ったため、グループ全体での決算はマイナスとなっているが、それらの事業と投資事業の損益を除いた営業利益は1,489億円と前年度比37.6%という水準に達している。

2位:Zホールディングス(ヤフー)(3兆2,200億円)

 Zホールディングスの決算資料によると、2020年度のeコマースの売上高は3兆2,200億円、前年度比24.4%という成長を遂げた。中でもショッピング事業の成長が著しく、前年比45.1%という大幅な伸びを見せた。

 eコマースの売上高は、Yahoo!ショッピングやZOZOTOWN、PayPayモールなどのショッピング事業と、ヤフオク!やPayPayフリマなどのリユース事業、Yahoo!トラベルなどのサービス事業の合計となっている。

 eコマース強化のために買収したZOZOTOWNや決済手段を起点にして顧客の囲い込みを狙ったPayPayの吸収が業績に好影響を与えている。経営統合を終えたLINEとのシナジー効果が期待されるところだ。

3位:アマゾンジャパン(約2兆1,714億円)

 アマゾンの2020年の売上高は、204億6,100万ドル(約2兆1,714億円)と前年比27.8%と、こちらも大きく業績を拡大した。プライム会員が受けられるさまざまなサービスによる顧客の囲い込みや、巣ごもり需要に応えたパントリーなどが順調な成長を支えている。

 2015年以降の売上高は82億6400万ドル、2016年は107億9,700万ドル、2017年は119億700万ドル、2018年は138億2,900万ドル、2019年は160億200万ドルと推移している。

 米アマゾン社は世界の小売業ランキング(2021)TOP250の2位にランクインし、2015年にTOP10入りを果たしてから毎年順位を上げている。

4位:ZOZOTOWN(4,194億円)

 Zホールディングスに含まれているZOZOTOWNだが、2020年度の単体での売上高は4,194億円、前期比21.5%となった。売上高は営業利益(441億円、前年度比58.3%)とともに過去最高を記録、PayPayモールへの出店が業績に大きく貢献したといえる。

5位:Qoo10(推定3,000億円弱)

 Qoo10(キューテン)は業績を非公開にしているため推定となるが、2020年の売上高は3,000億円弱といわれている。米eBay傘下で、本社はシンガポール。若い女性向けのコスメやファッションに強いサイトとして知られている。

6位:メルカリ(1,061億円)

 メルカリの2021年度(6月までの通期)売上高は、1,061億円、前年比39%となった。メルカリとメルペイ、メルカリUSの合計額だが、メルカリ(JP)単体での売上高では7,845億円、前年比25%となる。

7位:au Payマーケット(402億8,500万円)

 au Payマーケットの2020年度の売上高は402億8,500万円、前年比23.0%となった。au Payマーケット運営するauコマース&ライフには、ほかにもLUXAやau WALLET Marketなどの事業があり、その合計額となっている。

8位:BASE(82億8,800万円)

 BASEの2020年度の売上高は82億8,800万円、前年比115.3%と飛躍した。BASE事業とPAY事業との合計額だが、BASE単体では74億6,500万円、前年度比113.0%となる。販促費に多額の費用を投じたものの、新規ショップの獲得と既存ショップの維持につながった。

9位:Creema(20億6,200万円)

 Creemaの2020年度の売上高は20億6,200万円、前年比35.9%となった。BASEやMinne同様のハンドメイドマーケットで、こちらはハンドメイド作家やクリエイターからの人気が高いのが特徴といえる。

10位:MakeShop/COLOR ME/Minne(148億円)

 MakeShopとCOLOR ME、MinneはいずれもGMO傘下で、2020年度の売上高は合計で148億円、前年比33.1%となった。MakeShopとCOLOR MEはASPカート、Minneはハンドメイド作品に特化したECマーケットだ。売上高に占めるMinneの割合は1割に満たないため、10位としている。

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国内ECサイト売上ランキングTOP10

 国内ECサイト売上ランキングについては、ECの専門誌である日本ネット経済新聞が2021年6月10日に発表した「ネット通販売上高ランキングTOP500」をもとにお伝えする。ランキングTOP10は次のとおりだ。

順位 会社名 売上高 前年比(%) ECモール出店 ジャンル
1 アマゾン(日本事業) 2兆1,652億 27.9   総合
2 アスクル 3,750億   ヤフー 日用品
3 資生堂 2,302億 45.0   化粧品
4 MonotaRO 1,518億 20.0   工具
5 ヨドバシカメラ 1,500億     家電
5 楽天グループ(直販事業) 1,500億   楽天など 日用品
7 ビックカメラ 1,487億 37.0 楽天 家電
8 大塚商会 1,226億     日用品
9 ミスミグループ本社 1,133億     金属部品
10 ユニクロ 1,076億 29.3   アパレル

 1位はアマゾンの「Amazon.co.jp」。ECモールのほうでもTOP10にランクインしたアマゾンは、ECサイトというカテゴリーに分類されると文字どおり桁違いの強さを誇っている。

 2位はアスクルの「アスクル/LOHACO」で、オフィス用品や現場用品などを販売するZホールディングスのグループ会社だ。

 3位は資生堂の「ワタシプラス」。メーカーとして美容に関する知識や情報を発信している。前年比45%と大きく業績を伸ばした。

 4位はMonotaROの「モノタロウ」で、作業現場に必要な工具や部品、消耗品を販売している。

 5位は業界大手のヨドバシカメラの「ヨドバシ・ドット・コム」。家電量販店のECサイトとしてはトップであり、実店舗の売上高でもTOP5の一角だ。

 同じく5位は、楽天グループの「爽快ドラッグ/ケンコーコム」。医薬品や健康食品の通販サイトで、実店舗を持つドラッグストアに差をつけた。

 7位はビックカメラの「ビックカメラ.com」で、5位のヨドバシカメラと僅差。業界全体がほぼ横ばいという状況にありながら、ECは前年度比37.0%という成長を遂げている。

 8位は大塚商会の「たのめーる」。オフィス用品のジャンルで2位のアスクル並ぶ大手だ。

 9位はミスミグループの「MiSUMi-VONA」。工具や部品、消耗品を販売する点では4位のモノタロウ同様だが、金型や成形部品を取り合う点で異なる。

 10位は、アパレルの国内トップであるユニクロの「ユニクロ公式オンラインストア」が業界で唯一TOP10入りした。

top 10

国内ECサイト売上ランキングTOP11~50

 11~50位にランクインした企業の売上高は、815~237億円、前年比は60.0~▲17.0%と幅広い。60%という成長を遂げたのは高島屋の「高島屋オンライン」で、EC需要の高まりを捉えた格好だ。マイナスとなったビィ・フォアードの「BE FORWARD.JP」は買取額が販売額を上回ったと見られる。

 ジャンル別で見ると、総合が9社、アパレルが7社、家電が6社、PC(周辺を含む)と化粧品・健康食品がそれぞれ5社、カメラが2社、食品、家具、オフィス用品、中古車、トイレタリー、工具が1社ずつとなっている。

 総合の内訳は、通販4社、テレビショッピング2社、百貨店2社、GMS1社だ。総合内の上位は通販が多く、実店舗を持つスーパーや百貨店は下位の傾向ある。アパレルや家電、PC、化粧品・健康食品など、巣ごもり需要を反映したランキングと言える。

国内ECサイト売上ランキングTOP51~100

 51~100位にランクインした企業の売上高は、234~100億円、前年比は93.8~▲26.2%と100ポイント以上の差が開いた。

 93.8%というもっとも高い成長率を記録したオールアバウトマーケティングの「サンプル百貨店」は、お試し価格でさまざまな商品を提供するサイトだ。その一方で、大きなマイナスとなったZOZOTOWNの「ZOZOUSED」は古着を売買するサイトで、買取額が販売額を上回ったと見られる。11~50位でも中古品を取り扱う企業の売上高がマイナスとなった。

 11~50位の傾向と同じようにアパレル(8社)、家電(4社)、総合(3社)の強さが残るものの、ゲームやスポーツ用品、健康器具、雑貨、バイク用品など、ジャンルは幅広い。住設機器や理化学機器、オフィス家具、歯科用品など、ビジネスシーンからニーズが反映されているといえる。

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世界各国のEC売上ランキングTOP10

 世界各国のEC売上ランキングに目を向けてみよう。米デジタルマーケティング会社eMarketerの調査によると、2020年国別EC売上高のTOP10は、中国を筆頭にアメリカ、イギリス、日本、韓国、ドイツ、フランス、インド、カナダ、スペインという順位になっている。各国の売上高と前年比の成長率は次の表のとおりだ。

順位 国名 2019年売上高(10億ドル) 2020年売上高(10億ドル) 成長率(%)
1 中国 1,934.78 2,296.95 18.7
2 アメリカ 586.92 794.50 35.4
3 イギリス 141.93 180.39 27.1
4 日本 115.40 141.26 22.4
5 韓国 103.48 110.60 6.9
6 ドイツ 81.85 96.86 18.3
7 フランス 69.43 73.80 6.3
8 カナダ 49.80 39.22 -21.2
9 インド 46.05 55.35 20.2
10 スペイン 26.80 36.40 35.8
eMarketerの資料をもとに作成

 経済産業省の調査(「令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)」)によると、中国EC市場の商材別成長率(前年度比)は、家具・建材・ガーデニング用品などが 43.0%、化粧品が30.0%、食品が28.1%、アパレルが26.7%、ホームケア用品が19.0%、家電が14.1%、PC、モバイル機器などが8.5%と、軒並み上昇している。

 中国のEC事業者のシェアは次のとおりだ。

中国のEC事業者のシェア
「電子商取引に関する市場調査」より引用

 アメリカEC市場の商材別成長率(前年度比)を見てみると、衣類・雑貨が1,246億ドルで前年度比38.7%、車・車用品が446億4,000万ドルで前年度比13.2%、家具・建材・電子機器が1,142億ドルで前年比59.9%、その他が678億ドルで前年度比 76.8%、非店舗型販売が4,404億7,000万ドルで前年比23.4%となっている。

 アメリカのEC事業者のTOP10は次のとおりだ。

アメリカのEC事業者のシェア
「電子商取引に関する市場調査」より引用

まとめ

 コロナ禍の影響で、ECの売上高は国や商品を問わず、おおむね拡大している。このEC売上ランキングを見ることで、成長著しい業界や企業の動向が分かったのではないだろうか。国内外のEC売上ランキングを参考に、自社ビジネスの今後の戦略や展開に役立てていただければ幸いだ。

 

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EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

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