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DX推進の壁「商品マスタ管理」の実態を探る AI活用で営業活動の“土台作り”を


 ものを売る企業にとって欠かせない商品マスタ管理の適正化。販売促進・事業拡大の基礎ともいえるこの取り組みを、つい「後回し」にしてはいないだろうか。Lazuli株式会社でCEO/CTOを務める萩原静厳さんは「商品マスタ管理の不備により、多くの企業でDX推進が阻害されている」と警鐘を鳴らす。企業における商品マスタ管理の実態や具体的な課題、適正化によってもたらされる市場全体の未来について、同氏とCOOの池内優嗣さんに話を聞いた。

Excel管理から脱却を 商品マスタの整理で経済基盤を強化するLazuli

 Lazuliは2020年7月に創業。「世界中の製品情報を整理し、データを民主化する」ことを事業ミッションに、AIを活用し商品マスタの一括管理を行うSaaSプラットフォーム「Lazuli PDP」の開発と提供を行っている。

 同社を立ち上げた萩原さんは創業以前、AIを活用したコンサルティング事業を展開し、複数企業のDX推進プロジェクトに携わってきた。その中で、多くの企業において「取り扱う商品の情報がない」、もしくは「商品に関する情報が整理されていない」ことがDX推進の課題となっていることに気がついたと言う。これらに対し、Lazuliはどのような改善策を提案しているのか。デジタル化が進む今、企業が向き合うべき「商品マスタ管理」について紐解いていく。

――Lazuli創業時に感じた市場の現状と課題感についてお聞かせください。

萩原(Lazuli) デジタル化が進む今も、多くのメーカー・卸売・小売企業が商品マスタ管理を手動で行っています。この方法は多くの時間やコストを必要とし、商品1つひとつに正確な情報を付与することが難しいため、企業が商品マスタ管理に手を回しきれない原因のひとつとなっているのが現状です。こうした課題を解決するにはテクノロジー、とくにAIを活用した商品マスタ管理の効率化が必要だと考え、Lazuliの創業を決めました。商品マスタをマーケティングなどに活用できる状態にすることで、各企業の販売促進活動の加速ができれば、経済全体の基盤強化につながると考えています。

 アメリカや中国では、2017年頃から自社の商品マスタ整理に取り組む企業が存在していましたが、個々の企業にAIの専門家を含めた1,000人規模のエンジニアを要するなど、体力がある大企業のみが成せるものでした。こうしたDX推進のための商品マスタ整理は当時から注目されていましたが、海外と企業規模が異なる日本では、外部から支援する事業に需要があると見ています。創業から約1年ですが、「商品マスタ管理がうまくいっていないことがDX推進を阻害している」という危機感から、当社にご相談いただくケースも増加しています。

Lazuli株式会社 CEO/CTO 萩原静厳さん
Lazuli株式会社 CEO/CTO 萩原静厳さん

――現在、日本企業の商品マスタ管理にはどのような課題が存在しているのでしょうか。

萩原 商品マスタは、多くの情報が抜け落ちた状態で管理されているケースが多いのが実態です。たとえば小売店で「桃太郎」と「りんか」という2種類のトマトがひとつずつ売れたとします。現在の多くの小売店では、販売する際に個別の商品情報と卸先の情報から「生鮮食品」という大分類を導き出し、「生鮮食品がふたつ売れた」という大まかな情報を取得することは可能です。しかし、「野菜」や「トマト」といった「カテゴリー」単位でいくつ売れたかを把握するのは難しい状況です。こうした中分類・小分類のカテゴリー情報がない状況は、情報の流通過程にある問題によって生じています。

 商品の情報を必要とする小売店は、詳細な商品情報を卸売事業者に求めますが、卸売事業者は情報を保持していないケースが多く、メーカーに情報提供を依頼します。情報伝達のステップが段階的となるため、小売店に情報が届くまでに長い時間を要するのが実情です。商品の入れ替わりが激しい小売店でいちいちこうした作業を行ってはいられないと、おざなりになってしまうのも無理はありません。

 また、企業の垣根を越えて情報伝達をする際、それらがデータベース化されていない場合は「メールでExcelファイルを送る」などの手段を取ることになります。商品情報を扱うファイルは、事業規模にもよりますが数億セルといった膨大な量であるケースも多く、送信するだけでも時間がかかります。また、企業ごとに異なるフォーマット(形式)で管理しているため、受け取った側が人手でデータを整えなくてはならないとなると、作業量は計り知れません。

エクセルシートイメージ

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