令和中継はSNSフル活用 最強メディア不在との見方も
10連休となった2019年のゴールデンウィーク。天皇退位、新天皇即位、新元号令和のスタートなど、多くの人が注目するニュースが目白押しだった。そこで藤田さんが注目したのは、こうした報道とSNSとの関係である。
「首相官邸の公式アカウントを中心に、TwitterやFacebook、YouTubeなどSNSをフル活用しているアカウントが話題となっている印象を受けました。テレビ局も公式アカウントでライブ中継していましたし、レガシーなメディアよりもSNSで視聴した人のほうが多かったのでは?という印象も持っています」
3月のイチロー選手の引退会見のYouTubeでのライブ中継、動画配信も記憶に新しい。構成に制約のあるマスメディア以上に詳しい情報がほしいと思ったら、ネットで検索するという選択肢をとった人が多いはずだ。
「SNSが世の中に欠かせない、情報インフラになったんだなと感じました。まさに、新しい時代の幕開けですよね」
さまざまなSNSアカウントをフル活用しているということは、すなわち、それぞれのメディアごと、特徴やユーザー属性が異なるため、すべてを用いないと届かないユーザーがいるということでもある。藤田さんは、2019年2月に発表された「クチコミ接触者の購買転換率調査」(アジャイルメディア・ネットワーク)を紹介した。
「飲料や食料品はTwitter、ゲームやスマホアプリはYouTube、ファッションや化粧品はInstagramなど、商材ごとメディアの転換率が異なるんですよね。Twitter、Instagramを含むFacebook、YouTube、LINEの四強時代になって久しいと思いますが、これさえやっておけばという抜きん出て強いメディアもないとも言えます」
さらに、消費者の態度変容に与える影響も、SNSごとに異なるというデータも。トレンダーズが2018年7月、15~29歳の女性480名を対象に行った調査によれば、「美容の情報をどこで収集しているか」の問いにはYouTub(e47%)が最多に、「美容商品の購入を検討する際にどこで情報を検索しているか」の問いにはTwitter(32%)が最多となった。
「SNSを使っていての感想ですが、情報収集のさらに前、認知の段階ではInstagramの影響が大きいのでは。同じコスメにしても、段階によってSNSの使いかたが異なることを示しています。ECの方にも、購買ファネルのすべてをカバーすべく、フル活用をおすすめします」