決済手段のトレンドと カート完遂率をウォッチせよ
今回のテーマが「キャッシュレス決済」ということもあり、木田さんは経済産業省が毎年行っている『電子商取引実態調査』をチェック。報告書には決済の項目があり、「インターネットで購入する際の決済方法」の調査が行われている。2018年4月に発表された平成29年度調査では、「クレジットカードでの支払い」が63%で最多、次いで「コンビニエンスストアでの支払い」が35.1%、「代金引換」が32.0%となっている。
「最新版を見て終わりではなく、過去のデータと比較すると各決済手段の動向がわかります。たとえば、28年度調査を見ると『クレジットカードで支払い』が最多なのは変わらずですが、割合は69.2%ありました。よって、主要な決済手段ではあるけれど、少し下降気味ではないかとも考えられます。代わりにどの決済手段が増えているのかを探してみると、『通信料金・プロバイダ利用料金への上乗せ』が28年度調査では8.8%、29年度調査では12.3%と4%弱伸びている、といった発見があります」
この調査結果と、Google アナリティクスがどう結びつくのか。木田さんは「ビッグファネル」の考えかたを紹介してくれた。
「セッション、コンバージョンレート、収益といった指標は、多くの方がチェックされていますし、商品ページを閲覧してから実際に購入するまでのステップで、ファネルが描けるのもご存じかと思います。GAでは、このファネルを細かいステップに分け、各ステップの数値を見ることができます。そのステップのうち、商品をカートに入れてから購入までの『カート完遂率』の改善は、収益に大きく貢献するため、改善する優先順位が高いポイントです。カートに商品を入れたけれど決済しない、いわゆるカゴ落ちの原因に、『使いたい決済手段がない』という理由が大きく寄与しているのは、よく知られるところです。よって、カート完遂率をGAで確認し、改善のために経済産業省の『電子商取引実態調査』を参考に、新たな決済手段の追加を検討するのは、有益な改善施策と言えます」
木田さんが複数のECサイトを支援してきた結果、カート完遂率はPCで40%、スマートフォンで25%が合格ラインだと見ている。
「商材や商品単価によって多少前後するのですが、このラインよりも大幅に低い場合は、改善の余地があると見ていいでしょう」
GAで「カート完遂率」をチェックするには、設定が必要だ。コンバージョン>目標>目標到達プロセス にて、「注文完了」を目標に、各ステップとそのURLを登録しておくと、コンバージョン>目標>ゴールフローでレポートを見ることができる。ステップを細かく設定したビッグファネルを見るには、拡張eコマースが必要だ。
なお、GAでこの設定を行っているのは、木田さんの経験値によれば6割程度だと言う。
「eコマーストランザクションとは別に、目標を立てないといけないので、わかりにくいんですよね」
まずはゴールフローでレポートを見ることで、コンバージョンに至る前のステップの改善を、必要であれば新たな決済手段の追加などによって行いたいところ。