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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

日本のオムニチャネルはどうなる?逸見さん、ロンドン視察レポート

英百貨店ジョン・ルイスが予測した「マスターショッパー」の”新たな買い方”とは?

経営戦略に組み込まれたオムニチャネル

 2015年度ジョン・ルイス単体の報告書「THE JOHN LEWIS RETAIL REPORT 2015」(※3)を見ると、自社の商売を客観的に捉えていておもしろい。その中でもとくに2章「How We Shop」冒頭には、ジョン・ルイスのオムニチャネルの捉え方が明確に記されている。

 「オムニチャネルショッピングの時代がやってきた。慣れた買い物客はもはや店舗に買いに来ることが一番ではなく、商品を探したり、買ったり、受け取ったりする方法をうまく組み合わせて、究極にパーソナライズ化されたショッピングジャーニーを生み出している。私たちは今まさに「マスターショッパー」の到来を目の当たりにしている。(自訳)」

 ジョン・ルイスにおけるオムニチャネルの顧客像が、この「マスターショッパー」という定義だ。

「ソーシャルメディアを捜してインスピレーションを得たり、タブレットを閲覧したり、携帯電話で価格を確認したり、店舗から情報収集したりすることが当たり前(自訳)」 

 という人々のことである。さらにそのソーシャルメディアと自社との関係を、「ソーシャルショッパーズ」という定義で分析をしている。

同社のSNSによるネットワーク増加率(上)と、同社各チャネルでのフォロワー数(下)※3

 ・ Instagramユーザーはファッションや美容に関心
 ・ ピンタレストユーザーは家の中に飾るものに関心
 ・ Twitterユーザーは母親やブロガー、デザイナーが多い

 データ分析の基準やツールはわからないが、きちんと経営軸の資料の中でソーシャルと顧客、商品分野の関係が明確に語られている事実が重要である。

 クリスマス商戦の数値IRの後半には、今後の戦略についても触れられている(※2)。

 「利益は増えているが、今後の変化を考えると、変更、投資、革新の期間が必要である」「これらの変化の中でもっとも顕著なものは、店舗からオンラインへのチャネルシフトだ(自訳)」。その為にパートナーシップメンバー(=従業員。ジョン・ルイスの経営形態。従業員が会社を持ち合う形態)の賞与を減らして、未来への投資に回す可能性があると明言している。まさに経営戦略として、世の中と顧客の変化を見据えて、冷静に分析し、自分たちのあるべき姿「HOW WE SHOP」に向かって投資して変化し続けるということだ。

「マスターショッパー」のイメージ※3

動画を活用したマーケティングにも注目を集める

 ジョン・ルイスのクリスマス動画も有名だ。そのYouTube視聴数で並べてみると2010年の45万回、2011年は47万回、2012年40万回、2013年は150万回、2014年と2015年は公式動画の視聴数が確認できないが、2016年はなんと2,500万回の視聴回数となって確実に増えてきている(※4)。 商品を訴求するのではなく、誰かにギフトを贈ろう、というメッセージをいろんなシチュエーションで伝えている。CM、動画をメインに、SNS、店舗やグッズなどの連動施策も取り組んで顧客ロイヤリティを高め、来店促進を狙っている。

 そのクオリティも高く、世界三大広告賞の「カンヌライオンズ」において「クリエイティブ・エフェクティブネス」部門で、2016年のエントリー109点の中で、ジョン・ルイスの2015年クリスマスの「Monty’s Christmas」がグランプリを受賞したほどだ。

 このように経営から現場まで、販売もマーケティングも、あらゆる部署や場面でネットを道具として活用し、オムニチャネル化を進めているジョン・ルイスの事例は非常に学ぶべき所が多い。

※2 Christmas trading (six weeks to Saturday 31 December) and outloo
※3 YouTubeサイト上での実視聴数(2017年2月13日の数値)
※4 John Lewis Retail Report 2015

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